馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

靴センター

Привет!

しばらく雨模様が続きそうなモスクワからお届けします。寒くて雨が降るならもういっそのこと雪が降ってくれないかと願っているのですが、しばらくは難しそうです。最近は黄色く紅葉した葉っぱが風に飛ばされていて、道行く人々が綺麗な落ち葉を見つけると突然かがんで拾い上げるのでぶつかりそうになります。でもみんなこうやって短い秋を楽しんでいるんだなあ。

さて、去年の初雪は10/27でした。今年はまだいつか分かりませんが、備えあれば憂いなし。去年そこらへんの市場で1300p(2600円)という破格の値段で買った冬用の靴は案の定、一冬(と言ってもほぼ半年)履いていると底と側面に穴が開いてしまったので、泣く泣くお別れしました。

というわけで、行ってきたのは友達に教えてもらった「Центр обуви и одежды (服と靴センター)」です。 メトロАвтозаводская(アフトザヴォーツカヤ)駅3番出口を出ると左手に建っていました。

「靴屋さんがめっちゃある」という友達の前情報で私が想像していたのはよくある市場で野菜や果物の代わりに靴が並んでいる様子。それはもういろんな靴が雑多に置いてあるのかしら、などと想像しながら自動ドアを通ると、携帯電話屋さんが並んでいたので来るところを間違えたかと思いました。少し奥に進むと、目的地に着きました。 思っていたより綺麗で、整然としていて、見やすそうです。

「靴と服センター」とは言いつつも、7割が靴で2割が服、1割が手袋やカバンという感じでした。外から見ている限りでは置いている靴はどこも同じようで、品数もそんなに変わりません。どのお店にも大抵男性用、女性用のどちらも置いてありました。私はもともとスニーカーのような動きやすくて中に毛がついている暖かい靴を探していたので、たまたま見かけたお店に入ってみることにします。偶然そこの店番をしていたおばさんと目があって、声をかけられたからでもありますが。

入ってすぐに「秋用?」と聞かれました。プロフェッショナルそうなこのおばさん、さすが話が早いです。私が「いえ、冬用の靴です」と答えると、そこから矢継ぎ早に質問されます。サイズは?色は?お出かけ用?ヒールは?…などなど。1つ1つ答えながら、いくつか靴を出してもらいました。 こんな風に片方だけが棚にずらっとならんでいます。いくつか履かせてもらっていると、ピンと来たものがありました。明らかに私の反応が違った様で「これ気に入った?そうだと思ったわー。もう片方も履いてみる?ちょっと待ってね、取って来るから!お客さん来たら適当に話しておいて」と行ってどこかに行ってしまいました。え、ちょっと待って、最後の言葉…!

売り物の靴に片足を入れてぼーっと椅子に座っていると、老夫婦が入って来ました。ほら言わんこっちゃない。「いらっしゃいませ」とかいうのも変なので、黙っていると、おじいさんに「店員さんどこ行ったの?」と聞かれました。「分かりません…私のもう片方の靴を取りにどこかへ」「君はベトナム人?」「いえ、日本人です」「そうかそうか、ロシア語うまいね」久しぶりに言われたー!ちょっと感動していると彼らは店を出て行ってしまいました。店員さんごめんなさい、私の接客術では足りませんでした。

そうこうしているうちに、おばさんはもう片方の靴を持って帰ってきました。息が切れています。私が何か聞くまでもなく「遠かったの」と言って、両足とも靴を合わせてくれました。ぴったりです。ちゃんとはじめに伝えていた予算以内で収めてくれて(なんなら少しまけてくれて)、気に入ったものが買えました。 こちらです。4000p(8000円)でした。

ちなみに老夫婦は私がお会計をしている間にまた戻ってきて、店員さんに質問していたので私も一安心でした。

奥にはスーパーやイートインできるお店もあり、他にも靴のお直しなどもできるお店があったので、かなり便利だと思います。今度は旦那を連れて行きたいです。

Пока!

