馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

馬肉がおいしいレストラン

Привет!

アスタナに住んでいると、風が強いなあと感じることが多くあります。今この文章を書いているときも窓の外では風がうねりをあげていて、外に出たら吹き飛ばされそうです。お天気アプリによると実際の気温と体感気温に6度もの差があるそうなのですが何ら不思議ではありません。

さて、そんな今日の話題は馬肉が食べられるレストランです。ついにブログ名を「馬耳風風」にした意味がある投稿ができます。カザフの人たちはもともと騎馬民族だったので、馬とのかかわりがとても強いのです。この前紹介したバザールでも馬肉が牛肉と同じくらい売られていましたし、スーパーでも置かれていたりします。先日、誕生日を迎えた旦那のお祝いをするためにアスタナで随一の馬肉レストラン、Line Brewに行きました。政界の大物や有名人も来るというこのお店はいつ行っても込み合っているそうなので、電話で予約を入れます。予約名を伝えるときに、やはり日本人の名前は聞きなじみがないのか何度か聞き返されましたが、電話番号は聞かれず、日時などの確認もされなかったので少し不安を覚えながらも迎えた当日。 お城のような外観です。夜なので雰囲気がありますね。Line Brewに行くという話を知り合いにした時に「どっちの店舗に行くの?」と聞かれました。どっち?「二軒あるよ」とのこと。私が予約したのはどっちのお店なのだろう…。その方によると、この旧市街にある店舗のほうが雰囲気があるそうです。有名なのはこちらの店舗なので、とりあえずこちらに来てしまいました。

店名が書いてある重い鉄のドアを押して中に入ると、お姉さんが出迎えてくれます。「あの、7時から予約しているものなんですが」と名前を告げるとお姉さんは不思議そうな顔をしました。嫌な予感がします。「その名前で予約は受け付けてないですね…もう一つの店舗のほうにしちゃったかな?でもお二人ですよね。それならすぐにお席がご用意できますよ」と言ってもらえて一安心です。なんとかここで食べられそうだ…。 螺旋階段を上がって席に案内されながら、周りを見るとほとんどのテーブルに「予約席」の札が立っていました。それ以外のところはすべて埋まっています。石造りの雰囲気がある店内は歩いているだけですこし気分が高揚しました。

今回注文したのは、お肉の煮凝り(холодец:ハラジェッツ)と、シーザーサラダ、そして石焼馬肉と馬のステーキでした。こちらが煮凝り。ロシアでもよく見た料理でした。このゼリー部分は時間がたつと溶けるので冷たいうちに食べることをお勧めします。 シーザーサラダに限らず、こちらではサラダの上に大量のチーズをかけるようで、出されたときは「こんなの頼んだっけ?」という気持ちになります。チーズを掘っていくとやっとお目当てのものにたどり着くイメージです。このお店はほかのレストランに比べるとお料理が出てくるのが早かったです。そしてちゃんとこちらが食べ終わったころに次のものを持ってくるというサービスも行き届いています。
次に来たのは旦那の石焼馬肉と私のステーキです。係りのお兄さんが丁寧に熱した石の上にお肉と野菜を広げて、しっかり両面を焼いてくれます。 なすで油をひいているところ。このなすがあとで馬肉の油を吸ってとてもいい味になります。お兄さんは焼きあがったお肉を旦那のお皿に移す時に、私の物欲しそうな視線に気がついたのか、二切れほど私のお皿にも載せてくれました。この馬肉の柔らかいこと!ソースもケチャップとタルタルとチリがついているので飽きずに食べられます。   ステーキは石焼馬肉と少し食感が違っていました。いわれなかったら普通の牛のステーキだと思ってしまったかもしれません。 こちらがステーキ。でもどちらも全くくさみがなく、とても食べやすかったです。

デザートを頼むときに旦那がいないタイミングを見計らって担当のお兄さんに「旦那が誕生日なんですけどなにかできますか?」というかなり抽象的なお願いをしてしまいました。するとお兄さんは「ではケーキにご用意しますね」と良い笑顔で言ってくれたのですが、ケーキ「を」用意するのか、それともこちらが頼んだケーキ「に」何かしてくれるのかよくわからなかったのですが、旦那が帰ってきてしまったのでお兄さんに聞けないままそれぞれデザートを注文。旦那はチーズケーキを、私はクリームブリュレにしました。  

