馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

ギョレメ野外博物館

Привет!

私たちが通ってきた、アンカラとカッパドキアの間にはアナトリア高原があります。今は高い山は見えませんでしたが、かつてはそこに火山があったそうです。そこの火山の度重なる噴火によって火山灰が積もってできたのがカッパドキア。以前も書きましたが、火山灰が固まってできた地質はとても柔らかく、掘りやすいものでした。4世紀ごろから初期のキリスト教徒がそこに目をつけ、地下に都市を作って住み始めます。
9世紀ごろから少しずつイスラム教徒が入ってきて、キリスト教徒を弾圧し始めました。そこでキリスト教徒たちは岩の中に洞窟を作って教会を作ったのです。その中心地がここ、ギョレメでした。一時期は300以上もの教会があったそうですが、今は30ほどが野外博物館としてまとまって公開されています。1985年には世界遺産にも登録されました。 エントランスと奥にそびえる岩窟教会。

教会の中にはフレスコ画が描かれていますが、保存のために撮影は禁止されています。 リンゴや蛇など色々なテーマを持った教会があったのですが、どれも入り口はとても狭くなっていて、人とすれ違えないほどでした。中に入ると少し広くなっていますが、4、5人が入るので精一杯です。上を見上げるとロシア正教会で見たように、天井一面にフラスコ画が描かれていました。どの辺りが「リンゴ」だったり「蛇」だったりするのかはよくわかりませんでしたが、教会によって保存状態はかなり差がありました。エントランスから奥に行けば行くほど色彩が残っていた印象です。綺麗に残っているものでもキリストや聖人の顔の部分だけ剥がされているものも多く、イスラム教徒に見つかったのかな…など考えてしまいました。

このようにすれ違えない階段を登って見に行く教会もいくつかあるので、動きやすい靴がオススメです。前日からは考えられないくらい観光客が集まっている場所でした。

エントランスから入って少し歩いたところで、やたらと白い岩窟教会がありました。いくら火山灰の岩が白いとはいえ、周りと比べても少し浮いています。 写真の右手のものです。入り口はブルーシートで塞がれていました。近づいてみると…

なんだか、岩を掘っているというよりレンガのようなものを積み上げている気がします…見なかったことにしよう。うまく風化するといいですね。

別料金で入る「暗闇の教会」もあります。時間がなかったのと、友達が「中が暗闇やから…」と言っていたのでなんとなく雰囲気が分かって入りませんでしたが、入り口はインディ・ジョーンズに出てきそうでした。 もちろん教会以外もあります。前日に地下都市で説明を受けていたお陰で、なんとなく何に使われた部屋か推測ができました。

炎天下で思ったよりアップダウンが激しく、少し疲れてきました。ちょっと休憩したいね、と話しているとカフェの看板を発見!いいところにあります。しかもその看板には「カッパドキアの砂で作ったトルココーヒーあり」と書かれていました。トルココーヒーを飲んでみたかった旦那は大喜びで入って行きました。私は少しコーヒーが苦手なので、違うところが引っかかりました。「砂で作ったコーヒー?」

トルコティ(チャイ)もそうなのですが、こちらの飲み物はかなり濃く煮出しますね。トルココーヒーはエスプレッソのような小さなカップに粉状のコーヒー豆が残ったまま注がれるので、上澄みだけを飲みます。観光地でしかもカッパドキアの砂を使っているということで法外な値段ではないかと一瞬身構えましたが、14リラ(280円程でした)。お店のお兄さんにお願いして作るところを見せてもらった時、どこに砂が使われているかが判明します。 コーヒーを煮るのが熱した砂の中だったのです。良かった、コーヒー豆に混じって砂もカップの底に沈んでいるのかと思った…。それをみて安心した私は追加で自分のために注文しました。するとお兄さんは「やってみる?」と聞いてくれます。こうしてコーヒーを砂の中で回すという経験を得ました。3、4分もしないうちに手鍋(ジェズヴェ)の中のコーヒーが煮立ってくるのですね。

コーヒー自体はかなり濃いので、トルコ名物のお菓子、ターキッシュディライトを添えて。ターキッシュディライトは果物で作った立方体のグミです。ここで食べたものがとても美味しかったのでお土産としてイスタンブールで3箱も買ってしまいました。

カフェそのものが洞窟の中にあり、地面に絨毯をひき、その上に足の短い机とクッションで作られた座席はとても雰囲気がありました。中からカフェ内を撮ろうとした図。

お兄さんにオススメのレストランもおしえてもらえたので、野外博物館を出ます。迫害されても、岩の中に教会を作って信仰を貫いた人々の精神の強さを思わずにはいられない場所でした。

Пока!