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びっくりしたこと④

Привет!

新しく来たイタリア人のRさんは、昨日学校を早退していました。なんでもロシア国営放送の1チャンネルの番組「Давай пожениться(結婚しましょう)」に出るため。今日どうだったか聞いてみると、ロシア人女性3人(全員が綺麗)と話して、3人それぞれからサプライズを受けて、一番いいと思った人を選ぶというものだったそうです。行く前は「まあ、そんなテレビ番組なんかで未来のパートナーを見つけるつもりはないけど」と言っていたRさんでしたが、今日は「めっちゃいい子がいたんだ!番組の後ご飯に行ったよ。サンクトペテルブルクでモデルをしているから帰っちゃったけど、また中旬にモスクワに来るらしいんだ。彼女は本当に素晴らしいよ」と話していました。おめでとう。

さて、まとまりがないとあまり好評ではないびっくりしたことのコーナーです。最近は何事にも動じない強固な精神を手に入れたので貴重になってきたこのコーナー。今回は美術館での一枚から始めます。 名高いトレチャコフ美術館の絵にも洗濯バサミがつくことはあります。…いや、ありますか?どんな状況になったら展示室に飾ってある額縁に洗濯バサミがつくのでしょう。美術関係の専門の方の意見をお待ちしています。

絵つながりで、次はこんな写真を。この間、友人を送るために行ったドモジェドヴォ空港ではオクトーバーフェストを開催していました。 オクトーバーフェストコーナーはダンボールで作られた敷居で囲まれていたのですが、そこに描かれていた牛です。やけに顔が哀愁漂う感じでギョッとしてしまいました。一面に草原と山と青い空が描かれていたのですが、私にはスイスにしか見えません。なんでこのイメージなんだろう。そしてダンボールを切ったまま作っているので、ダンボールの中の波波の紙がよく見えます。倒れないか少し心配になりました。

話は変わりますが、この間スーパーに行きました。家に一番近いスーパーの店員さんたちはもうほとんど顔なじみで、少し話したりもするようになりました。継続は力なり。一年間、レジの度に笑顔で挨拶していたのが功を奏しました。

この間もお会計をしていると、665pだと言われ、1015pを出しました。店員さんは「よくできました!」と言って、最後に何かを「どうぞ」とくれました。 わーい、トロールのフィギュアだー!…一体私は何歳に見えているのでしょう。こうなると、先ほどの「よくできました!」はロシア語のリスニングではなく、計算について言われたのかもしれません。

ショッピングについてのお話をもう1つ。皆さんはロシア文学の作家、ゴーゴリを知っていますか?「外套」や「鼻」など、普通の人々の生活を悲喜劇として、皮肉と哀感を持って描き出した人です。彼の名前がついた映画が8月末から公開されているので、テレビでよく予告編を見る機会がありました。ところが、吸血鬼やゾンビなどが出てきて、ゴーゴリが持つペンは血にまみれているのです。ダークファンタジーなんですが、どうしてゴーゴリでする必要があったのだろうと首を傾げていました。そんな中、本屋さんでノートを買った時に「袋入りますか?無料ですが」と言われ、お願いして出てきたのがこれ。 映画のゴーゴリだ!ちなみにA4ノートを買ったのですが、この袋はその4倍の大きさでした。持って歩くの恥ずかしい。ちなみにゴーゴリの髪型は独特なので、彼の銅像は遠くからでも分かります。ついでに、プーシキンの銅像はもみあげで判断できます。レーニンも髪型で見分けられるようになってきました。

では、最後にその文房具屋さんにあった、日本を代表するゆるキャラのペンを。 最近パリに行ったそうなので、次はモスクワに来てねくまモン!

Пока!

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新しい公園

Привет!