待つこと数十分、お兄さんが勢いよく花火が噴出しているメレンゲケーキをもってきてくれました。「お誕生日おめでとうございます」といいながら旦那の目の前に置きます。花火は勢いがいい代わりにあまり長続きしないのですぐ切れてしまい、お兄さんはその花火の筒を持ち帰って、代わりにそれぞれのデザートを持ってきてくれます。 これでめでたく三種類のデザートがテーブルを飾りました。馬肉でかなりお腹がいっぱいになっていたので、苦しくなりながらもしっかり全部味わいました。それにしてもお腹がいっぱいの時のメレンゲケーキはつらいものがあります。お兄さんも「この人たちよく食べるな」と思ったに違いありません。 騎士に見送られながらコートを着ていると、案内のお姉さんが「今日お誕生日ですって?おめでとうございます!」と言ってくれるではありませんか。情報伝達が行き届いている…!お料理のおいしさはもちろんのこと、サービスの良さに大満足でお店を後にしました。カザフスタンに来て、とりあえずカザフ料理!と思ったらここがおすすめです。

Пока!

アスタナオペラ

Привет!

今週はいい天気が続いています。それでもセントラルヒーティングは勝手に切れないので部屋の中にいると熱く感じてしまい、外に出るときに服装を選び間違うということを繰り返しています。ロシア時代から成長していません。いつものように天気予報で現在の温度を確かめて「6度」の文字を見た瞬間、「今日は暖かいからトレンチコートで行けそうだ」と思ってしまった自分を恨んでいます。外に出るとみんなダウンを着ていました。

さて、2週間ほど前のある日、仕事が終わって晩御飯を食べていた旦那がおもむろに「明日オペラを見に行ってみる?」と言いました。…え?耳を疑います。   少し前からこのブログを読んでくださっている方はご存知かもしれませんが、彼は劇場があまり得意ではありません。どうしても眠くなってしまうそうです。唯一寝なかったのはサンクトペテルブルク随一のマリンスキー劇場と、モスクワを代表するボリショイ劇場だけです。確かにどちらもバレエの質はかなり高かったのですが、チケットも比例するかのようにかなり高かったのです。そもそもオペラってそんな前日に思いついて行くようなところでした?

あなたがそう言うんだったら…と、とりあえずチケットを公式ホームページから見てみることにしました。バレエはロシアでよく見ていましたが、オペラは私も旦那も人生初です。今回は雰囲気だけでも味わえればいいというつもりで一番安価なチケットを確かめると、一人500テンゲ(170円ほど)でした。170円?この値段であれば気楽に見に行けます。 アスタナ・オペラは町の中心部、ハン・シャティールの目の前にあります。世界第三位の大きさを誇るこのオペラハウスを目にした時、もしかしてあのチケット代はここの入場券だったのではないかと思い始めました。モスクワのボリショイに似た、それでいて「大きい」を意味するボリショイより大きなこのオペラハウスで170円で観劇できるとは到底思えません。2013年にナザルバエフ大統領の命で作られたこのオペラハウスのメインホールには1250席が用意されているそうです。2000近く席があるボリショイよりは小さめのホールです。ではどこに面積が使われているかというと、このエントランス。 二階からとった写真ですが、劇場に入った瞬間はこのエントランスのあまりの大きさと華やかさに少し息をのみました。案内のお姉さんたちが来ている制服があまりにも美しいのでそれだけでも一見の価値があります。壁にはよく見るとカザフの草原が写実的に描かれていたり、伝統的な模様が刻まれていたり、細部までこっています。中で売られている軽食や飲み物は劇場価格なのにモスクワよりは安く感じました。 メインホールはこんな感じ。やはり少しこじんまりとした印象を受けますが、つまりそれはどの席からでもあまり問題なく舞台が見られそうです。ちなみに今回見に来たのは「セビリアの理髪師」です。 パンフレットのデザインが綺麗。ちなみにこのパンフレットは1000テンゲ(330円ほど)でした。あれ、私たちのチケットの二倍の値段だ…!かなり分厚いのですがそれもそのはず、同じ内容がカザフ語とロシア語と英語で書かれているのです。写真もたっぷりで眺めているだけで楽しく、買ったかいがありました。オペラなのでもちろん上演はイタリア語ですが、前に字幕がでます。電光掲示板がステージの上についており、右半分はロシア語、左半分はカザフ語になっていました。さすがに英語の余裕はなかったようです。 ちなみに170円の席から見た舞台はこんな感じ。字幕が見やすいです。しかし、この字幕は私のロシア語能力では追い付かないほど速く流れていくので、結局予習が大事だなと痛いほど実感しながら観劇する羽目になりました。

