馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

中華料理「プリンセス」

Привет!

最近タクシーの運転手さん達や劇場で横に座った人など、初対面のカザフ人と雑談をする機会が増えています。初めての会話の流れはおおよそ決まっていますが、こちらが外国人だと余計に毎回同じ会話になります。まず初めに私の国籍の確認。カザフには韓国人がたくさん住んでいるので8割ほど「韓国人?」と聞かれます。そしてアスタナに来てどれくらいか、という質問が続き、私が1ヶ月ほどだと答えると皆が皆判で押したようにこう聞くのです。「アスタナの天気はどう?」と。

モスクワではここで来る質問は「モスクワはどう?」でした。アスタナでも同じだと思っていたので、街自体についての感想を用意しているところに「天気はどう?」です。しかも気温が氷点下に入ってからこの質問が増えたところを考慮すると、彼らがこちらに期待する言葉は自然と分かりました。わざわざ彼らを落胆させることもないので毎回「寒いですね。大阪ではありえない寒さです」と答えています。それにしても「寒い町」だということが彼らのアイデンティティの一部になっているのでしょうか。

寒くてもずっと家にいると息が詰まるので、週末にお友達から来た晩御飯のお誘いに、これ幸いと旦那と二人で快諾の返事を出しました。この日のレストランは中華です。以前、二人でこのレストランに行った方から「すべての量が多くてあまり品数が食べられなかった」「スープを頼もうとしたら、二人には多いから、と断られた」と聞いていたので、総勢5名で挑むことになりました。 お店の名前は「Принцесса(プリンツェッサ、お姫様の意)」…前評判とイメージがかけ離れた名前に少し驚きます。少しお店の中に入り込んだところに電話ボックスくらいのサイズのガルデロープ(コートを預ける場所)があり、その中にたくさんのコートと管理しているおばあさんが入っていたので、彼女の精神状態が少し心配になりました。

中華らしい、回転式のテーブルが乗った円形の机に案内されます。私たちを誘ってくれた人がここには何度か来たことがあったそうなので料理はお任せしました。麻婆豆腐に焼き餃子と水餃子(イスラムの国にいるので中身はそれぞれ羊とエビです)、チャーハンと山芋のスープ、そして北京ダックを注文。量が多いという噂なのにそんなに頼んで大丈夫なのでしょうか。 次々にスープ以外の料理が運ばれてきて、テーブルの上はすぐにいっぱいになりました。この時のためにお腹を空かせていたので、すぐに食べ始めます。北京ダックは特に美味しく、ダックを皮で包む手が止まりませんでした。麻婆豆腐も適度な辛さでちょうどよかったです。むしろ辛いものがお好きな人には少し物足りないかもしれません。そんな時、スープ以外は注文したものがそろっていると思われたテーブルに何かのから揚げらしきものが置かれました。思わず店員さんに「これ注文してないです」と伝えると、店員さんは笑顔で「北京ダックに使ったカモの骨を揚げたものです」と答えてくれます。注文してくれた人が「ああ、そういえば今日はカモの残りをどんなふうに調理するか聞かれなかったなあ」と言っていました。もし聞かれたときはチャーハンにしてもらうと美味しいそうです。

ついにスープが来ました。テーブルの近くにあった作業台のようなところに店員さんが置いたスープ皿を見てびっくり。 私の頭が丸々入ってしまいそうな大きさです。スープのサイズはこれ一種類とのこと。これは二人では食べきれないな…。作業台の上で、人数分の小さなお椀にスープをよそってくれます。山芋のスープは本当にほっぺたが落ちそうなおいしさでした。私が山芋に目がないというのもあるかもしれませんが、優しい味がほかの中華料理にもよく合います。スープに舌鼓を打っていると、その作業台にもう一つスープが置かれました。え…。 また人数分よそわれたスープ。
頼んだスープは一品だけですが、とすこし非難めいた口調でいう私たちに店員さんは「北京ダックの骨からとれた出しで作ったスープです」と告げます。北京ダックのポテンシャルが想像以上でした。もうお腹に入るスペースがない、と思いながらもおいしかったからかぺろりと食べてしまいました。ちなみにどちらのスープも5人がそれぞれお替りできるくらいの量がありました。なぜもっと小さなサイズを作らないのか少し理解に苦しみますが、大人数で食べるご飯というのもおいしいものです。また人数を集めて来たいなあと思えるレストランでした。

Пока!