新しく、クラスにイタリア人の言語学者が来ました。私が日本人だと伝えると「日本の歌なら二つ知っているよ」と言う彼。おお、じゃあ歌ってみて、とお願いして聞こえてきたのは「きーみーがーあーよーおーはー」え、まさかの国歌!?個人的に上を向いて歩こうくらいだと思っていたので度肝を抜かれました。止めるわけにもいかず最後まで聞きましたが、ところどころ文字が間違っている以外は完璧でびっくりしました。趣味が国歌を覚えることで、もう60カ国くらい歌えるそうです。びっくりしすぎて、もう一曲何を知っているのか聞くのを忘れました。

さて、もう気温も一桁台が普通になり、ほとんどのモスクワの家庭に暖房が通って冬本番という感じになってきましたが、あえて新しくモスクワにできた公園を紹介したいと思います。 その名も「ザリャジエ(зарядье)」です。2006年まで営業していたホテル「ロシア」の跡地に2014年から建設が始まっていたのですが、このあいだのモスクワの日にようやくお披露目となりました。実はまだ完成しておらず、いくつかの施設は開いていないのですが、公園として充分楽しいです。

日本から来た友達とオープン1週間後に行きました。先ほどの写真でもワシリー寺院とクレムリンのスパスカヤ塔が真ん中に映っていますが、ワシリー寺院の裏に公園の入り口があるのです。 今はまだ警備員が常駐して、金属探知機のゲートをくぐった後にカバンの中身を見せなければ公園に入れてもらえませんが、色々と物騒な世の中で少しでも安心できます。

さて、この公園には今の所2つの見所があります。 うまく伝わるか分かりませんが、写真の左右から白い道が伸びていますよね。これはモスクワ川に大きくせり出した橋になっており、なんと川の方に支柱が建てられていません。それでも3000から4000人が一斉に乗っても大丈夫な作りになっているそうです。

アメリカの設計会社が作った(ニューヨークの公園なども多く手がけているそうです)この橋は、絶景ポイントです。スターリン建築がすぐ近くで邪魔物なしに見え、ハリストス大聖堂や遠くの方にはモスクワシティも楽しむことができます。 夜に行くのも素敵でした。もうカップルと家族連れしかいません。そしてみんな競い合うように写真スポットを取り合っています。友達と自撮りしていると、横のカップルから写真を撮ってくれないかとお願いされたりもしました。友達曰く、ロシアの人はフォトジェニックのプロだそうです。

さてもう1つの見所は、この公園に入った誰もが目にするであろうこの建物。 丘に作られた円形劇場で、ガラスが覆っているので冬でも寒くないのだとか(本当かしら)。ここは2500人収容できます。ちょうどこの時、この覆っているガラスの上に人が乗って一生懸命磨いていました。その人たちをぼーっと見つめていると、突然手を振られます。え、私たちにかな!?とちょっと興奮しつつ、手を振り返すと、向こうも「反応があった!」みたいなリアクションをされました。仕事はいいのか。

そして丘の向こう側はまだ芝生を並べている途中でした。オープンに間に合わせようよ。

また、私は気づけなかったのですが、公園内では「混合林」や「北の風景」などと行った四つのテーマで植えている植物を分けているそうです。 入り口です。インフォメーションセンターの横にシベリアの白樺が植えられています。

そしてここを建設中に中世の武器や銀貨、家の基礎などが見つかったので、それらを集めた博物館もあるそう。今度行った時に探してみます。というのも、78000平方キロメートルもの広さを誇るこの公園。全部歩けていません。

溶けない氷河の洞窟や地下都市(タイムマシンなどのアクティビティができるらしいです)などの施設はこれから完成予定!楽しみです。 これはメディアセンター。入れませんでした。

少し寒くなってきましたが、散歩だけでも楽しいので、モスクワに来られた際は是非。

Пока!

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民芸品博物館

Привет!