ラクダに乗って

Привет!

気球体験を終えてホテルに帰ってくるとまだ7時前だったので一眠りすることに。外はすっかり明るくなっていたのですが、洞窟ホテルは気球帰りに爆睡できる為かと思うくらい、外の光が入ってこないのでゆっくり寝られました。…寝すぎました。なんとか9:30に体を起こしてチェックアウトします。

そこから車で向かったのは中心の街ギョレメにある屋外博物館。20分足らずで到着です。駐車場から博物館までの道すがら、ラクダが3頭座っていました。そういえばユルギュップ(ホテルのあった街)の展望台の前を通った時にもラクダがいたな、観光資源なんだろうな、と思いながら、乗らないかと勧誘してくるアラブ系のお兄さん達に断りを入れていると、旦那と友達が「いくらくらい?」と聞いていました。旦那はこれまでこういう勧誘には警戒心露わに断るタイプだったので、私は驚いてしまいました。お兄さん達はその質問に「10」とだけ、答えました。

ご存知のようにトルコの通貨、リラはちょうど一年前に大暴落しました。私が持っていた少し古いガイドブックでは一リラおよそ40円となっていたのですが、現在は20円足らずになっています。ということは、ラクダに乗るのに200円しないの!?それなら別にいいか、と私も乗る気になってきます。

立っている馬に飛び乗るのとは違って、背が高いラクダに乗るのは座っている状態の時です。ラクダは後ろ足から立ち上がるのですが、その時にかなり前のめりになるのが15年前乗った時にとても怖かった覚えがあり、今回も少し躊躇していました。実際には思ったほどではなかったのですが、旦那と友達はその高さに少し驚いたようです。そんな私たちに、ラクダ係のお兄さん達は石油王のような布を頭に被せました。

一列になって進む様子。携帯電話は「写真撮影してあげるから貸して!」と取られてしまいましたが、手持ちのデジカメで撮影したものです。ラクダが待機していた場所からゆっくり歩いて5分くらい坂道を登ったり降りたり(正直そこが一番怖かったです)しながら進むと、少し開けた場所に出ました。そこで1人ずつシャッターを切られます。後で写真を見返してみると、かなりのいい景色でした。天気が良かったのもラッキーです。 そのあとは3人並べて記念撮影。後でカメラロールを見返してみると、50枚くらい撮られていました。しかも連写なのでほとんど同じ写真が10枚ずつくらいあります。

スタート地点まで戻ってくると、お支払いの段に。お兄さんに10リラを渡すと「違うよ!10ユーロ」と言われます。…え??話が違いませんか?でもそう言われれば単位は聞かなかった気がします。しかもよくみるとラクダに乗った場所に立っている看板には「10ユーロ」とはっきり書いてあるではありませんか。これは詐欺ではなく、確認しなかった私たちが悪い。リラ暴落の影響か、気球をはじめ色々なところでユーロ払いを求められました。これからはしっかり単位まで確認しようと心に決め、でもユーロは持っていなかったので相当分のリラを計算して手渡しました。

旦那は「でもよく考えたらラクダに初めて乗るのに1200円はお得かもしれない」と前向きな発言。次の目的地へ行こうとする私たちに、先程とった写真を印刷して写真立てに入れたものを、お兄さん達はちゃっかり売ろうとしてきたので「流石に買わないです」というと「じゃあ中身だけあげます」と言ってその場で写真立てから出して渡してくれました。…10ユーロは高くないな。

そこから緩やかな階段を登ると、見えてきました! ギョレメ屋外博物館。ギョレメは谷間にある街の名前ですが、この谷には岩窟教会がたくさんあり、それを保存して公開しているのがここ。大きな公園のようになっており、教会が点在しています。屋外博物館はここの他にゼルヴェにもあるそうですが、ここは町からも近いのでかなりの人で賑わっていました。54リラ(1080円程)のチケットを買い、エントランス横の売店で水を買うと(観光地価格で通常の六倍ほどの値段でした)、いざ、入場!