カラオケ@アスタナ

Привет!

昨日、バザールで新鮮な卵8個と、その他諸々を買ってホクホクでバスに乗ろうとした瞬間に氷の上で滑って転んでしまいました。ご丁寧に荷物を下敷きにする形だったので、体の下でなにかが潰れた感覚をおぼえます。バスの中にいた人と外でバスを待っていた人たちがみんなで助け起こしてくれ、荷物も拾ってくれ、バスの座席まで譲ってくれました。周りの人の優しさと卵への心配で少し泣きそうになりました。家に帰ってすぐに荷物を解くと、私の目に飛び込んできたのは1つだけ割れた卵と粉々になった洋梨。ほかの7つの卵は無傷でした。倒れ込んだ場所が良かったようです。あるいは梨が弱かったのか。

さて、先日旦那の職場の人から「カラオケをするけど来る?」と誘ってもらいました。アスタナにもカラオケがあるんですか!二つ返事で行きます、と答え、当日を楽しみにしていました。 場所はここ、コリアンハウス。ここでなら個室のカラオケが楽しめるというのです。

お店に入ってすぐのところにスタンドマイクが置かれた写真スペースがあり、否が応でもカラオケの気分をかきたてられます。中には個室が5、6室あり、この日予約してもらっていたのは一番大きな部屋でした。 ここは上の階がレストランになっているので、料理を注文したらそこから持ってきてもらえます。名前の通り韓国料理がメインですが、寿司などもありました。私はミートボールと冷麺を気に入ってずっと食べていました。

韓国系ということで、カラオケの形式はモスクワで慣れ親しんだものと全く一緒です。

mickymm.hatenablog.com 入っている曲も同じだったので私も旦那もある程度どれを歌うか決まっていました。それにしても相変わらず珍しい曲が入っているのに有名な曲がなかったりして、日本で行くのと少し勝手が違います。

大人数で、飲んで食べて歌って楽しんでいると暑くなってきました。すると何度かここに来ているという人がおもむろに立ち上がって、部屋にかけられた絵に近づくではありませんか。 彼が絵の後ろに手を入れて何かを調節しているのを見ていると、次第に絵から冷たい風が出てくるのを感じました。これ空調だったの…。

開始から数時間、宴もたけなわになってきた頃のことです。突然ドアが開いて店員さんが入ってきました。驚く私たち。すると店員さんは「いつもご利用ありがとうございます。この曲が終わったら、お店からのサービスでプロの歌手に一曲歌ってもらいますね」と高らかに宣言しました。

約束通り、その時に歌っていた人がマイクを置くと、その店員さんはカラオケの機械に持参したパソコンをつなげ、回線を確認すると外で待機していたらしいプロの歌手を部屋の中に招き入れました。カザフの女性は美人が多いのですが、この時入ってきた女性二人組もとても綺麗で、一人の手にはマイクが、もう一人の手にはアルトサックスが握られていました。ここで先ほどの店員さんがなぜか突然英語で「いつもあなた方が来てくださるときはとてもうれしいです。感謝の気持ちを込めて、店からのプレゼントをお贈りします。それではお楽しみください」と口上を述べました。言い終わるなりミュージックスタート。どこかで聞いたことはあるけれど曲名はわからない、英語のロックです。サックスに合わせて圧倒的な声量と安定感のある音程で歌手が歌いあげます。 これまで身内でワイワイとしていたところに知らない本物の歌手が来ると、盛り上がればいいのか聞き入ればいいのか少し迷います。周りの人たちも同じだったようで、音に合わせて乗っているけれど微妙な空気が流れたまま、一曲を終えた彼女たちは一礼をして出ていきました。するとまた店員さんが入ってきて、カラオケの機械を元通りにします。たまたま次に曲を入れていた人は「歌いにくい」と嘆いていました。彼には悪いですが、おそらくみんな自分じゃなくてよかったと思っていたことでしょう。

予約した人が常連だったからか、それとも大人数だったからか、はたまたお店の気まぐれか、真相は闇の中ですが、貴重な体験ができました。そしてやっぱり大声で歌うのはストレス発散にぴったりです。

Пока!