メトロで私の前に座っていたお兄さんの靴紐がほどけていました。そのことに気づいた私の横のおじさんが自分の足(というか靴)を振って合図します。…と、そのおじさんの靴紐もほどけているではありませんか。合図されたお兄さんは「あなたもね!」という感じでその靴を指差し、二人して屈んで靴紐を結びはじめます。その光景にほっこりしていると私はメトロのプリペイドカード、トロイカをなくしました。1000pほどチャージしたばっかりだったのについていません。

さて、モスクワの博物館の紹介です。今日は民芸品博物館。 ここも弟と行きました。整理して数えてみると、2週間で18個も美術館や博物館に入っていたそうです。それでもまだ行っていない博物館があるというのが信じられません。

この博物館は、正式名称をвсероссийской музей декоративно-прикладного и народного искусства, 訳すと全ロシア装飾工芸と民族芸術博物館、と言います。民族学に興味のある弟が見逃すはずはありません。地球の歩き方には最寄駅がцветной бульвар(ツヴェットノイ・ブリヴァール)となっていますが、環状線のНовослободская(ノヴォスラボーツカヤ)駅からでもいけます。歩いて15分ほど。サドーバヤの環状道路に面しています。

説明では「ロシアのあらゆる民芸品を展示」や「定番のマトリョーシカを始め、人形や織物、陶器など」と書いてあったのですが、マトリョーシカは2セットだけしかありませんでした。 しかも地下の廊下の端に。なので、マトリョーシカ目当てで行くとがっかりするかもしれません。

では、どんなものがあるかというと、ガラス細工と陶器、そしてパレフと呼ばれる、綺麗な絵が蓋に描かれた漆塗りの箱でした。 これは帝政時代につかわれていた、燭台などを展示した部屋です。部屋によって雰囲気がガラリと変わっていました。

随時企画展も開かれており、私たちが行った時は「クマが登場する作品」がテーマで、可愛らしいおもちゃからシーシキンの三匹のこぐまの絵が描かれたパレフ、クマが人を襲っている瞬間の木彫り(木彫りの熊なんて可愛いものではありませんでした)、など多岐にわたる展示で楽しかったです。

陶器コーナーはソ連時代に使われていたものが多く並べられていました。あの有名な鎌と槌をモチーフにしたソ連のマークはデザイン性が高いことに気づきます。 下の段のものは一瞬あのロゴマークがモチーフだと気づきませんでした。

また、陶器でつくられたチェスの駒は、鎌と稲穂を持った人たちと赤軍のソ連チーム(写真左)と、鎖で巻かれた人たちと金の鎧を着た王家の帝政軍(写真右)に分かれていました。確か1920年くらいの作品だったので、こういうのも一種のプロパガンダだったのでしょう。見ていて複雑な気持ちになりました。

相変わらず順序がなく、展示室ごとに座っているおばあさんたちに聞きながら回って行ったのですが、途中誰かの書斎を再現したようなコーナーがありました。周りには箱がたくさん並んでいます。ゆっくり見て回っていると、スタッフのおばあさんが私たちのところにやってきて「このオルゴールは実際に鳴らせるのよ!」と言って実演してくれました。 手前についているハンドルを回すと多彩な音が溢れてきます。聞き惚れていると、突然おばあさんが回しているハンドルが取れてしまいました。「ネジと一緒だから、すぐ付くわ」と言って頑張るも、なかなか付きません。慌て始めるおばあさん。全く責任はないけれど、その場を離れようにも離れられない私たち。かなり長い時間(実際には短かったかもしれません)見守っていると、とうとうネジにしっかりはまりました。どこかのアンティークショップのチラシが近くに置いてあったので多分借りたものだと思うのですが、無事に直って本当に安心しました。

少しわかりにくいですが、こちらがパレフのコーナー。 高級そうです。

思ったものとは少し違いましたが、民芸品からロシアの歴史が垣間見られる、面白い博物館でした。中心地に近いので、行きやすいです。

Пока!