舞台は、まず衣装が豪華で、小道具や大道具、背景までかなり作りこまれていたので話が分からなくなってしまってからも見ているだけで楽しかったです。突然馬が出てきたり、激高したヒロインがお皿をたたき割ったり、思っていたよりも演出が良かったので、170円でこんないいものを見せてもらっていいのかな、と心配になってきました。基本的にはカザフ人の役者さんが演じていたのですが、フィガロ役の人が明らかに上手でした。なにぶん見るのが初めてなので上手下手はわからないと思っていましたが、彼に関しては声の伸びから動き方から「この人はいい役者さんだ」と思わせるものを持っていました。

今度はちゃんと予習してまた見に行きたいです!

Пока!

カザフ語とロシア語

Привет!

モスクワでタクシーやバスに乗っているときも「皆さん運転が荒いなあ」と思っていたのですが、アスタナも運転の荒さに関してはモスクワといい勝負です。タクシーに乗っているときは車体が小さいせいか車に振り回されている感覚はありませんが、バスは曲がり角や赤信号の度にどこかにつかまっていないと足の踏ん張りがききません。そんなある日、あまりにも急ブレーキが多いバスに乗り合わせてしまいました。バーや吊革につかまっているのに、バスが止まると立っている乗客全員が前に押し寄せます。さすがに乗客の一人から「もっと穏やかに止まれないか」と運転手にロシア語でクレームが入りました。すると運転手が何かを怒鳴り返したのですが、私には理解できません。カザフ語だったのです。さきほどクレームを入れた乗客は「カザフ語はわからないからロシア語で言ってくれ!」と怒鳴ります。すかさず、運転手の横に陣取って運転手と談笑していた男性が「バスはこういうものなんだ、って言ってるよ」とロシア語で訳してくれました。そこからは乗客が「毎日バスに乗っているけどこんなの初めてだ」とか「そんな古いバスだったら早く新しいものに変えなよ」と口々に文句を言いますが、運転手は聞こえないふりをしていました。運転手が友達らしき男性と談笑しながら運転していたことにも、クレームに言い返したことにも驚きましたが、私は「国家語がカザフ語で公用語がロシア語とはこういうことなのか」と実感していました。これまで住んだ日本もロシア(モスクワ)もほとんど国語=公用語だったので、このような状況に遭遇したことがありませんでした。

2016年時点で、カザフ人は人口の66%、ロシア人は21%を占めています(Wikipediaのカザフスタンのページより)。一方で、少し古い情報ですが2007年時点、カザフ語普及率は74%、ロシア語普及率は84%だそうです(参照:Языки Казахстана)。カザフスタンはソ連が崩壊して独立した国なので、ソ連時代はソビエト政権の「ロシア語化政策」の影響もあり多くの人がロシア語で話していました。ペレストロイカ以降は民族意識の高揚がおこり、母語が見直されています。そして今、カザフスタン政府はカザフ語の普及を図るため、学校で使われる教科書をカザフ語にしたり、キリル文字からラテン文字に移行しようとしています(文字に関しては2025年までに完了目標)。ただ、私の個人的な感覚では、同じような状況であったウズベキスタンよりロシア語は多く残っているような気がします。ウズベキスタンの人たちよりも発音がロシア人に近いのです。ロシア系住民がロシア本国に次いで多いのも一因だと思います。

街中の人々はほとんどがバイリンガルのようです。今日もバザールで私に対してはロシア語で接客し、次のお客さんにはカザフ語で接客しているお店がありました。あれだけぱっと使用言語を切り替えられるのを聞くたびに、私は心の中で舌を巻きますが、こちらの人には普通のようです。なかなかその感覚になれません。

もちろん、カザフ語ができない住民も多くいます。実はソ連時代、シベリアには多くの朝鮮系の人々が農民として暮らしていましたが、スターリンの時代に中央アジアへ強制移住されているのです。カザフスタンにはその時からこの地に住む朝鮮系の人々が少なからずいて、この間乗ったタクシーの運転手さんのご両親が偶然その移住した人たちでした。彼に聞いてみると「ロシア語しか話せないよ。カザフ語は全く分からないし、家族とも朝鮮語では話さないなあ…僕は少し知っているけど、孫たちは全く話せないね」と言っていました。