つづく。

Пока!

空中散歩

Привет!

気球のお話です。前回はこちら。 mickymm.hatenablog.com

気球に乗り込むと、パイロットのお兄さんが英語で説明を始めました。「皆さん、ようこそ僕の初めてのフライトへ!冗談です、実は5年目です。まずは3点、お話ししたいことがあります。まず一つ目。なんとこの気球にはWi-Fiがあります!パスワードは聞いてください」…めちゃくちゃ近代的!一瞬繋ごうかと思いましたが、設定している間も景色から目を離すのが嫌だったので繋ぎませんでした。「二つ目。着陸するときは全員こちらの方向を向いて、出来るだけ腰を落としてください。バスケットの中に座り込む感じです。練習してみましょうか。いいですね」友達によると前回は着陸する時にバスケットが横倒しになったそうです。気球って結構危険なのでは。「そして三つ目。これが一番大切なことなのでよく聞いてください。…僕の名前はトルガです。パイロットの名前を忘れていたらどんな質問にも答えませんからね。では空の旅を楽しんでください」

このトルガさんはずっとこんな調子で冗談交じりに話していました。彼の話に笑っていると、気がつけばバスケットが浮かんでいるではありませんか!飛ぶかどうか、あれだけドキドキしていたので気球が浮く瞬間は感動すると思っていたのに案外あっさりと飛んでしまいました。でも、今日は飛べるんだ!! なんて神秘的な景色でしょう。もう先に浮き始めた気球と、地上で火を入れ始めた気球と、夜明け前の赤く染まる空。気球は高度800メートルまでしか上がってはいけないそうです。パイロットのところに高度計が積んであるようで「今400m」など時々アナウンスしてくれます。火を入れるとバルーン内の空気が温められて浮かぶという原理ですが、トルガさんはガスボンベを開ける時にリズムをつけます。私はそのガスボンベの真下だったので熱を感じました。

高度が上がるにつれて空が明るくなってきます。脳内BGMにアラジンの「A whole new world」を流して浸っていると、トルガさんが話し始めました。「空の上はとても静かで、平和で…夫や妻のことなんて忘れられますよね。あ、今一緒にいる場合はここから相手を突き落としたら忘れられますよ」…毒舌な空飛ぶ絨毯に乗ってしまったようです。 こんな景色を見ているのに。

すぐ下に目を向けると、奇岩の中に沢山の気球がこれから上がろうとしていました。トルガさんの持つ無線はずっと何かしらをトルコ語で発信しています。トルガさんに「そうそう、この気球の名前はTC-bomです。もし無線からこの名前と『何してる!どこに行くんだ!』などの言葉が聞こえてきたら教えてください」と言われ、少し不安になります。 一度、ほかの気球のすぐ上を通過したのですが、そのときは無線で「今上を通過中だから上がってくるな」と伝えていたとトルコ語を解する友達に教えてもらいました。これだけの気球の名前を覚えるのは大変だろうなあ。

しばらくして、彼は言います。「さっき、この気球の名前はTC-bomだと言いましたが、実はほかのニックネームもあります。タイタニックです。さあみなさん衝撃に備えて!」慌てて彼が指差す方向を向くと、山肌が目の前に迫ってきていました。 あわや衝突か、と思ったとき、ガスボンベが唸り、気球はふわっと浮きました。
気球は上下の調節は簡単だけれど、横移動は風まかせな部分が大きいようです。そんな説明をしながらも「さあ、ここからイスタンブールまで飛んでいきましょうか!」と冗談を飛ばすトルガさん。「この気球体験をSNSに投稿するときはハッシュタグでクレイジーなパイロットって書いてね!」

朝日が昇ってきました。 なんと神々しい。今回は1時間コースをお願いしたのですが、空にいると時間の感覚が消えます。まだ5分だと言われればそんな気もしますし、もう2時間くらいこの景色を見ている気もするのです。また、上空は寒いと聞いていましたが、カザフで鍛えたお陰か、上着を忘れてしまった私と旦那でも意外と平気でした。友達はウィンドブレーカーを着ていたので、それが正解かと思います。