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秋終了のお知らせと秋祭り

Привет!

前回の記事を投稿した直後に、家の中で「コポコポ…」という音がし、セントラルヒーティングの管を触ってみると暖かくなっていました!ついに冬が始まったのか…と感慨深いです。2回目のモスクワの冬。去年よりは軽く乗り切りたいです。昨日は友人家族を読んで冬定番のお鍋をしました。そこで「セントラルヒーティングついたね!ほら!」と言いながら触ると冷たくなっています。

…なんで?
ところが今朝、また暖かくなっていたのです。小躍りする私と旦那。そして今、触ってみるとまた冷たくなってしまっています。 一体政府は何を考えているのでしょうか。外気温は5度だというのに、部屋には意のままになる暖房はないというのに、お湯を通してみたり、止めてみたり、市民が振り回されるのを見て楽しいのでしょうか。それともこんな風に踊らされているのは我が家だけで、例えばお隣さんは暖かい部屋でアイスでも食べているのかもしれません。真実を知るのが怖くて隣の住民に尋ねられずにいます。

そんな中、赤の広場付近やその他モスクワ市内の数カ所で"золотая осень"というイベントが開催されています。こんな感じ。 無数のかぼちゃ。そう、"золотая осень"とは「黄金の秋」という意味。モスクワにいると夏が終わった瞬間に冬が来たような感じなんですが、こうやって秋を感じるんですね。ちなみにこのお祭りのためにボルゴグラードやクラスノダールから集められたかぼちゃは総じて100トン。思っていたより数字が少ないと思ったら単位がトンでした。赤の広場前(マネージ広場)をちょっと歩いただけで、これでもかというくらいかぼちゃが置いてあるのです。

授業中にこのお祭りに関する記事を読んだ時、分からないことがあれば聞いてね、と言った先生にみんなが聞いたのは「かぼちゃでできた蝶がいます」という箇所でした。単語は全部わかるのに意味がわからない!とクラスメイトで話題になったのですが、実際見てみると確かにそうとしか言いようがないな…と思います。

他にもかぼちゃでできた列車や、かぼちゃでできた噴水(バターナッツの塔ができており、いくつかのバターナッツから水がちょろちょろと出ているものでしたが)などかぼちゃがゲシュタルト崩壊しそうでした。中でも可愛かったのはかぼちゃでできた牧場。 羊と鶏と向こうに見える馬!可愛い。子供たちが前でポーズを決めているのも可愛い。親たちがポーズを決めて子供に撮影させているのはすごい。とりあえず人が多かったです。豚は胴体が支えきれなかったのか 全部このようにぺちゃっとなっていました。

歩いていると周りの植木鉢にもかぼちゃが入っていたり、突然無造作に置かれているので、ひとつくらい持って帰ってもバレないとは思うのですが、去年かぼちゃと壮絶な戦いをしたのでしばらくいいです。ただ、帰りの電車で、目の前のおじさんが持っているカバンにかぼちゃが入っていました。持って帰って来ちゃったのかな。

赤の広場の横にあるグム百貨店は、この間まで名物の噴水にはスイカが浮いていたのですが、もう水は止められて、かぼちゃであふれています。 このお祭りは10月8日まで。

そうこうしているうちにクリスマスマーケットができて、スケートリンクも始まって、真っ白な冬の世界になるんだろうな。

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絵画を「読む」

Привет!