ちなみに、カザフ語とロシア語は全く違います。カザフ語はトルコ系でロシア語はスラブ系…と言われてもよくわからないですが、音を聞いている限りは全く違う印象を受けます。カザフ語は語彙が少ないらしく、ロシア語からたくさんの単語が入っていると聞いたのですが、ほとんど聞き取れません。文字もキリル文字を使っているのですが、ロシア語では使わない文字もあって発音できません。 例えばこの看板の中の四角に書かれている文字、はじめ2行はカザフ語、下2行はロシア語です。四角の上に書かれているものも、上の行はカザフ語、下の行はロシア語です。文字の量も違いますね。これが全部ラテン文字に変えるとなると国民からの反発が出ないか心配です。二つの言語を持つ街で暮らすと興味深い経験が多いです。できれば少しカザフ語も覚えたいですが、その前にロシア語をもう少しちゃんとしなきゃ…と思う日々なのでした。

Пока!

ユーラシア・バザール

Привет!

先日SNSに「豚肉がない」という話を書いたところ、アスタナ在住の方から「ユーラシア・バザールに売っていますよ!」とコメントが来ました。こういう時にインターネットは便利だと実感します。というわけで、さっそくユーラシア・バザールへ行ってみました。 恥ずかしながら、この文字を見たときにはじめて「ユーラシア」という言葉が「ヨーロッパ」と「アジア」がつながってできた言葉だということに気が付きました。いまさら何を言っているんだ、とお思いの方もおられると思いますが(現に旦那にこの話をすると呆れた顔をされました)、キリル文字で「Евразия(エブラジア)」と書かれると、なるほど「Европа(ヨーロッパ)」と「Азия(アジア)」に分けられるな、と思ったのです。…自分の無知をさらすのはこれくらいにして、中に入ってみようと思います。

どの入り口から入るかにもよりますが、このバザールは「バザール部門」と「ショッピングセンター部門」が渡り廊下でつながっています。全体的な面積はかなり広く、一日難なく過ごせるでしょう。ショッピングセンター部門は価格帯がすこし上がりますが、内装はとても綺麗で映画館や小さめのフードコート、ボーリング場まであります。 一見するとほかのショッピングセンターと全く変わりはありません。

バザール部門は1階の半分と2回の全体がアルチョムバザールのような専門店になっており、あちらはほとんどが靴屋さんでしたがこちらは服屋さんが多く並びます。もちろん靴や食器、カーテン、スポーツ用品店、毛糸屋さんにおみやげ物屋さんなどもあります。歩いて見て周りながら「ここにあるものだけで生活が成り立つのでは」と思い始めました。 個人的にはアルチョムバザールより店と店の間が広いので買い物がしやすく感じます。