少しずつ地面が近づく瞬間が多くなり、かと思えば離れるので、着陸のタイミングがあまりつかめません。 地面を見ながら「比較的色の濃い土は掘りにくくて、白い土のところが掘りやすいので、人々が住んだのも白いところなんですよ」と教えてもらいます。一生懸命ホテルを探そうとしましたが、方向が違うのか見つかりませんでした。

「ところで、着陸はスリル満点なものと、安全だけど退屈なものとどちらがいいですか?」全員、少し考えます。「僕はスリルが好きなんですが、どうしてもという人がいれば退屈な方にしますよ」誰も反対しなかったので(肯定もしなかったのですが)、トルガさんは心を決めたようです。私は結局どちらになったのだろうと考えながら、着陸の合図を待ちました。

突然、トルガさんが「さあ、初めに練習した着陸のポーズを!」と言います。冗談ばかり言っていたので初めこそこれも引っ掛けなのかと思いましたが、みんなと同じ方向を向き、バスケットの中に座り込むように腰を落としました。もう周りは何も見えません。すると、バスケットが地面をガガガッとする音が聞こえ、かなり大きく揺れた後、しっかりと地面に着きました。その瞬間、トルガさんはバルーンから出ている紐を掴んで、バスケットの外に飛び出し、私たちにバルーンが落ちてこないよう遠くへ走ります。そこへトラックが二台やってきたかと思うと、トロイの木馬のように中から人が飛び出してきてトルガさんを手伝います。バスケットの方に帰ってきたトルガさんは「スリルのある着陸はどうでした?あそこの木を倒そうと思っていたのに狙いが外れちゃった」と笑っていました。

全員また脚立を使ってバスケットから出ると、そこにはシャンパンが用意されていました。 ロマンチックにしておきますね、と言いながらバラの花びらをテーブルに振りまくトルガさん。「昨日の晩寝ずにこのクッキーを焼いたんですよ」とクッキーとシャンパンを配ってくれました。私の前では「IDある?本当に成人しているの?ジュースにしない?」とまた冗談を言われました。チョコがけのイチゴとクッキーを頬張り、シャンパンを飲み干すと、まだ飛んでいる気球がたくさんあったので写真を撮りに走ります。 朝靄のなんとも言えない空気と、草原と、気球のステキな写真が撮れます。自分のバスケットのところへ帰ってくると、一人一人トルガさんから記念メダルを首にかけてもらいました。ここからはトラックに乗ってホテルまで送ってもらいます。

これまで見た中でも1、2を争う絶景でした。一生忘れられない景色です。何か辛いことがあっても、この朝を思い出すと乗り越えられそうな気がしています。

Пока!

気球への道

Привет!

インターネットで「カッパドキア」で画像検索をすると、二枚に一枚の確率で気球がたくさん浮かんでいるものが出てきます。気球に乗る機会もそれほどありふれているわけではありませんが、あれほどの気球を一気に見られると思うとそれだけでカッパドキアに行く理由になります。

どうしても乗りたかったので調べてみると、過去に何度か事故が起きているため、今はトルコ政府が毎朝気球を飛ばしてもいいかを厳しく判断しているそうです。その結果をアナウンスしてくれるホームページはこちら。トルコ語がわからなくても緑色の旗であれば飛行可能、赤色の旗であれば禁止、と視覚的にわかりやすいページとなっています。トルコに行く数日前から見ていたのですが、ずっと赤色の旗だったのであまり期待しないように努めていました。

友達に予約について聞いてみると「ホテルでチェックインするときに予約もしてもらおう」とのこと。気球の会社もかなりの数があり、もちろんそれぞれインターネットでも予約できるのですが、ツアーはホテルに迎えに来てもらうところから始まるので、ホテルと提携しているところの方が良さそうです。