Metroで大量に買い出し

Привет!

今週初めは最高気温が1度だったのに、明日の最高気温はー11度だそうです。一週間の中で12度も差があるなんて。どんな格好をしていたか忘れてしまったので、できれば家にこもっていたいのですが、-11度くらいで引きこもってしまったら真冬は外に出られなくなります。体を慣らすためにもどこかへ行こうかな。

先日、少し町はずれにある大型スーパーに連れて行ってもらいました。 地下鉄がないこの町に唯一存在する「メトロ」です。実はモスクワにも全く同じお店があります。モスクワには地下鉄もあるので「メトロ」といったときにどちらを指すのかややこしいことも何度かありました。 mickymm.hatenablog.com この記事では名前を出していませんが、マグロやサンマを買ったのがこのお店でした。

アスタナでは街中から10分も車で走るとすぐ草原に出ます。このスーパーはそんな草原のなかに突然現れるので、周りの風景と明らかにミスマッチでした。この街だったら別に郊外に作らなくても、街中に土地はあるのになあ…と思いながらお店に入りました。モスクワでは会員制だったので、ここでも入り口すぐのサービスカウンターで入会手続きをしましたが、連れて行ってくださった方々によると最近入り口のゲートが撤去されたので誰でも入れるようになったとのこと。レジでも会員証を見せたりしないので、実質会員制ではなくなったようです。制度は変わるもの。でもいつまた「やっぱり会員制にします」とゲートが設置されるかわからないので、とりあえず今は役に立たない会員証を作りました。

ここは食料品だけではなく、生活に必要なものは大体なんでもあります。家電に小さめの家具、キッチン用品に洗濯用品、スキンケアに掃除道具までなんでもござれです。最後、レジでお支払い途中に覗いていないエリアがあることに気が付いたのでもしかしたら服などもあるかもしれません。 お店の真ん中あたりに立って撮った写真です。とりあえず面積が広く、カートもお店の面積に比例して大きいので小回りが利かなくて少し苦労しました。ほとんど業務スーパーなので、置かれている食料品も街中のスーパーに比べると大きいサイズが多いです。大体800g入りしか手に入らないお米も、ここなら4.5kgのものが買えます。質も全く街中で手に入るものに引けを取りません。小さいサイズの怪しいお米を買うくらいなら、こちらで買ったもののほうがおいしく感じました。 オリーブオイルだってこのサイズです。一見ガソリンかと思いました。

モスクワではメトロといえば巨大な水槽があり、新鮮な魚が置いてあるので有名でしたが、ここのメトロはどちらかというとお肉のほうに力を入れていました。店の奥にあるお肉コーナーの入り口には分厚いゴムでできたのれんのようなものがかけてあり、それを押して中に入るとそこは真冬の世界です。 ここではカズビーフというカザフスタンで育った牛のブランドを扱っており、真空パックされたお肉たちはバザールで野ざらしにされたお肉より安全そうです。真空パックなので賞味期限は1か月近く先という優れもの。2010年にできたばかりの会社で、カザフスタンで育てた質のいいブラックアンガスビーフというのが売りのようです。なんと個々のお肉を扱っているのはメトロだけ!それにしてもこのお肉コーナーは気温を相当低く設定しているので、中でどのお肉にしようか迷っていると命の危険を感じるときがあります。お店の中だからとコートの前を開けていましたが、ここに入る前はしっかり着直すことをお勧めします。カズビーフではありませんがシチュー用に切られた牛肉なども売られていて、主婦に親切なお店です。

たくさん買ってしまって袋に入りきらなくても大丈夫です。出口近くに段ボールが置かれているので、欲しい大きさのものをもらうことができました。自家用車があればかなり便利ですが、バス停もお店の前にあったのでバスでも来られるようです。

後日家でカズビーフのステーキを焼いてみましたが、とてもおいしかったです!この量でお腹がはち切れそうなほどの満足感が得られました。そして小さめの塊肉を選んだつもりが、4人前のステーキが作れそうなくらいありました。しばらく牛肉は買わずにすみそうです。

Пока!