そして目的の食料品が置かれている一階へ。たまたま降りたところで加工肉を扱っていたので、近づいて「このソーセージは豚肉のですか?」と聞いてみました。店員さんは「もちろんですよ」と言いながら、ユーラシアの話をした時の旦那と同じ顔をしました。いやいや、スーパーには豚肉のソーセージじゃなくて馬や七面鳥のものしか見つけられなかったんですよ。モスクワでよく見かけたメーカーのものがあったのでそれを購入。お肉コーナーはわかりやすく各店舗の上に「牛肉」や「鶏肉」などと書いてあります。 そしてこの写真の奥の文字が見えますでしょうか。そうです、馬肉コーナーまであったのです。さすがカザフスタン!騎馬民族の国です。馬肉を扱っているブースは鶏肉よりも多いくらいでした。いつか馬肉を買ってみたいのですが、馬刺し以外のレシピを知らないのでお勧めの食べ方があれば教えてください。   そしてありました、お肉コーナーの端に隔離されているような豚肉スペースが! お客さんがほとんどいないので、このガラス張りのスペースに足を踏み入れることは少しためらわれたのですが、とりあえず入ってみました。一番近くで「ようこそ!どの肉がご入用ですか?」と声をかけてくれた金髪のヨーロッパ系の顔立ちをしたお姉さんに見せてもらうことにします。「とりあえずベーコンを…あ、骨なしで」というと平べったいお肉の塊をひっくり返しながら探してくれました。ベーコンって骨付きが普通なのでしょうか。できるだけ大きいものを勧めるお姉さんを制して「二人暮らしなので食べきれないです」と小さいものを選びます。ここには豚ミンチもありました。ほかには?と聞くお姉さんにこれはどこの肉ですか?と質問していきます。「これは背中、これは肩で、これは太ももの部分ですよ。こっちのほうは脂身が少なくて…」ととても丁寧に説明をしてくれます。使い勝手がよさそうな肉を見つけて、購入。 左側がベーコンです。ちなみに皮がついていたので、使う前に自分で外さないといけません。これがそれぞれ850gほどで、つまり合わせて1700gで、お値段が3700テンゲ(1200円ほど)。いつ食べきるかわかりませんが、お得だなあと感心しました。お支払いする前にお姉さんが「このお肉はどうですか?背骨の周りの肉で、おいしいですよ」と別の種類のお肉を勧めてきました。私が「どう調理するといいですか?」と聞くと、一拍置いて「…切って、焼くといいですよ」と返ってきます。そうだろうね。 野菜コーナーではかぼちゃが目に入り、足を止めてしまいました。私がモスクワでカボチャを探した話はこちらからご覧ください。 mickymm.hatenablog.com mickymm.hatenablog.com mickymm.hatenablog.com ここでは、満足のいくかぼちゃと一回目で出会えました!皮はオレンジだったものの、中身はほとんど日本のかぼちゃです。食感が少し違うのはこの際仕方がありません。店員のおばあちゃんが「どのかぼちゃがいい?甘いのだったらこれだよ」と言ってくれたのを信じてよかったです。このときのおばあちゃんと、その横にいたお姉さんの店員さんは私のことを覚えてくれているらしく、買い物に行くたびにいろいろとその場でナイフで切って味見させてくれるようになりました。

鶏肉コーナーでは当日取れた卵を売っているので、生卵…は怖かったので温泉卵にして食べることができました。そしてなんと、卵が6つで120テンゲ(40円)です。ポリ袋に6つ入れて渡されたので帰りに割れないか心配でしたが、なんとか守り抜けばこの卵はお得です。

週末には建物の外でたくさんテントが出て、野菜、お肉、一匹丸ごとの魚、パン、お菓子などが並び、買い物に来た人々でごった返します。 常設のお店も安く感じましたが、この外のテントはさらに安く、スーパーよりものもいいので家計にありがたいです。日本とも、モスクワとも買い物の仕方がすっかり変わりましたが、その土地に合わせて臨機応変にできると楽しいですね。さあ、今からお肉の下処理をしようと思います。

Пока!

アスタナの交通事情

Привет!

最近は-1度くらいなのですが、そのことをSMSに書くとモスクワの先生から「もうそんな寒いの!?今こっちは18度くらいよ。まさに黄金の秋!って感じですごくきれいなの。太陽が輝いてるわ」というコメントが来ました。去年のモスクワは気温も中途半端でずっとどんよりしていたので、あまり「秋」だという感じがしませんでした。今年は今年で、真夏の日本にいたと思ったらアスタナに着いた頃にはもう秋も終盤で、今は窓の外に雪景色が広がっています。…秋ってどんなんだっけ。

ここで降る雪を見ていると、モスクワより乾燥している土地のはずなのですが、日本の雪のように湿気を含んでいるなあとわかるぼてっとしたものの時もあります。そんな雪が降った次の日、とても天気が良かったので出かけることにしました。スニーカーを履いて、マンションの建物を出てから20歩で悟りました。「こんまま進んでたら、命がいくらあっても足りない」と。昨日の湿気を含んだ雪が地面で溶け、深夜の冷気で冷やされて舗装された道路が全部スケートリンクに早変わりしていたのです。慌てて家に戻って、冬用の靴に履き替えました。これなら滑らないので安心して歩けます。

今日はそんなこの町の交通事情を少しご紹介したと思います。実はこの町、地下鉄や電車が走っていません。都市間をつなぐ長距離の電車はありますが、市内の移動向きではありません。私は電車が走っていない町に住むのが初めてなので(イギリスでホームステイした村にもありませんでしたが、徒歩で端から端まで1時間くらいの小ささだったので不便は感じませんでした)少し驚いています。ここでの人々の足(比喩として)は主に三つです。この3週間で確認できた限りですが。

