馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

霧の中のハリネズミ

Привет!

朝起きたら窓から見える世界が真っ白で、一瞬何時か分かりませんでした。今日は近所に濃い霧が立ち込めていたのです。モスクワでは日本にいた時より霧が多い気がします。

今日はそんなロシアで生まれた作品「霧の中のハリネズミ(霧につつまれたハリネズミ)」を紹介します。 作品のワンシーン。英語では “Hedgehog in the fog"なのでいい感じに脚韻を踏んでいるのですが、ロシア語の原題では"Ёжик в тумане(ヨージク・ヴ・トゥマネ)"となっています。

去年日本の実家へ何かクリスマスプレゼントを送ろうと好きなキャラクターを聞いたところ、弟から「このハリネズミがいい」と言われたのです。その時はどこがいいか全くわかりませんでした。あまりちゃんと探していなかったのですが、この間友人が来た時に一緒にお土産を見ていると、このハリネズミを沢山見かけて気になり始めました。

友人と家に帰ってすぐに調べました。10分ほどなので、まずは見てみてください。日本語音声です。

なかなか中毒性があり、友人と(そして旦那も)2週間の間に4回はみてしまいました。

このアニメーションの監督はユーリ・ノルシュテインです。なんと1975年、ソビエト時代に作られた今作で最も驚くべきところは、このアニメーションが切り絵で作られているということです(ちなみに一番初めの画像は絵本からです)。見事な霧の表現も、細かく切った紙を1フレームずつカメラに近づけることで表現しているのだそうです(なんでも知っているウィキペディア先生より)。見事、の一言でした。

お話として面白おかしいとか、ハッピーエンドとか、反対に泣ける話とかではなく、言うなればハリネズミが子グマくんの家へ行く途中に霧の中に入ってしまった、というだけなのですが、キャラクターが全て魅力的なのです。表現力が素晴らしい。

このユーリ・ノルシュテインさんは世界的にも有名だそうで、宮崎駿監督も評価しているそうです。また、日本の映画館でも「ユーリ・ノルシュテインの世界」として彼の作品をいくつか集めて上演していたそうなので、ご存知の方も多いかと思います。映画館では字幕で、ハリネズミのことを「ヨージク」とそのまま書いていたようで、一瞬ハリネズミの名前かと思ってしまいますが、ヨージクはロシア語でハリネズミのことなので、彼に特別な名前はありません。

私たちは変にはまってしまって、お互いを呼ぶ時には作品中の子グマくんの真似をしたり、サモワール(ロシアの伝統的な湯沸かし器)を必死で探したりしました。そして最終的に絵本を買ってしまう始末。 しかも中に、ユーリさんのサイン入りです。トベルスカヤ通りにある本屋さん、その名も「モスクワ」では「ユーリさんのサイン本はここでしか手に入らない!」とショーウィンドウに書いています。

そこには何百冊か積み上げられた絵本が。中を見ると、全てに鉛筆の手書きでサインが入っていました。ユーリさんが腱鞘炎にならなかったか本当に心配です。それにしても鉛筆でいいのでしょうか。

友人はぬいぐるみ(4000円もするもの)は諦め、絵葉書とこの絵本を買っていました。今度はユーリさんの他の作品にもチャレンジしてみようと思います。

Пока!

にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ
にほんブログ村