馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

トプカプ宮殿

Привет!

アヤソフィアの周りは歴史的建造物が多く、先述した地下宮殿とアヤソフィア、そしてスルタンアフメット・モスクとトプカプ宮殿、さらにはそれらをつなぐ広場になっているかつての競技場「アト・メイダヌ」を合わせて「イスタンブールの歴史地域/遺跡公園地域」として世界遺産に登録されています。ここを歩いているとまあ色んな人に声をかけられました。突然アラビア語で挨拶されて、旦那とどうしても写真を撮りたいと言われたり(私は?とジェスチャーしたら首を振られました)、日本語で「日本人ですか?」と聞かれたり。後者に関しては「今からどこ行くんですか?トプカプ宮殿?もう閉まりますよ。それより僕が知っているお土産物の問屋さんにきませんか?僕の店じゃないので僕が得するわけじゃありません」と言われたのでなんだか怖くなって逃げるようにしてその場を離れました。案の定トプカプ宮殿は閉まっておらず、きちんと観光ができました。基本的にこちらから声をかけたのでなければ、少し警戒してしまいますね。

そんなこんなでトプカプ宮殿! ちょっと気が動転していたので門や象徴的な建物の写真を撮り忘れてしまいましたが、トプカプ宮殿はメインの建物はなく、小さな建物の集合体です。というのも、もともとトプカプ宮殿は1453年にイスタンブールを陥落したオスマン帝国の皇帝、メフメト二世によって建てられた後、450年にも渡って歴代のスルタン(皇帝)によって増築されたからです。そのため、それぞれの建物は建てられた時の建築様式に沿っているため、構造が違います。

門をくぐってすぐのところは広い前庭になっており、そこにチケット売り場があります。前庭からはまた門をくぐって敷地に入ります。すぐ目に入るのは中庭と、キッチンに使われた建物です。ここだけレンガ造りで雰囲気が他と明らかに違います。 中は撮影禁止になってなっていますが、中は現在博物館になっており、スルタンがプレゼントされたり買い集めた食器や家具、陶磁器などがこれでもかというくらい展示されていました。

また、当時のキッチンの使われ方を巻物風の絵でスクリーン上に映したり、食堂の様子などもゲーム感覚で学ぶことができるテレビもありました。最大6000人もの人が住んでいたと言われるトプカプ宮殿。シェフも1200人いたそうです。その人たちが暮らしていた宿舎もありますが、そちらも今は中国から来たような磁器やヨーロッパ風の食器などが展示されていました。

これが全体図です。このキッチンからもう一つ門をくぐると広いお庭と地図上の赤い建物が集まっている場所に出ます。残念ながらこの中の半分以上が改装中のためか防音の布で覆われていて、見ることができませんでした。地図によるとスルタンの服や宝石が展示してある建物とスタッフの寮のようです。ちょうどこの旅行中、日本では「トルコの至宝展」が行われていました。副題は「チューリップの宮殿 トプカプの美」…つまりここにあった宝飾品が日本にあったのです!微妙なすれ違い…。

それでも入ることができた図書館はそのタイルの素晴らしさに目を見張りました。 いえ、この図書館だけではありません。どの年代の建物も、内部のタイルが本当に素晴らしく、見ているだけで楽しかったです。また、トルコはチューリップの原産地ということで、チューリップ模様の壁もいくつかありました。 この青い丸い花の間にある、下が赤く上が青い細い花がチューリップです。よく見ないと見逃してしまいそうなので、一つ一つのタイルに描かれている模様をよく見て楽しんでくださいね。

壁一面が同じ模様というわけではなく、このようにいろんな模様が組み合わされています。宝石庫は見られませんでしたが、これらのタイルを見るだけで価値はあると思います。またそれぞれの建物の天井もそれぞれ模様が全く違うので建物に入るたびに上を見上げるのが楽しみでした。

また「秘密の会議所(聖なる遺物)」と書かれた建物も興味深かったです。主にイスラム教の儀式で使われるものや武器などが置かれていて、メッカのカアバ神殿(イスラム教の聖地となっている場所です。今カアバと打ち込むと絵文字が出てきたので驚きました)の模型や、ムハンマドのマントと旗が飾られています。そしてたまたまその時間だったのか、お祈りの時間にモスクへと教徒を呼びかけるアザーンがずっと流れていました。カザフでも家の近くにモスクがあるので毎日耳にしているものです。ここでは順路に沿って見学をしていると、突然マイクが置かれた机の前に座った人がアザーンを唱えているところに遭遇。手を伸ばせば触れられそうな場所で、毎日聞いているアザーンを実際に唱えている人を見ることができて、なかなか貴重な体験をしました。この時まで誰かが唱えたものを録音して流しているのかと思っていたからです。

宮殿の一番奥はボスフォラス海峡を臨む高台になっています。 レストランなどもあり、人々の憩いの場になっていました。海が好きな旦那はここで動かなくなります。目の前にはイスタンブールのアジア側、少し横を見るとガラタ橋と新市街、そして海岸に目を向けると地元の若者たちが泳いで遊んでいました。本当に綺麗な景色です。

ここはハーレムもあり、一時期では400人から1000人もの女性が暮らしていたそう。民族同士の争いを避けるために奴隷や身寄りのない女子たちが連れてこられ、音楽や舞踊、水タバコやコーヒーなどの用意も学び、スルタンから声がかかるのを待ちました。ハーレムの暮らしは恵まれたものだったようですが、スルタンが代変わりすると女性たちも総入れ替えになります。今では考えられない暮らしが広がっていた、この広大な敷地を持つトプカプ宮殿は一見の価値があります。