①バス
やはり公共交通機関といえばこれ。実家の近くに便利なバスがなかったので、あまり乗りなれておらずモスクワでもできるだけ避けていたのですが、乗ってみるとやっぱり便利です。どこにでも行けます。しかも大抵10分以内で来ます(今のところ)。 目の前に来た時に撮ったので「バス近影」になってしまいました。ちなみにこのバスには乗り遅れました。こんなきれいなバスもあれば「何年頑張ってるの…?」というような、元は白かったのであろうバスも走っています。バス停はバスマークの標識が立っているだけのところ、その近くに屋根付きで路線図が張ってあるいわゆる「バス停」のところ、待合室までついているところ、屋根はないけど電光掲示板であと何分でバスが来るかわかるところ、電光掲示板も屋根も完備しているところなど様々です。ちなみに電光掲示板に関しては時間が正確なので感動してしまいました。モスクワでは「あと0分」のまま10分ほど待ったこともあるので、基本信用していなかったのです。

前のドアから乗って(もしドアが開かなかったら途中から乗って運転手さんのところまで進みます)運転手さんに180テンゲ(60円)払えばレシートを渡してくれます。はじめのうちは何度かこの方法で乗っていたのですが、周りの人が何かカードをかざして支払いをしているので気になってきました。 これがバスカード。これを使うと90テンゲ(30円)で乗れるそうなのです。半額やん!何より毎回お財布の中に小銭を用意するのが面倒でした。すべての問題を一度で解決してくれるこのカード、なんという文明の利器でしょう。しかも1時間以内であれば、何度乗っても90テンゲだそうです。すごい。そしてちょうどそのころ、お友達が「バスのカードほしい?」と聞いてくれたのです。渡りに船とばかりに、一緒に買いに行ってもらいました。 町の中心部のバス停には、こんな機械が置かれているところがあります。ここに400テンゲを入れてカードを、そのままチャージしたい金額を画面上でタッチし、お金を入れると準備完了です。カードを買うときは1000テンゲ以上のお札を受け付けてくれなかったのに、チャージの時は5000テンゲ札まで使えたのは少し納得がいきませんが、とにもかくにも買えました。買う機械によっては一時間以内であってもバスに乗る度お金がかかるカードしか買えなかったり、使えるお札も違ったりするようです。

②タクシー   ロシアで使っていたYandexタクシーのアプリが使えているので重宝しています。 mickymm.hatenablog.com こちらの記事で紹介したものです。聞くところによると白タクもあるそうなのですが、ウズベキスタンとは違ってどの車がタクシーかわからないので怖くてまだ呼び止めていません。そもそもこのアプリを使ってもかなりタクシー代は安いのです。20分ほど乗っても900テンゲ(300円)前後です。しかも朝の出勤ラッシュの時で、です。日本でタクシーに乗るよりかなり気楽に利用できます。

③自分で何とかする   ある意味究極の方法ですね。車の数自体が多いので、ラッシュ時はそんなに大きくない町のはずなのにかなり混みますが、バスでもタクシーでも一緒なので自家用車を持つ人がやはり多いです。そして街中で目にする車はかなりごついものが多く、セダンや軽自動車などはあまり見かけません。色は黒か白が好まれるようです。別に車を持つことだけが移動方法というわけではありません。自分の足(物理として)で歩きながら町を見て回るというのも一つの手段です。ただ、建物が大きく土地が広いので、あの見えている建物まで歩こう、と思ってもなかなか到着しないことがほとんどです。見えているのに!また、これから寒さが厳しくなってくるのでなかなか徒歩だけで目的地までたどり着くのは大変になってくるかもしれませんが、運動の一つとしてはいい手段かもしれません。

Пока!

ついにバザール!

Привет!

先日、こちらに2年以上住んでいる方とお話しさせていただく機会があったので、気温のことを聞いてみました(どれだけ怖がってるんや、と自分でも少し思いますが)。すると、その方は「最近は温暖化の影響もあって、最低でもー30度くらいだよ」とおっしゃるではありませんか。タクシー運転手にはからかわれたんだよ、と。タクシー運転手とは一期一会なので、もうあの人と出会える確率は限りなく0に近く、文句を言う先がありません。やられた…!思い返せば、こんなふうに嘘か本当か分からないことを言われてからかわれたことが何度かあります。ロシアでもイギリスでも。