私たちがチェックインしている横で、気球について友達が聞いてくれました。ホテルの人曰く「60分と90分があります。60分の方でいいですか?早い方の時間が空いているので、そちらにしますね。朝3:50にこのレセプション集合です。ラッキーですよ!1時間遅い方は日の出が見えないので。一人170ユーロです。予約する気球の会社はカッパドキアでも評価が高いところですよ」と流れるような説明をしてくれました。「モーニングコールはした方がいいですよね。3:30にかけますね!」…安心のサポート付き。前の晩にハマムに行った帰りに偶然レセプションの人と遭遇すると「明日は3:30に電話しますからね!」と念を押されました。顔を覚えられていたのもすごいけれど、気球に対する熱量もすごい。

前の日の夜遊びがたたって、2時間ほどしか寝られませんでしたが、私は楽しみでモーニングコールがかかってくる前に起きました。アドレナリンはかなりでています。用意を終えてレセプションに着くと、旦那と友達は早速そこのソファで寝始めました。約束の時間を過ぎて不安になってきた午前4時過ぎ、名前を呼ばれて振り向くと迎えの人が来ていました。私たちの他にも同じホテルから参加する人を乗せて、バンでオフィスに向かいます。 バンの天井にはカッパドキアの奇岩が描かれていました。外は真っ暗です。晴れているのかすら分かりません。雨が降っていると中止なのは明白なのですが、風が強くても飛行を禁止されるそうなので、ドキドキしながら車に揺られました。

こちらがオフィス。こんなに朝早いのに人で溢れています。今回私たちが乗ったのはRoyal Balloonという会社でした。リンクからホームページに飛べます。まず入ってすぐの受付で料金を支払い(もちろんカードでOK)、受付横の黒板上で自分の名前を探し、乗る気球とパイロット名、朝食の席番号を確認します。

支払いを終えた人から指定された席に着き、ビュッフェ形式の朝ごはんを取って食べられました。 旦那は半分くらい寝ながらでしたが、結構しっかり食べていました。飲み物もコーヒーや紅茶、ジュースまでなんでもあり、満足のいく朝ごはんでした。お手洗いは混むので出発直前には行かない方がいいかもしれません。

朝ごはん会場には、先程リンクを貼ったトルコ政府が発表している飛行状況のページの中継があります。 なんか真っ赤な旗が見えるんですが…。え、今日は無理ってことなのかな…あまり期待しないでおこう…と思っていたら友達が「今の瞬間はまだ暗いから飛んじゃダメってことじゃない?前に来た時は気球に乗って火をつけてから飛べないってわかったこともあったけど」と希望と絶望を同時に叩きつけてきました。その時まで分からないということのようです。

午前4:50頃「それぞれのテーブルと同じ番号のバンに乗って!」とアナウンスがかかります。いよいよです!かなりデコボコした道を通って、オフィスから5分もしないうちに草原の真ん中でバンから降ろされました。目の前には気球! 幼少期に一度北海道で気球に乗ったことがあるのですが、その時の記憶よりかなり大きく感じられました。
外から見ていると、ちょっとずつ火をつけてバルーン部分を膨らませています。すぐに思い描いているような気球の形になりました。そこでようやく、バルーンの下のバスケット部分に脚立を使って乗り込みます。バスケットにはドアとかないんですね。バスケットは真ん中がパイロットとガスボンベの場所になっており、その周りが4つに分けられています。一つのセクションに4人乗れるので、16人とパイロット1人が乗り込む形になっていました。

ここから「やっぱり飛べない」となったら落ち込むだろうなあ…と思いながら必死で飛べますように!と何かに祈りました。

長くなってきたので次回に続きます。

Пока!

カヤカピ・プレミアム・ケーブス

Привет!

旅行に行く時にいつも浮上するのがホテル問題。私は寝るだけやからどこでもいいやん派なのですが、旦那はホテルでもテンションを上げたい派です。この3年間で一緒にいろいろなところへ行くようになり、やっと私も彼の主張が分かってきました。たしかに綺麗でその土地に合わせたテーマのホテルは、観光を終えて帰るのも楽しみになります。

隠れキリシタンが地下都市を作ったり、岩の中をくり抜いて教会や住居にしていた歴史を持つカッパドキアで泊まるとなればやっぱり「洞窟ホテル」でしょう。早速いつも使っているホテルの検索サイトで条件を入力して調べてみると、ほとんどのホテルに「ケーブ」や「ストーン」などの名前が入っていて途方に暮れてしまいました。やっぱり基本的にそれが売りなのでしょう。私たちだけでは選べないと思ったので、これまでカッパドキアに3回も行ったことがあるという友達に「泊まってみたいホテルない?」と聞いてみると一番はじめに名前が出てきたのがこのカヤカピでした。