絵葉書を探して

Привет!

少し高い建物に上ると遠くのほうに見える草原や、町のところどころに突然現れる馬のオブジェなどに毎日触れていると、ああここには騎馬民族が暮らしているんだな、と実感します。ですが、日本に住む人たちも稲作が入ってくるまでは狩猟民族で移動して暮らしていたはずです。大陸顔だといわれる私ですが、新しい土地に行きたいという気持ちが強いのでどちらかというと騎馬民族の人たちに精神は近いのかなあと思っていました。

…思っていた私が甘かったのはこちらに来てすぐ分かりました。

小学生のころから、どこかへ旅行に行くと実家に絵葉書を送るのが習慣です。時々その土地で郵便局やポストが見つけられず、ホテルから出したり家に帰ってから出したりするのですが、とりあえず現地でポストカードはすぐに買うようにしています。アスタナに来た時もすぐに送ろうと絵葉書を探しました。絵葉書といえば、おみやげ物屋さんのレジ横に必ず置いているものだというイメージが強かったのですが、アスタナではそもそもおみやげ物屋さんが見つけられませんでした。モスクワでは路上のキオスクにもおみやげ物屋さんがあったのに。

アルチョムバザールの靴屋さんコーナーの横におみやげ物屋さんが2軒あったので、入ってみましたが民族衣装やユルタの模型、そしてマグネットなどはかなりの種類があるものの、絵葉書はありません。お店の人に聞いてみても「残念ながら置いていませんね」と言われるばかりです。郵便局にも足を運んでみましたが、局員は「絵葉書はありませんが、切手ならありますよ。買いますか?」と少しずれた答えを返してくるだけでした。その買った切手をどこに貼れというのでしょう。

ほかの郵便局では「置いていませんね」と言われただけだったので、思い切って「どこで買えますか」と聞いてみました。少し面食らった様子の局員さんは「…お花屋さん?」と少し疑問形で答えてくれました。その日以降、私はお花屋さんを見つけるとドアを開けるなり「絵葉書ありますか」と尋ねる変なお客と化します。ただ、どこも置いているのは「誕生日おめでとう!」という文字が入ったメッセージカードばかりで「もっとこう、町の写真が載っている感じの…」という追加注文をするとお店の人は黙って横に首を振るだけでした。

モスクワでは本屋さんでも売ってたな、と思い出したのでありとあらゆる本屋さんや文房具屋さんにも聞いて回りました。ここもほとんどお花屋さんと変わらないラインナップです。一度、店員のおばあちゃんに「…絵葉書って何ですか」と聞かれたときは絶望に近いものを感じました。
「…誰かに送るものです。手紙みたいな。絵や写真が載っています」
「封筒のことですか?」
「いいえ、カードのような形でのものです。すみません、ありがとうございました」
…もしかして絵葉書という存在が消えた世界に来てしまったのでしょうか。ほかは私の知っている世界なのに、絵葉書だけ消されてしまっているような違和感を感じます。

それでも手掛かりが欲しくて、こちらで日本人に会うたびにアスタナにおける絵葉書の存在について尋ねてみました。すると皆さんは口をそろえて言うのです。  

「あー、騎馬民族の国だから仕方がない」と。  

そもそも、住所を持たない歴史が長かったから、手紙を書く習慣がほとんどないというのです。何かを送るとなると荷物が主流のようです。そういえば郵便局にいたお客さんも箱を抱えている人がほとんどでした。決まったところに人が住んでいるという考え方をしていた私はやはり農耕民族だったのです。

