馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

ボスフォラス海峡クルーズ

Привет!

基本的に水辺が好きな旦那はどの街に旅行に行っても、そこに川や海があればクルーズをしたがります。イスタンブールでも例外ではありません。ディナークルーズもいいね、でもベリーダンスや伝統舞踊のセマーも見たいよね、と話していたのですが、私たちにはあと一晩しか残されておらず、何を諦めるか…と悩んでいたところで「ディナークルーズ、ダンスショー付き」の看板を見つけました。これだ!

海岸沿いに歩いているとそんなクルーズの案内がいくつかあります。お値段もかかりますが、背に腹はかえられません。看板の近くにいた係のお兄さんに声をかけて、申し込みをしました。8時にホテルに迎えに来てもらえ、クルーズが終わってからもホテルまで送ってもらえるそうです。気球もそうでしたが、このタイプのツアーが多いのかな。助かります。

8時を5分過ぎても誰も来ず、騙されたのかと不安になり始めた頃、運転手さんがホテルまで迎えに来てくれました。港まで行くバンにはすでにお客さんが6人ほど乗っており、みんなで会話が始まります。ドバイやオーストラリア、ドイツなど様々な国籍を持つ人たちが集まっておりとても楽しかったです。

港には何隻も船が並んでおり、乗りに来た人たちでごった返していました。運転手さんに「絶対離れずについてきてください」とかなり言い含められ、一緒にバンに乗った人とぞろぞろと連れ立って船へ。上の写真が私たちの乗る船です。この船は3階建てで、最上階がデッキになっていました。1フロアで50人ほどいたでしょうか。かなり大きな船でした。

私たちは1階の席へ案内されます。そして「どこの国からですか?」と聞かれました。日本です、と答えると机の上に見慣れた国旗が。 両脇の席の人たちの国旗が見慣れなかったので尋ねると、ルーマニアと南アフリカ共和国だそうです。このときにメインの料理がチキンか肉か魚から選べました。この日は昼に海鮮ばかり食べていたのですが、初志貫徹とばかりにまた魚を選びました。

そうこうしているうちに船専属のカメラマンによるグループごとの撮影が始まりました。「夫婦?OK、じゃあまず寄り添って。じゃあ次に見つめ合って。いいねー」という感じのノリのいい人でしたが、かなり至近距離で見つめ合う羽目になり、ちょっと気まずかったです。他の人も同じようなポーズを言われていました。 前菜。色々な味のパテでした。

さあ、いよいよ出港です。両岸のモスクがライトアップされていたり、橋がピカピカだったりとても見応えがありました。ずっとデッキにいようかと思ったのですが、中が騒がしくなったのでショーが始まったのかと席に戻ります。

フロアの中心にいたのは小柄な初老の男性でした。「ようこそ、ボスフォラス海峡のクルーズへ。今日の司会を務めます。さて、この年まで生きていると世界の色々な国に詳しくなりました。実際世界中旅もしています。さあ、皆さんの机に置かれている国旗を元に、今日共に旅をする人の国についてご紹介します」と言って、何十個あるテーブルを一つ一つまわって紹介し始めたのです。例えば「世界で一番大きな国。とても寒くて、雄大な自然が残っており、色々な民族にルーツを持つ人が暮らしています。そしてクマとウォッカの国です。ドーブルイ・ビーチェル(こんばんは)、ロシア!」というような司会の紹介に合わせて、民族音楽のカチューシャが流れ始め、紹介された人たちが真ん中に出てきて踊り始める(強制はされません)というような流れです。 踊っている人たちと司会者(右端)。ここで気になるのは日本の紹介と、選曲です。各国紹介も後半に来た頃、ようやく順番が回ってきました。「テクノロジーの国!彼らは性能のいいロボットを作ります。ロボットが働くレストランまであるのです。首都は東京!コンバンハー!ジャパン!」そして流れる『ルージュの伝言』。テクノロジーできたか!まあ忍者や侍、芸者などの言葉が出てくることを想像していたので少し驚きました。そしてやはりジブリは強いですね。『魔女の宅急便』の主題歌が日本を思い起こす曲なのか。ボスフォラス海峡の船の上でルージュの伝言に合わせて踊るという経験ができました。思ったよりアップテンポなんですね。

メインが出てきました。 シンプルに白身魚を焼いただけですが、それがまた美味しかったです。凝りすぎていないのがいいかもしれません。

しばらくデッキに出たり、歓談をしたりしていると、セマーが始まりました。セマーとはイスラム神秘主義(スーフィズム)の教団であるメレヴィー教団が行なっている教えの一つで、長いスカートをはいてくるくると回転する宗教行為です。円を描いて回転することによって、宇宙の運行を示し、神との一体を目指すという意味があるそう。オスマン帝国のスルタン(王様)でも信仰していた人がいる、トルコ発祥の宗教です。 昔世界史の教科書で見た時から気になっていたので、実際に見られて良かったです。目が回らないのだろうか…とかなり心配になりました。

そして男女6人のダンサー達によるダンスショーを挟んで、ようやくベリーダンスの女性がやってきました!腰と上半身を激しく揺らすダンスはかなり魅惑的で、いろんな人が楽しめると思います。はじめこそ真ん中で司会と踊っていましたが、途中から客席を回り始めました。 横の席の人とダンサー。みんな衣装にお金を挟みはじめたので、ちょっと気まずくなってデッキに逃げてしまいました。それにしてもダンサーのアピールが強烈でした。

最上階のデッキはとても気持ちよくて、小さなお子さんから大人まで、夜景を楽しんでいます。 左奥に見える歴史のありそうな建物のライトアップの仕方と、橋の近代的なライトが全く違う雰囲気を出しているのに、不思議とうまく全てが溶け合っている感じがイスタンブールというこの街そのもののような気がしました。