モスクワ奮闘記

2016年7月末にモスクワに引っ越してきました。

ビリービンのお話

Привет!

曇っているからか低気圧だからか、この時期はロシアの人も頭痛に悩まされるようです。この間、授業が始まった時は晴れていたので元気だった先生が、太陽が雲に隠れた瞬間に「頭痛い…」と言い始めたので太陽の力を思い知りました。少し影響するのが早すぎるのではないかと思っています。

今回のように日本から来てくれた家族や友人を案内していると、私が一人で町歩きをしているだけであれば見落としていたものに出会え、違う角度から街を見ることができます。今回の場合は、それが「ビリービン」でした。

モスクワに来た次の日、本屋が好きな母をトベルスカヤ通りの本屋(霧の中のハリネズミを買ったお店です)に連れて行きました。きちんと来る前にロシアのことを予習して来た母は「地元の図書館でロシアの民話を借りてんけど、本当に綺麗な挿絵が付いていて、その本の原書があれば欲しい」とのことでした。「画家の名前は?」と聞くと「ど忘れしたけど見たらわかる」とのことだったので、とりあえず民話コーナーへ。こちらは民話はсказка(スカースカ)と言って広く読まれており、どこの本屋さんでも民話コーナーは必ず設けられています。この本屋さんでは棚3つ分でしたが、この中から一冊を探すとなるとかなり骨が折れそうです。とりあえず一冊出してみました。これじゃなさそうです。手がかりがないので勘で二冊目を出してみます。「これ!この絵!」…そんな早く見つかる!?運命じゃない?と二人で喜びながら買いました。 この挿絵を描いている画家こそ、ビリービンさんだったのです。

イワン・ビリービン(日本語表記はビリビンのところもあります)は、1876年生まれ。あの「イワン雷帝とその息子」を描いたレーピンに師事しました。ビリービンを一躍有名にしたのは1899年に発表したロシアのおとぎ話の挿絵でした。そのあと1902年から2年ほどロシア北方を旅し、木造建築やロシアの伝承に魅了され、多くの民話の挿絵を残しています。北方や木造建築といえば、この間訪れたキジ島の辺りでしょう。 親近感を感じます。

その後の彼は、1917年に起きたロシア革命(ソ連になった革命ですね)に相容れないものを感じて、カイロやパリへ脱出しますが、そこでもロシア正教会の内部の装飾やソ連大使館の模様替えなどを担当し、やはり故郷への憧れを諦めきれず1936年に帰国。ソ連アカデミーなどで教えた後、生まれ故郷のサンクトペテルブルク(当時はレニングラード)で暮らしていましたが、そこで大祖国戦争が勃発。ナチスドイツにレニングラードが2年以上包囲された「レニングラード攻防戦(レニングラード包囲)」に巻き込まれ、1942年に道半ばで亡くなりました。彼は浮世絵からも影響を受けており、また彼の絵は宮崎駿監督にも影響を与えたようです。三鷹の森でビリービンの特別展を開催したこともあったそう。

母が来た2週間でビリービンとの繋がりはこの絵本の発見だけに留まりませんでした。2日後に、晴れていたので素敵な宮殿を見せようとツァーリツィノ公園へ母といったときのことです。宮殿の中の博物館へ足を運ぶことにしました。入り口のお姉さんに特別展からみていってね、と言われたのでその部屋へ入ると、 まさかのビリービン展。彼の作品はもちろんのこと、参考にした民族衣装や、彼が使っていたカメラ、絵の具セットなども展示してありました。大興奮の母と私。

通常展ももちろんみましたが、まさかの出会いにしばらくビリービンが頭から離れませんでした。本以外のグッズも売っていて、ここぞとばかりに買い込む母がすごかったです。 トートバッグなのですが、布や縫製もしっかりしているし、持ち手も可愛いし、最高でした。

そして、キジ島へ行くべくペトロザボーツクの船着場で時間をつぶしていたときのことです。お土産物屋さんにふらっと入り、あとで何を買おうか考えながら広くはない店内をぶらぶらしていた母が、あっと声をあげました。 売り物ではなく、飾りとして置かれていた木箱にビリービンの絵が書いてあったのです。ここでも出会うとは!彼は北方を旅していたこともあるのでゆかりがないわけではありませんが、予想だにしていなくて驚きました。

その後に訪れたサンクトペテルブルクでは、路上で売っている本の中にたまたまビリービンが描いた挿絵も入ったプーシキンの民話を見つけ、購入。

さすがにノブゴロドでは出会いませんでしたが、モスクワへ帰って来た2日後にhttp://mickymm.hatenablog.com/entry/2016/08/27/225717:title=ジェツキーミールへたまたま立ち寄りました。真ん中に吹き抜けになっている大きなホールがあるのですが、何の気なしに母に「いつもはここで大きなイベントをやってんねんで。クリスマスの時なんてこんな背の高いクリスマスツリーが…」と言いながら見上げたところで、天井付近にビリービンの絵を発見しました。 ここでも会うか!?また二人で大興奮。その場にあったフロアガイドを見ると、このお店のこだわりの1つとして「ビリービンの世界観を子供達に味わってもらいたくて天井に描きました」というようなことが書いてありました。国民的な画家なのですね。

最後に私が一番好きな絵を。 カエルの王女という作品です。ある国の3人の王子が、弓を射った先にいた女性を結婚相手にするよう言われます。上二人はいいのですが、一番下の王子の矢が着いた先にいたのはカエルでした。この絵はそのときの王子の「え、結婚相手カエルなん…?」という表情が描かれていて、見るたびに笑ってしまいます。このお話はまた時間があるときに訳してご紹介しますね!

Пока!

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