それでもまだあきらめられずに絵葉書を置いていそうなお店があれば探してしまう日々が続いていました。そんなある日、以前行ったときにはお昼休憩中で閉まっていたユーラシア・バザールの中にあるお土産物屋さんが開いていたのです。中に入っていつも通り「絵葉書っておいていますか?」と聞いてみました。するとお姉さんは「ありますよ!」と言って奥から出してくれたのです。 それがこちら。8枚入りの絵葉書セットです。やっぱりこの世界は私が知っている世界だった!探し物を見つけた以上に安心感がこみあげてきて思わず泣きそうになりますが、絵葉書を出しただけで客に泣かれたらこのお姉さんも不審に思うので、なんとか我慢して一言「ずっと探していたんです」とだけ言いました。しかし、思ったより細長かったので「これって外国に送れますよね?」と聞いてみました。お姉さんは当然だ、という顔をして「切手を貼れば送れますよ」と教えてくれます。切手は郵便局にあることが確認できているので、もう不安要素はありません。

家に帰ってとりあえず広げてみました。 その中の一枚を選んで、さあ書こうと裏返します。 …どこに文字を書けばいいの?慌てて裏返しますが、表面にはもちろん写真しかありません。え、写真の上に書けばいいの?これもしかして絵葉書じゃなかったの?

ほかの絵葉書も裏返してみました。 こちらはシンプルな説明で書くところがたくさんあります。結局8枚中絵葉書として使えそうなのは4枚しかありませんでした。打率の低さ。三言語で説明が必要だからでしょうか。

一枚仕上げて、きちんと住所を書き、やっと郵便局へ向かいます。 モスクワと同じように入り口に置かれているパネルを操作し、目的別に番号札が発行されます。私の番号は756番でした。電光掲示板に出ている現在の番号は…736番です。え、20人も待たなきゃいけないの…?と思っていたら、局員さんが「次、755番の方ー」と叫びました。どうやら私は2番目のようですが、あの電光掲示板の存在意義は何でしょう。

絵葉書は200テンゲ(66円ほど)で日本まで送ってくれるようです。ちなみにほかの国にも同じ値段で送ってくれました。  

そしてこちらから送ってから2週間と3日、ついに実家から「届いたよ!」という連絡が来ました。ちゃんと郵便が機能していることが確認できてよかったです。

さあ、次はうちのポストがどこにあるかを探すミッションです。健闘を祈ってください。

Пока!

国立博物館へ

Привет!

こちらに来て一か月、そろそろ生活リズムもできてきたので、日中の時間があるときに観光に出かけることにしました。以前お友達と前を通った時に「これはこう見えて博物館なんだよ」と教えてもらった建物がとても気になっていたので、観光第一弾はここに決定です。 おそらく夏は勢いよく水が出るのであろう噴水には、騎馬兵の銅像が並んでいました。壁の白い部分に掘られたカザフ文様も美しいです。ちなみにこの外壁は夜になるとライトアップされます。一定時間が経つと青や赤や黄色に色が変わるので、みていて飽きません。寒いので長時間は眺められませんが。

通常チケットは大人が700テンゲ(230円ほど)で、黄金の間や特別展に入るのには別料金がかかります。ちなみに2018年版の地球の歩き方には1500テンゲとなっていたので、つい最近値下がりしたようです。値上がりしているケースはよく遭遇しますが、実際がほとんど半額になっていることははじめてでした。200円ちょっとでカザフスタンの国立博物館が見学できるのはうれしい反面、経営状況が少し心配になります。チケットを買って入場するとすぐにカザフスタンの国旗そのままの太陽とタカが出迎えてくれました。 タカに誘われるままカザフスタンについて学びたくなりますが、昼食時だったのでまずは腹ごしらえのために地下にある食堂へ。手書きのロシア語のメニューを解読し、あまり期待しないで鶏肉のハンバーグ(ロシア語ではカツレツ:котлетと言います)を注文しましたが、このハンバーグが絶品でした。ちなみにハンバーグにライスをつけて紅茶とともに750テンゲ(250円)という破格の値段だったので、もし博物館でお腹がすいたらこちらをお勧めします。ラグマンやサムサなど中央アジア料理も楽しめるようです。そしてこの食堂の前には、なんの説明もなくおもむろにユルタと呼ばれる遊牧民族のテントが置かれていました。展示物なのかな…? さあ、気を取り直して見学開始です!ロシアの美術館や博物館も順路が分かりにくかったのですが、カザフの博物館も同じでした。おそらくここは順路はなく、「アスタナの間」「古代と中世の間」「民族の間」「歴史の間」「独立の間」「近代美術の間」そして「黄金の間」の部屋に展示物が分かれているので、興味のある所から見ていけばいいようです。 入り口に鎮座するナザルバエフ大統領の像。初代大統領であり現在もこの国のトップに立つ彼は、ソ連からカザフスタンを独立させ、この街を築いた人として国民から圧倒的な支持を得ています。もちろん博物館の展示を見ていると、彼の名前を目にしない時間はほとんどないのではないかというくらい至る所に名前が出てきます。もちろん写真も多いのですぐ顔も覚えられます。