カッパドキアでの観光の中心地となるのはギョレメという町ですが、そのギョレメから車で10分ほどのところにある町、ユルギュップにこのホテルはあります。 ユルギュップには丘があり、その丘の斜面に沿うように部屋が並んでいる光景がとても新鮮でした。そのような構造だと、レセプションとレストランとお部屋が結構離れたりします。ホテルに着くとすぐにポーターさんが荷物を預かってくれ、チェックインをしている間に部屋までゴルフカーのような車で運んでくれていました。チェックインが終わると部屋まで徒歩で案内されながら「あなたたちのお部屋からレストランに行くのであれば、このトンネルを通った方が近いですよ」などの心踊るアドバイスをされます。 そのトンネルがこれ。旦那がおもむろに天井を触って「なんか剥がれ落ちてきた!」と慌てていました。壊さないでくれ。

一番はじめの写真が私たちの部屋の入り口でした。これだけでテンションが上がっていたのですが、扉を開けて思わず小さく叫んでしまいました。少し写真が続きます。 ここにして良かった。カヤカピという名前が可愛いと旦那と言い合っていたら、友達がその意味を教えてくれました。「カヤ」は「岩」、「カピ」は「扉」でつまり「岩の扉」という意味だそう。ロシア語にしてみても単語が長くてあまり可愛くなりませんでした。

お風呂もトルコ式のハマムとシャワーだったのですが、レストランのところにもっと大きなハマムがあると聞いてみんなでそちらに行くことに。通常ハマムは男女別で水着着用が原則ですが、ホテルの簡易なものだったので男女共用でした。
この際なので贅沢を尽くすことにした私たちはここでマッサージもお願いすることに。ところが施術師が二人しかいなかったため、マッサージをホテルで受けたことのない旦那と友達に譲りました。お陰でハマムは独り占めです。 このホテルは本当に雰囲気が抜群です。真ん中の台に私のためのタオルとシャンプーや石鹸などを用意してくれました。

ハマムの使い方が初めはよく分からず、誰かに聞こうにも係りの人は二人ともマッサージをしに行っています。私なりに適当にやってみたのですが、あとで旦那たちに説明しているのを聞いて正解だったとわかったのでご紹介します。先ほどの写真の壁際にいくつか蛇口と白い台が置かれていますよね。この大理石でできた台は中がくり抜かれており、上にあるお湯と水の蛇口をひねってその穴にお湯を溜め、自分好みの温度にしておきます。あとは体を洗ってこの中のお湯を使って流すだけ。台の上に小さな洗面器のようなものが置かれているのでそれを使って流していきます。部屋の中が温度の低いサウナのように暖められているので、とても居心地が良かったです。次にトルコに行った時は街中のハマムにも行ってみたいです。

ちなみにこのハマムもあるレストランはこんな感じ。 レストランの真ん中にプールがあり、カッパドキアの絶景も味わえるという素晴らしい立地です。カザフから来た私と旦那は「これが…リゾート…」とよく分からない敗北感を味わっていました。

この素晴らしいホテルにすっかり気分が良くなった私たちは、ルームサービスでワインを頼むという所業に出ました。実はカッパドキアにはワイナリーがあり、土地のワインを作っていると聞いたからです。 このワインも3000円程でそんなに高くはなく、テラスでカッパドキアの夜景を見ながら飲むのはとてもいい気分でした。ですがこんな贅沢ばかりはしていられません。最も心配すべきは他のところにあります。次の日は気球に乗る予定のため朝3時半に起床予定でしたが、結局1時過ぎまで夜を楽しんでしまいました。…2時間で起きられるのか…?

続く。
Пока!

ラクダ岩

Привет!

ついにヌルスルタンの気温が日本と並びました。暑いけれど、湿気がないのでまだ過ごしやすいです。風は冷たいくらいですし。ロシア語の先生がこの気温を指して「本当に蒸し暑いね。ちょっと歩いただけで体がびしょ濡れよ」と言っているので「今すぐ日本で夏を体験してきてください」と言うところでした。海もないこの国で「蒸し暑い」だなんて!

