馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

イスタンブール・グルメ(1日目)

Привет!

台風が関東を襲ったとニュースで見ましたが、皆さま大丈夫でしょうか。ヌルスルタンではあまりの冷え込みに毎日震えています。早くセントラルヒーティングがつかないかな。

さて、ノースリーブでも快適に過ごせた2ヶ月弱前のイスタンブールでのお話です。イスタンブールは海沿いの街ということで、内陸国カザフスタンでは食べられない海の幸を心から楽しみにしていました。まずはじめに向かったのはボスフォラス海峡にかかるガラタ橋。ガラタ橋は二重構造になっており、上は車道と歩道、下はレストランなのですが、歩道の下にあたる部分ははテラス席のように作られていました。

このガラタ橋のふもとでは名物の鯖サンドが食べられるということで、早速向かうことに。トルコのレストランでは大抵入り口にメニューと呼び込みの店員さんが立っているのですが、ガラタ橋の下のレストランも例外ではありません。店員さんに「サンドイッチある?」と英語で尋ねると、綺麗なカタカナの発音で「サバサンド?」それならあるよ、と言われました。日本人がよく来るのかな。お腹も空いていたので入店の意思を伝えると、案内されたのはテラス席です。他のメニューも見ずにとりあえずサバサンドを二つ、と入店時に注文したので、出てくるのは早かったです。 これがガラタ橋名物、サバサンド!トルコ語でバルック・エキメッキ。一口かぶりついたら、そのパンの美味しさとサバのさっぱりした味の虜になります。サバの味付けは塩だけで、それがより素材の美味しさを引き立てていました。骨は結構残っていましたが気にならず、むしろ骨まで食べてしまいたくなる美味しさ。挟んでいるパンも、外はカリッとしていて中はふわふわ、優しくサバを包んでいます。

テラス席だったので、あまりの美味しさに半泣きで食べている私たちを見た観光客が2、3人お店に入っていました。だからテラス席に案内したのか。ガラタ橋は歩道部分で釣りをしている人々が並んでいます。下の階にあるテラスから海をぼんやり眺めていると、時々アジなどの小さな魚が釣り上げられて、私たちの頭上へと引っ張られていくというシュールな光景も目にしました。

食後にはお会計を待っている間にサービスでトルコチャイも出てきて、なかなか満足のいくレストランでした。今調べてみると、他にもいくつもの有名で美味しいサバサンド屋さん(屋台)があるそうです。ここでこんなに美味しかったんだから、有名なお店で食べたら本当に泣いてしまいそうです。

次に向かったのは新市街にある「魚市場」。グーグルマップで日本語で「魚市場」と入れても出てきます。 新市街の目抜き通り、イスティクラール通りから伸びる路地で、お魚屋さんや野菜屋さん、香辛料屋さんにお土産物屋さんなどの軒が所狭しと連なっています。そして多いのが魚料理を扱ったレストラン。ここでも名物を食べるためにさっきはサンドだけで我慢したのです。この日は日差しも強く暑かったので、旦那はここに来るまでずっと「エフェス(トルコのビール)が飲みたい…美味しい海鮮と一緒に飲みたい…」とうわ言のようにつぶやいていました。なので、魚市場に入った瞬間に勧誘されたレストランの店員さんにビールと目当の料理があるかを尋ねると、すぐに入店。 これが絶対に食べたかった、ミディエ・ドルマス。日本語で言うとムール貝(ミディエ)のピラフ詰め。レモンをかけていただきます。これだけが運ばれてきたので、店員さんに「フォークとかスプーンとかない?」と聞くと「必要ないと思うけど」と言いながら持ってきてくれました。「必要ないってどう食べればいいの?手?」「まずレモンをかけて、刺さっているムール貝の蓋ですくって食べるんだよ」とのこと。 …確かに食べやすい!そして一口で食べられてしまうこの料理ですが、口に入れた瞬間に広がる凝縮されたムール貝の旨味と、もち米の美味しさ!そしてレモンをかけているのでさっぱりした後味で見事なフィニッシュ。ここでついに泣いてしまいそうになりました。ムール貝ってこんなに美味しかったっけ。イスタンブールにいた人にオススメの食事を聞いたら真っ先にこのミディエ・ドルマが出てきたのも納得です。世の中にこんなに美味しいものがあったなんて。

ここの店員さんに丁寧にお礼を言い、次の目当ての料理へ。それにしてもトルコの人は本当に人懐っこく、ここの店員さんも私たちが前を通るたびにとてもいい笑顔で手を振ってくれました。

イワシのフライが食べたかったのですが、サバサンドとムール貝で時間を使ってしまったのでほとんどのお店でもうないと言われてしまいました。その中で屋台のフライヤーに残っているのを発見! 屋台のおじさんは英語ができなかったのですが、身振り手振りでこれが食べたいと伝えるとお店の前に置かれていたテーブル席に着くように言われました。おじさんの笑顔があまりにも素敵だったので写真を撮らせてもらえるか聞くと、うまく伝わらずに一緒に写りたいのだと解釈され、周りの屋台から人を呼んできて撮影大会が始まりました。フライヤーの前に立ってトングを持たせてもらったり、撮影してくれている人にさまざまな撮影角度を指示したり、とても気のいいおじさんです。

みんなの気が済んだので、席について料理を待っているとすぐ出てきました! カタクチイワシのフライです。これにもレモンをかけていただきます。え、イワシってこんなに美味しかったっけ!?サクサクの衣と、ふわっとしたジューシーなイワシと、さっぱりした野菜。2人で美味しい美味しいと日本語で言いながら食べていると、おじさんがそっとミディエ・ドルマを二つお皿においてくれました。サービスだよ、という感じで。正直、さっき5つでは足りなかったので涙が出るほど嬉しく思いながら、トルコ語でありがとうを伝えます。私がメモを見ながら「ありがとう」をいうのが面白かったのか、陽気に笑ってくれました。

イスタンブールはもうどこで何を食べても美味しかったです。トルコ行きが決まってから1ヶ月ほどカザフで無理に魚を食べていなかったこともあり、海産物を食べるたびに「ああ、私は海の幸で育ってきたのか」ということを実感しました。イスタンブールに行ったら是非!魚を!ここの味は本当にずっと忘れないと思います。