私は漫画「乙嫁語り」に出てくるような刺繍や民族衣装、そして馬が好きなのでとりあえず「民族の間」へ行きました。 入った瞬間にユルタと馬が出迎えてくれました。今回はちゃんと展示物然としています。このユルタの後ろには羊もいました。そしてこのユルタを取り囲むように時代ごとの女性の民族衣装が飾られており、刺繍をしているところの写真や馬周りの道具の説明などが詳しく書かれてあります。この部屋にはずっといられそうです。 どの展示もカザフ語、ロシア語、英語で説明が書かれています。写真やパネルの展示だけではなく、映像などが見られる液晶画面があったり「中世の間」では当時のバザールが再現されていて、角を曲がるとアラジンでも出てきそうなところに迷い込んでしまったり、 本当に見せ方が上手だなあと一人で感心してしまいました。

「歴史の間」「独立の間」においては、騎馬民族の生活を営んでいるところに「ソ連」が入ってきた違和感を浮き彫りにするような展示方法でした。緑と茶色がメインだった展示に赤と黒が唐突に入ってくるので、視覚的にわかりやすくなっています。アスタナから15kmほどの場所に「アルジール」と呼ばれる、スターリン政権の時に使われた政治犯の家族の女性たちの強制収容所があったので、その場所についての証言や写真などの展示もありました。

そして「アスタナの間」。19世紀に少しだけ歴史に登場した後は1997年に遷都されるまで草原でしかなかったこの街については、展示のほとんどがこの20年の出来事です。街中に点在する奇抜な建物についても説明がありました。 今では整備されて綺麗なバイテレクの周りも、15年ほど前まではこんな状態だったのですね。それにしても写真が少し古すぎる気がします…。また、この写真の上にはある日本人の写真が飾ってあります。実は1998年に行われた国際コンペティションで選ばれた日本人建築家、黒川紀章さんの案がアスタナの都市計画に使われているのです。彼の案が完成するのは2030年の予定です。今もどんどん新しい建物が増えているアスタナがこれからどうなっていくかとても楽しみです。

Пока!

お買い物こぼれ話

Привет!

11月に入りましたね。ついこの間までトレンチコートを着ていたのが嘘のように外は寒く、最高気温も氷点下です。いや、でもこれくらいで弱音を吐いてはいられません。冬本番はこれからです。

そして、昨日で私がアスタナに来て一か月が経ちました。はじめこそこれまでと全く違う生活習慣や一からの人間関係形成に戸惑っていましたが、今ではどこに行けば何が手に入るかも分かってきて、何よりいろいろな面で助けてくださる方々とも出会うことができたことで不自由なく暮らせています。それでも時にはお買い物をしているだけなのに驚くこともまだまだあり、世界は広いことを実感する日々です。今日はそんなエピソードをいくつかご紹介します。

①レモン汁について
ある日、料理にどうしてもレモン果汁が必要になりました。ロシアではスーパーでドレッシングコーナーかサラダコーナーに日本でいうポッカレモンのようなものが置かれていたのでカザフでもあると思いスーパーへ急ぎます。その日の私にとっては無駄に広いスーパーを端から端まで探し回りますが見つかりません。こうなったらレモンを絞ればいいか、と考え直して果物コーナーに行くと、たまたまその日はレモンそのものが売っていませんでした。…店員さんに聞いてみるしかないな。