そんな私がおそらく最も行ってはいけない場所に行ってきました。バザールです。ロシアではрынок(ルイノック)と呼んでいましたが、カザフではバザールという名称が使われています。確かにロシアのルイノックは新鮮な食料品がスーパーよりすこし高価で売られており少し贅沢をしたいときに使っていましたが、ここのバザールはより生活に欠かせない場所だという印象を受けました。

今回私が行ったのはこちら。アルチョム・バザールです。 見た目はただの建物ですね。私も驚きました。なぜか地図アプリ「2gis」でアルチョムバザール(Артём базар)と入れると「アスタナルィク(Астаналык)」と出るのですが、住所は一緒ですし中に入ったら放送で「アルチョムバザールへようこそ!一階は食料品や〇〇などがおいてあり~」と言っていたのでアルチョムバザールで間違いないと思います。もし間違えていたらこっそり教えてください。

まず入り口を探してうろうろしたのですが、一歩入って驚きました。 ちょっとぶれていますがご容赦ください。こんな感じで両脇に野菜や果物を売っているお店がずらっと並んでおり、こんな道が三列あるのです。今回は野菜を買うつもりはなかったので素通りしたのですが、この中でどのお店で買うか決めるのはかなり苦労しそうです。このずらっと並ぶお店にはところどころ途切れていて、そこは奥にスーパーのような小さいお店があったり、パン屋さんだったり、鶏肉屋さんがあったりしました。中には「袋屋さん」まで!この列の真ん中あたりには化粧品から小さな家電、文房具までなんでもござれのお店群があり、迷子になりそうです。お肉コーナーはこの列からは区切られており、中に足を踏み入れただけで牛肉独特のにおいが鼻を突きました。それもそのはず、普通のテーブルの上にお肉が並んでいるのです。ロシアの人がお肉を洗うという話は聞いたことがありますが、確かにこう売られていたらその気持ちもわかる気がしました。相変わらず豚肉はありません(聞いた話ではこの近くにある黄色い建物の中で売っているそうなのでまた行ってみようと思います)。

このあたりで見ているだけであまりの商品数にお腹がいっぱいになってきたので帰ってしまいそうになりましたが、すんでのところで今回の用事を思い出しました。来る冬にむけてロングブーツを買いに来たんだった。ロシアにいるときからいつか買おう買おうと思ってタイミングを逃し続けていたのです。

エスカレーターを見つけて二階へ上がります。友達に「靴を買うならアルチョムバザールだよ」と言われていた意味が分かりました。 こんな風に靴屋さんが20軒ほど(あるいはもっと)並んでいたのです。いや、もう少し絞ってくれないとどこに入っていいかもわからない…。服を見るときは店員さんに声をかけてほしくはないけれど、靴を選ぶときは店員さんに相談しながら選びたいというわがままな私は、とりあえず手の空いている店員さんがいそうなお店を探しました。しかしこれだけお店があるのにどこもお客さんが2組は入っています。すごい。ようやく見つけてとりあえず入ってみました。「ロングブーツが欲しいのですが」「ご覧の通りここら辺全部そうですよ」…そうですね。「どれが一番おすすめですか?〇〇テンゲくらいので。-40度も大丈夫なものってあります?」今から思えばこの日いろんな店員さんにー40度を連呼してた自分が恥ずかしいです。こっちはブーツの中の毛が人工だけどこっちは本物だから温かいよ、これは表も本物の皮だから高いけど温かい、などいろいろと説明してもらったのですが、このお店では気に入ったもののサイズがなく断念。次のお店でも同じような会話をしてやっと見つけました。 ちなみにこの靴については「-30度まではいけるよ」という店員さんにしつこく「でもー40度になったらどうしたらいいですか」と聞いてしまいましたが、すこし戸惑いながら「この中敷きがあれば大丈夫だから」と説明を受け納得しました。どのブーツも内側に毛が張られているのですが、下からくるぶしまではより毛足の長い、暖かそうなものがついていました。なぜか半額になったので25000テンゲ(8000円ちょっと)です。お支払いはカードで大丈夫ですか?と聞くと、店員さんは「じゃあ1階におりましょう。ついてきてください」と商品をもって店を出るではありませんか。どこに行くんだろう…と思っているとATMの前で「じゃあここで下ろしてくださいね」と笑顔で案内してくれました。 なるほど。というわけで、もしここで買い物をするなら現金を用意したほうがよさそうです。ATMの前で下ろしたお金と引き換えに商品を渡してくれました。なんだか怪しい取引のようです。

アスタナにはたくさんバザールがあるのでしばらくめぐってみようと思います!