機会があったので去年のブログを読み返していたのですが、なんと今の時期にはもうセントラルヒーティングが付いており、コートも解禁されて10月から手袋を解禁しようかな、と書いていました。まだトレンチコートで出歩き、セントラルヒーティングがつく気配もなく、10月に入ったらコートを解禁しようと思っているので、去年に比べると暖かいようです。慣れただけかと思っていました。いや、朝晩の冷えは冗談じゃないくらいなんですが。セントラルヒーティングは8度以下の日が5日続いたらつけるそうなのですが、今の所iPhoneの天気予報によると最高気温が8度の日が4日続いたかと思うと次の日に11度まで上がるようで、なかなか条件が揃わないのですが、いつつけるつもりなのでしょうか。政府の判断基準が最高気温ではなく、1日の平均気温であることを心から願っています。

最近、学校では「モスクワとサンクトペテルブルクの観光案内」というテーマで色々な文法を復習しているのですが、これまで色々と見てきて覚えた単語が沢山あって助かっています。それぞれの町の歴史だけではなく、色々な観光名所についての文章も読んでいると、美術館について書かれたものが多いのです。そこで先生が私たちに尋ねました。「ロシア人の芸術家だけの美術館に行ったことはある?モスクワのトレチャコフ美術館とか、サンクトペテルブルクのロシア美術館とか。どうだった?」この問いに対するフランス人Jさんの答えはこうでした。「トレチャコフにある絵はほとんどが暗くて(色遣いも情景も)あまり好きではなかったけれど、ロシア人の精神や人生に対する姿勢がとてもよくわかって面白かった」。この意見に私はある程度賛成でしたが、同時に「背景にあるお話を知っているともっと面白く見られるよ。暗い色調に隠された細かいところまで見てみると色んなことが見えてくるよ」と付け足しました。

そうやって楽しめるようになったのは、弟が母から預かって、ある本を持ってきてくれたからです。 光文社新書の「名画で読み解く ロマノフ家12の物語」。作者は「怖い絵」シリーズを書いている中野京子さんです。私は「怖い絵」シリーズは読んでおらず、この本も持ってきてもらうまで知らなかったのですが、ロシアにいるなら是非読んでおいて、と渡されてページをめくってみました。

中野さん自身がドイツ文学者ということもあり、ドイツ(当時はプロイセン)とロシアの関わりから始まります。なんと帝政ロシアを300年に渡って存続させ、そして終わらせたロマノフ家はプロイセンから出てきていたのです。そのことに衝撃を受けた後は、もうページをめくる手が止まりませんでした。一度行った博物館であれば弟を一人で行かせ、待っている間のカフェで読みふけります。その結果、3日で読み終わりました。

何と言っても中野さんの紡ぐ文体が私に合っていたこともあり、内容がすぐに入ってくるのです。ロマノフ王朝がどんな風に引き継がれていったか、繰り返される暗殺と策略、絡み合う思惑、そしてそんな中で形成された代々の皇帝の人格までもが分かりやすく書き出されています。

この本を読んだ後でトレチャコフ美術館に弟と訪れた時は、退屈だと思っていた肖像画の部屋でさえもみんな昔からの知り合いのようで親近感が湧きますし、本に出てきた絵画が展示されているところでは感動したあと隅々まで見てしまいました。そうなるとJさんが言っていた「暗い絵」も背景にこんなドラマがあるからこの表情なのか、ということがわかり、興味深くみることができます。

「怖い絵」のインタビューで作者の中野さんはこう言っておられました。「絵画、とりわけ19世紀以前までの絵は「見て感じる」より「読む」のが先と言われます。一枚の絵には、その時代特有の常識や文化、長い歴史が絡み、注文主の思惑や画家の計算、さらには意図的に隠されたシンボルに満ち満ちています。現代の目や感性だけではどうにもならない部分が多すぎるのです」確かに、パッと見て気に入った絵は、美術館を回っても3、4枚です。それ以外は素通りしてしまいがちな私にとって、この感性で見るのではなく「読む」という方法は新しく感じました。

ロシアに近々来る予定の方、行く予定はないけれど興味はあるという方、ロシアに興味はないけれど絵画が好きな方、ただある王家の興亡について知りたいという方、色々な方にオススメの一冊です。個人的に最も驚いたのは詩人プーシキンのおじいさんがエチオピアの黒人だったということでした。どうしてエチオピアからはるばるロシアまで来ることになったかのかは、本編でどうぞ。

ちなみにフランスのブルボン家、オーストラリアのハプスブルク家についての本も書かれているそうです。機会があったら読みたくなりました。世界史は高校生の頃から好きでしたが、テスト用に覚えなくていい今、以前よりもっと興味が湧いて来ました。

Пока!