さて、幾分か涼しかったトルコ旅行の続きです。場所はカッパドキア。地下都市博物館を閉館ギリギリでなんとか脱出した私たちは、時間があるうちに行けるところに行こうという話になりました。8:30ごろまで明るいので、入場する必要のない奇岩などは見に行ける時間だったのです。

向かった先は「ラクダ岩」があるデブレント渓谷。そこへナビの行き先を設定し、車に乗り込みました。カイマクルの地下都市からは1時間ほどの道のりでした。カッパドキアは観光地が点在しているので、レンタカーを借りるか、ツアーに参加するのがいいと思います。 カイマクルを出てすぐこそ市街地の中を走っていましたが、すぐに景色は拓けました。夕日の時間なので、なんとも言えない幻想的な雰囲気です。

長時間のドライブで友達が好きなCDは大方聞き切ってしまいました。いつも聞いていないCDで気分を変えようと、CDラックから旦那が引っ張り出してきたのは小田和正の「自己ベスト」です。はじめこそは「なんでカッパドキアで小田和正…」と思っていたのですが、これがまた夕日に向かって大自然の中を進む車のBGMとしてはぴったりでした。「愛を止めないで」など泣きそうになりながら聞いていました。意外とオススメです。

地下都市博物館を出た時も人が全くおらず、なんとも落ち着かない気分になった私たちでしたが、デブレント渓谷も時間のせいか観光地のはずなのに誰もいませんでした。 ここまでの道のりでもほとんど車とすれ違わなかったので、いよいよ地球上から人類が消えてしまったような、不思議な感覚に陥ります。奇妙な形の大きな岩の大群を前にすると、そもそもここが地球だったのか疑問に思えてきました。まさか1時間のドライブで火星にでもきてしまったのではないか。

これまたシャッターを下ろしている蒸しトウモロコシの屋台とお土産屋さんの前に車を停めるスペースがあったので、そこからラクダ岩まで 少し歩きました。岩の間に手をつきながら、谷をよじ登ると突然ラクダ岩が現れます。 たしかにこれはまごうこと無くラクダだ。火星人が削ったのではないかとさえ思えてくるほど、綺麗なラクダの形をしていました。この岩の周りだけ柵が作られていたのですが、ちょっと倒れ気味だったのが気になります。

しかしここはラクダ岩だけが見事なのではありません。この岩の向こうに見える景色が息を飲むほど美しかったのでした。 夕焼けがとても綺麗に見えるローズバレーという場所もあるそうなのですが、カッパドキアの奇岩群はどこもこんな風なので、他の人に邪魔されないこの場所はとても良かったです。

180度ほど奇岩に囲まれているので、少し視線をずらすだけでまた違った景色を見られるのも嬉しい驚きでした。

ちょっとした岩に3人で思い思いの方向を向いて腰掛けながら、暮れなずむ景色を見ていたこの時間は今思い出しても大切な宝物のようです。
どれくらいの間そんな風にしていたか、誰からともなく立ち上がって日が沈む前にホテルに帰ることにしました。ちょうど女の子たちがオープンカーでやってきて、シートを倒すと、ワインを片手に好きな音楽を流して夕日を眺め始めました。ああ、あれも最高の時間の楽しみ方だな。おそらくここではどんな過ごし方をしても忘れられない思い出になると思います。

Пока!

おじさんとの遭遇

Привет!