そう思って「果汁」に当たるロシア語を探してみるとсок(ソーク)になります。でもこの単語は「ジュース」という意味でも使われるので、「レモンのソークありますか」と聞くと確実に「レモンジュース」が出てくることでしょう。苦肉の策として、あらかじめスマートフォンでポッカレモンの画像を表示させておいて、それを見せながら店員さんに聞くことにしました。店員さんは一瞬眉をしかめた後「…もしかして料理に使うのですか?」と聞き返してきました。そうです!そのタイプのものです!そうか、はじめから「料理用の」と聞けばよかったのか。しかし商品が特定できたからと言って在庫があるかは別問題です。そこから手が空いている店員さん(結構いる)の半分くらいを巻き込んで大捜索が始まりました。あちこち探しまわる店員さんたちと「大丈夫ですよ、きっとありますから」となぜか慰められる私。なかったら違うものを作りますからいいですよ、といまさら言いだすこともできず、ただ待つこと10分。倉庫のほうにあるかもしれない、と走ってくれた店員さんが嬉しそうに戻ってきました。「ありましたよ!」というその手に握られていたのは黄色いボトル。「1リットル入りですがいいですか?」とうっすら汗をかきながら聞く店員さんに「さすがに多いです」などと文句は言えず、お礼を言って買いました。 お値段なんと900テンゲ(300円ほど)。無事に料理は予定通りできましたが、残りのレモン果汁をどうしようかとずっと考えています。とりあえず家でのどが渇いたときにはカフェのようなおしゃれなレモン水を飲むことにしました。それから…これから冬になることだし、はちみつレモンでも作ろうかな。

②時代の移り変わり
私は料理自体はそんなに好きなわけではないのですが、キッチングッズを見るのはとても好きです。何に使うのかいまいちわからない道具の使い方を考えたり、便利グッズに感心したりするのが楽しいので、キッチングッズのお店と見るなりすぐに入ってしまいます。以前この記事で紹介したユーラシアバザールにもキッチングッズのお店がありました。 mickymm.hatenablog.com 小さいながらも、製菓用品から水筒などまで充実の品ぞろえで、なかでもお箸と巻きすがセットになったお寿司用の道具が売られていたことには心底驚きました。そういえばまだこちらでお寿司を食べていません。
レジのほうから声が聞こえてきました。どうやら店員さんと年配のお客さんが話しているようです。「結局今はどんなフライパンがいいの?なんか加工されたものがいいだとか、鉄がいいだとか、いろいろ言われてるけれど」「今は石のフライパンがいいですよ」「そうなの、ほら私ソ連時代からの人間だからやっぱり鉄なのかと思ってたわ」「私もソ連の人間ですよ、時代によって話が違いますよね」…細かい言い回しは少し違うかもしれませんが、大意はこんな感じでした。盗み聞きしているのは悪いと思いつつ、この会話で私にとって目新しかったのは、日本人が言う「昭和の人間」のようなニュアンスでカザフ人も「ソ連の人間」というんだな、ということでした。もちろん日本の改号とソ連崩壊という事実は全く違うものですが、やっぱり同じような言い回しはあるんですね。こんな会話を聞きながら、もうすぐ平成が終わるなあとぼんやり考えていました。

