馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

バレエ週間

Привет!

最近お湯が出なかったり、電気が止まったり(前もってお知らせはありました)、その他諸々の小さな問題が発生してバタバタしておりました。

ロシア語圏に来てから、急速にバレエを見る機会が増えたのですが、先週のように1週間で二回も見た日はなかったかもしれません。モスクワは街が大きいこともあり、数え切れないほどバレエを上演する劇場があったのですが(その分クオリティも値段もまちまちです)、我が街ヌルスルタンには二つしかありません。

今回は私が初めて行く劇場、「アスタナバレエ」に日本人のバレエカンパニーが来ると聞き、月曜日に見に行きました。 この6月4日から16日まで行われていた「ユーラシアダンスフェスティバル」に出場していたのです。他にはロシアやチェコからも来ているようですね。日本がユーラシアに含まれるかどうかは置いておき、お客さんも多く安心しました。このフェスティバルは3回目のようで、最終日は世界のバレエスターによるガラが行われました。

会場となったアスタナバレエは、万博会場の目の前にあります。 モスクワのボリショイ劇場のような、ヌルスルタンにあるもう一つの劇場「アスタナオペラ」とは違い、現代的な建物でした。サイズもアスタナオペラに比べると小規模ですが、その分舞台との距離が近く感じます。
私は一階席の真ん中左寄りの場所に座っていたのですが、そこから見る舞台の様子はこのような感じでした。 フェスティバル名が書かれた幕は毎度新調するのでしょうか。ひとつだけ、オーケストラピットがなかったことが残念でした。そのかわり幕が上がると、後方の壁に世界観に合った映像が流れるので面白かったです。

今回、1幕はコンテンポラリーバレエ、2幕はクラシックバレエという流れでした。1幕はさらに3つの踊りから構成されており、2つ目についてはバレエではなくダンスだったのですが、どの踊りにも共通しているのが「よくその筋肉だけ動いて、その体勢を保てるよなあ」という思いです。バレエを見る時はいつも思うことなのですが、今回はお話がなかったのでより踊りに集中できたのです。さらに、その前の週に「ビギナーヨガ教室」に行ってあまりの自分の体の動かなさに唖然としたところだったので、よりその思いが強まったのかもしれません。 背後の映像も五重の塔や障子、桜などを使い、日本らしさを出していたのも面白かったです。今回来てくれたバレエカンパニーは日本国際バレエカンパニーというところで、今回が初公演だったそうです。プロジェクトごとにバレリーナをオーディションで集めるようで、今回は10代後半から20代のプロになる手前のダンサーたちが集まったと聞きました。バレエの世界は本当に大変だとよく言われますが、彼らがこれからも続けて欲しいなあと思いながら見ていました。

ところで私がバレエの中で一番好きな演目は「ジゼル」です。 mickymm.hatenablog.com この時に見たのが初めてだったのですが、衣装がダントツで好みだった上に、他の演目に比べて劇のパートが多いところ、だからこそバレリーナによって主人公ジゼルやほかの登場人物の印象が変わることが面白く、モスクワでも2、3度見に行っていました。そのジゼルがここヌルスルタンのアスタナオペラにて初めて上演されることになったのです。1ヶ月ほど前から友達に金曜日のチケットを取ってもらっていたのですが、狙ったかのようにその日にどうしても外せない用事が入ってしまい、落ち込んでいました。

すると水曜日に、アスタナオペラでバレリーナをしているお友達から「金曜日に来れなくなったと聞いたのですが、よかったら明日のゲネプロに来られますか?」とお誘いをいただきました。もう天にも昇る心地です。ゲネプロというのは、本番前に本番と同じようにオーケストラも入れて、衣装もつけてリハーサルをするというものです。 場所は選べませんが、ちゃんとチケットもあります。席が手書きなのが特別感をより盛り上げてくれます。実際には舞台が始まると、周りの人は空いている席にどんどん移っていきました。

今回のジゼルは、これまで見たものと大道具は一緒だったのですが、やはり細かいところは全く違って興味深かったです。ちょっとした手の仕草ひとつでジゼルが心臓が弱いことを示したり、貴族の皆さんが狩りに行っていたことを示すために鷹や獲物をもっていたりと説得力が増していました。

看板の前は人が多く、知らないお姉さんを撮ってしまいました。
ゲネプロだったのでやはり途中でアナウンスによる舞台上の人への指示が入るなど、いつもと違う感じも味わえましたが、やはり今回も素晴らしく、これからアスタナオペラのレパートリーの一つとして毎年上演されるといいな、と思います。

ただ今回少し残念だったのは、録画している観客があまりにも多かったこと。舞台最後のカーテンコールの時だけ撮影は許可されているという認識なのですが、横の人は踊りが変わるたびに撮影をしていました。踊りが美しいので気持ちは分かるのですが、特に二幕の夜の森でウィリー(亡霊)たちが踊っているところなどは携帯電話の明かりが本当に眩しいのです。次にそのような状況に遭遇したらちゃんと注意できるように、ロシア語をもっと勉強した上で度胸をつけようと思います。

Пока!