前回のあらすじ
地下都市で迷子になった私たち。やっと出られると思った瞬間、謎のおじさんとぶつかりそうになり、そのまま来た道を引き返すよう指示を受ける。

私たちは仕方がないのでその場で回れ右をして戻りました。おじさんが後ろから追い立てて来ている訳ではないのですが、狭い道なのでどうしても圧迫感を感じてしまいます。すぐに少し大きめの部屋にでました。 するとおじさんが一言「ここはリビングだった」と言いました。もしかして解説をしてくれている??よく見ると、彼はここの関係者らしきIDを首から下げています。学芸員の人でしたか!でもなぜ出口付近で出会ったの?普通は中にいるか、外で待っているかじゃない?時間をオーバーしそうな観光客を早く出しこそすれ、まして奥へと追い込むようなことをするか?疑問に思っている間にも、彼はこの部屋から伸びるいくつかの通路の中から一つを選び、私たちに着いてくるように伝えてからどんどん歩き始めました。それがまた先ほど通った下り坂の、足を滑らしそうな道だったのですが、彼はその体格に似つかわしくない速さでどんどんと進んでいきます。私たちがおっかなびっくり足を前に進めていると、彼は途中で立ち止まって私たちを待ちながら、暗い脇道に向かって叫びました。「CLOSING TIME!」

ああ、この人は閉館前に取り残されている人がいないか、見回っているのか。25分ほど前に入っていった日本人と会ったから、また迷子になって出てこれなくならないように見てくれているのか。解説もしてくれるなんて親切だな。

その後も彼は時々立ち止まっては説明をしてくれます。3人でさまよっているときは目に入らなかったものや、使い方が分からず仮説を立てて終わっていたものが、みるみるうちに真実が明らかになるので面白かったです。おじさんは英語が堪能ではないのか、ジェスチャーをふんだんに使いながら簡単な英語で説明してくれました。そして時折挟まれる「閉館時間です!」のアナウンス。 しばらく歩くとこんなものがありました。おじさんは指さしながら言います。「敵が来ると」石を押すジェスチャー。「通路を塞ぎます」なるほど。私たちが写真を撮るのを少し待ってくれ、準備ができたとわかるとまた驚くようなスピードで先に歩いて行き「閉館時間です!」…そしてその場で歩みが遅い私たちを待ってくれます。特に普段は全く坂がない街に暮らしている私と旦那にはかなりこたえました。この地下都市での道を照らす唯一の光のようなおじさんに追いつこうと必死で息を切らしている私たちを見ながら、友達は「運動不足やな」と一笑に付します。

小走りでおじさんの後をついて行きながら「これを毎日?」と聞いてみました。「ええ、毎日この時間に回っています。閉館時間です!」この迷路で観光客が取り残されたらこの人の責任になってしまうのか。その重責を思って気が遠くなっていると、突然おじさんが立ち止まりました。「ここはワイナリーです」 一見、ここの壁は他の部屋と同じように穴が開いているだけだと思いましたが、おじさんは写真の左にある平べったい穴をさしながら言います。「ここにブドウを並べて、ワインを作ります」そして一生懸命足踏みするジェスチャー。ワインを作っているのか。「するとここの穴を通って(写真では真ん中にある一際オレンジ色に輝いているところ)下の穴にワインが溜まります」とのこと。よく考えられているなあ。

「この部屋はキッチンです。天井が黒くなっているところは、その下で火を使った証拠です」ほうほう。この石は?水を貯めるの? これは調理台だそうです。「ここに食材を置いて」と穴の一つを指さします。そして(文字通り)胡麻をするような、何かをすりつぶしているジェスチャー。ああ、食材は切るんじゃなくて、すりつぶすのか。

少し行った先には井戸がありました。ちょうど人が一人すっぽりはまりそうな穴でした。覗き込むように言われます。 後ろから押されたら落ちるな、と嫌な想像をしながら覗きこむと、あまりの深さに足がすくみました。「だいたい100mほどの深さです」それにしてもよくそこまで掘ったな。

結局取り残されていた観光客には遭遇せず、無事に地上に戻ってこられました。少しだけ緊張感が取れたおじさんに「だいたいどれくらいの深さまで人が暮らしてたんですか?」と聞いてみると「40から50mくらいですよ」という答えをもらいました。お礼を言って博物館を後にします。

外の世界の眩しさに目が慣れてくると、博物館前のお土産物屋さんの異変に気がつきました。 ほんの小一時間前までお店の人と商品とお客さんで賑わっていたのに、今はシャッターが閉められ人っ子一人おらず、静けさに包まれていたのです。さながら並行世界に来てしまったようでした。3人で「トンネルの向こうは不思議の街でした」と映画『千と千尋の神隠し』のキャッチコピーを言いながら、狐につままれたような気持ちで車に向かって歩きます。それにしても不思議な世界でした。

Пока!