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バレエ「青い鳥」

Привет!

今週は後半から曇りが続いているせいか、最近気だるいです。こんにちは。太陽の力が偉大だということを毎年思い知らされます。

さて、友人がロシアに来てくれるというのでなにがしたいか聞いて見たところ「やっぱりバレエはみたい」と言われました。ロシア伝統ダンスショーコストロマがちょうど終わってしまい、他の有名なバレエはチケットが取れず、どうしようかと思いながら大手チケットサイトを見ていると、子供用の「青い鳥」のバレエのチケットを発見しました。 なぜか誰かの書き込みがしてあったパンフレット。怖い。

場所はУниверситет(ウニベルシチェット)駅のボリショイサーカス奥にある「サッツ子供音楽劇場」。サッツさんが作ったところだそうです。子供用だということで、一階席の後ろから8列目くらいの席でしたが、300p(600円)で見れました。前の方でも1000p(2000円)くらいだったかな。劇場に向かう時から周りにドレスアップした子どもたちがいて、勝手に癒されていました。 奥にある、火の鳥のようなものが上に乗っているのが劇場です。一瞬小さく見えましたが、中に入ってみると思っていたより広くて驚きました。子供用劇場だからか、ロビーでフェイスペイントのお店やおもちゃのお店などが出ています。サーカスのロビーみたいで楽しかったです。あちこちで仮面舞踏会の参加者みたいな格好をしたダンサーたちが手を振っていました。

青い鳥と言えば、主人公はチルチルとミチルで、幸せの青い鳥を探して旅に出るけど結局自分たちの部屋に居た、幸せは気付かないくらい身近にあるよっていう話でしょ?と知った気になって調べて行かなかったのですが、始まって10分で後悔しました。

バレエは基本、クラシック音楽以外の音は聞こえてきません。誰も台詞は言わない代わりに躍りで表現します。だからこそ登場人物だけでも知っておかないと混乱するのですが、そこは子供向けです。はじめにナレーターが出てきて、お話を軽く紹介してくれました。それ以降も話が進むにつれて増える登場人物を天の声のような感じで教えてくれます。そこはありがたかったのですが、チルチルとミチル兄妹とともに旅をする仲間が増えるシーン。火と水が擬人化したものは衣装でなんとなくわかりました。犬と猫も(聞こえるくらいの声で鳴いてくれていましたし)。途中で可愛い衣装のバレリーナが出てきました。あれは何が擬人化したのかなあと思って見ているとナレーターが言いました。「ほら、パンと砂糖が来ましたよ」…!?横にいた友達に小さな声で訳すと、彼女も混乱したようでした。

後でこちらのサイトであらすじを読むと、青い鳥を兄妹に頼んだおばあさんがくれたダイヤによって、周りのものの精が現れ、二人の味方になったのだと分かりました。それにしても火と水、犬と猫の対比はわかるけど、パンと砂糖なのか…いや、パンとお米が来てもびっくりしますが。そもそもこれは日本人的な考え方なのかもしれません。

それにしても青い鳥は綺麗でした。 お花を持って来た子供たちの後ろにいる青い人です。この劇場では出演者にお花を渡すのも小さい子の役目。一人は誰に渡すのか忘れてしまって、舞台上をウロウロしていましたが、それも可愛いかったです。

解説を入れてくれる子供向けのバレエは、上演時間も短めということもあり、私のようなバレエ初心者にはぴったりだと思いました。今度から「子供」というカテゴリーでもチケットを探してみます。

Пока!

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