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MEGA Silkway

Привет!

ついにこの土曜日に雪が積もりました。降り始めたなあと思いながら料理をしていると、ほのかに床が温かいような…!そうです、ついにセントラルヒーティングがついたのです。まだ床の位置によっては温度にむらがありますが、それでも効果は抜群です。部屋が暖かいというだけで心に余裕ができます。寒さに震えている私を心配してくださった方がもしおられたら、その節はありがとうございました。おかげさまで元気に暮らせそうです。

これだけ気温の心配をしているのも、実はここアスタナは世界で一、二を争う「最も寒い首都」なんだそうです。実際はおそらく第二位なんですが。では第一位はどこでしょうか?モスクワ?それよりもっと北極に近いところ?いいえ、答えはモンゴルの首都ウランバートルです。ロシアに行く前は「寒い首都」といえばモスクワだったのですが、実際住んでみるとそこまで寒くはありませんでした(いや、大阪と比べると十分寒いのですが)。翻ってアスタナ。そうはいっても遷都して今年で20年のこの町がこれまで都市機能を失わずにやってこられたということは、そこまでの気温ではないだろうと調べてみると「ー40度まで行くことも」と出てきてしまいました。え、何でここに首都作ろうと思ったん。

タクシーの運転手と世間話をするのが趣味の一つなのですが、この話題を振ってみました。「最近アスタナに来たばっかりで、チラッとうわさに聞いたんですけど冬はー40度まで行くって本当ですか?さすがにそういう日が一日あるとかそういうことですよね?」と。するとおじさんは前を向きながらにやっと笑って「ようこそアスタナへ」…なにその意味深な返答は。「まあ、年によるけど長ければ一か月くらい続くときもありますよ」と続きました。予想よりはるかに長かったので思わず絶句する私を笑う運転手のおじさん。笑ってる場合ではありません。

ということで、友達と町はずれにある大きなショッピングセンター、MEGA Silkwayにコートを買うためにやってきました。 MEGAといえばモスクワでも郊外にあり、たいていIKEAなどが入っている巨大なショッピングモールだったのですが、2017年にできたここも同じようなもののようです。おそらく経営元は一緒のような気がします。   正面から入ってすぐにトランポリンスタジオがあり、たくさんの子供たちがそれは楽しそうに跳ねていました。彼らを横目にエスカレーターを上がると広大なフードコートが広がっています。フードコートって広すぎると一瞬ただの広場に見えるんですね。机と椅子がやけにあるなあと思って改めて周りを見渡してファストフードのお店が並んでいることに気づくという。

お目当てのコートを売っていそうな服屋さんは嫌というほどあったので、しらみつぶしに見ていきますが、なかなかデザインと機能性を兼ね備えたものが見つからず。B級SFに出てきそうな宇宙服のようなデザインのものまでありました。服屋さんでは変なデザインをよく見るのですが、街中ではあんまり見かけません。あれを買った人はどこで着ているんでしょうか。そもそも売れていないのでしょうか。おっと、お店の心配をするまえに自分の心配です。2時間近くふらふらしたのに成果が得られず、疲れてきた私たちは「スポーツマスター」に入ってみることにしました。モスクワでもよく見かけたこのお店は、スポーツ用品なら大抵売っているという便利な場所です。小さい店舗なら品ぞろえに不安が残るところですが、ここなら大丈夫そうです。アルペンスキーのウェアを見ていると店員さんに声をかけられたので、思い切って聞いてみました。「この冬を乗り越えられる上着を探しているんですが」「これとかこれはどうですか?」と言って実物を見せながら機能性を教えてくれます。有名メーカーらしく、いかにも保温してくれそうなのにデザインがかわいいのでポイントが高いです。「これいいですね。ちなみにこれはー40度でも大丈夫ですか?」と聞くと「-40度はちょっと…歩くならまだ耐えられるかもしれませんが、バスを待つとかはできないです」運動で発生する熱が大切なようです。「じゃあその気温に耐えられる上着はありますか」「今はないですね…おそらくほかのお店も10月末になったら出てくると思いますよ」とのこと。え、遅い…。今日も雪が降っていますが、本気で10月末まで売り出さない気かしら。買いに行くのがつらくなる前に出たらいいなあと思っています。 相変わらず派手なショッピングモールの内装。

Пока!