③手袋
旦那が突然「手袋買ってきて。防寒用じゃなくて、指紋がつかない上にすべらないのがいい」というメールを送ってきました。ちょうどショッピングセンターにいたので、様々なお店に入ってそれらしきものを探します。私が想像したのは、日本のタクシーの運転手さんや宝飾店の人がつけているようなものだったのですが、こっちのタクシーの運転手さんは手袋なんてつけていないし、よく見るとどの宝飾店も店員さんの手に手袋はつけられていません。紳士服売り場から文房具売り場に至るまで店員さんに聞いて回りましたが、おそらく私が思っている手袋を相手に理解してもらえないままでした。この国にはないのかもしれない…。そうなると私が発想を転換させるべきです。条件に合うものといえば、手術用のゴム手袋でもいいのではないか?と思い至って、薬局へ入ってみました。  手袋をさがしていて…というと「ゴム製のだったらあるけど」とすぐに返事が。それください!と出してもらったものは左右のペアで50テンゲ(16円ほど)。うれしくて、帰ってきた旦那にすぐつけてもらいました。 …なんだかおかしいです。手の大きさは同じはず。ということは左右の手袋の大きさが違うようです。カウンターの下から出てきたので、どんな風に管理されているのかわかりませんが、せめてサイズ違いは分けたほうがいいよ、とその薬局に助言しようか迷っています。

今日はこのへんで! Пока!

中心地のお散歩と時計修理

Привет!

最高気温も氷点下が続くようになり、やっと冬らしい気温になってきました。ただ乾燥が予想以上で、すぐにのどが渇く上に保湿が追いつきません。お風呂から出たらすぐ保湿するようにしていますが、その間に髪の毛が3分の1くらいは乾いているのにいつも驚かされます。乾燥肌を持つ私にはなかなか厳しい状況ですが、うまく付き合っていく方法を毎日試していこうと思います。

乾燥はしているものの、外を歩く分にはこのプラス5度からマイナス5度くらいまでの冷気は気持ちがいいです。ということで、ついにアスタナの中心部を散歩してまいりました!小さな街の地理的な「中心」ではありませんが、アスタナを象徴するような建物が集まっているところです。

まずはバスで街を象徴するタワー「バイテレク」まで行きます。 この塔はナザルバエフ大統領が発案したもので、バイテレクとは「生命の樹」という意味だそうです。おみやげ物のマグネットや箱などにも大抵この塔が描かれています。周りに高い建物がないので、写真などで見たときはとても背が高そうに思えましたが、実際に見てみるとそんなに高くは感じませんでした。できればこの地を離れるまでに上まで登ってみたいと思います。横にある灰色の巨大な卵のようなものは図書館の一部です。聞くところによるとあの卵の中には様々なアーカイブが収められているとか。図書館には入ってみようかと思ったのですが、入り口が分からず諦めました。 このバイテレクから振り返ると大統領府が見えます。真ん中の青い屋根を持つ立派な建物がそれです。夜になるとぎらぎらと光り始める街中の建物とは一線を画して、とても上品な明かりで照らされます。その両脇にそびえる金色のツインタワー、別名「ビール缶」は会社が入ったオフィスビルだそうです。毎日ビール缶に出勤する気持ちはどんなものなのでしょう。

この大統領府からバイテレクを通って以前紹介したショッピングセンター「ハン・シャティール」までは直線で結ばれており、公園のようになっています。両脇に様々なオフィスビルやショッピングセンター、レストランを見ながら進んでいくのはとてもいい散歩コースになりそうです。突然民族衣装を着た銅像があったり、馬がいたり 目にも楽しいです。

この馬の前にはショッピングセンター「ケルエン」があり、その中に時計を修理してくれるお店があるとこちらに書いてあったので行ってみることにしました。それというのも mickymm.hatenablog.com この時に盤面のガラスを直してもらうついでに修理屋さんの好意で「電池も変えておきますね」と変えてもらった時計が、微妙に遅れるのです。せっかくきれいになった時計ですが、このままだと意味を成しません。先ほどの情報ではショッピングセンターのスターバックスを曲がったところに修理屋さんがあるとのこと。たしかにその細い通路の上にはこんな表示が出ていました。 クリーニング屋さんを通り過ぎたところにそのお店はありました。入り口のドアがあまりに小さいので、通り過ぎそうになりましたがぎりぎりたくさん並べられた時計を 目の端でとらえて中に入ります。出てきたおじさんに時計を見せながら「電池を変えてもらえますか?止まっているわけではないんですが、変に針が遅れるんです」というと額にかけた虫眼鏡を目のところに降ろし、時計をじっくり見始めました。そして「ほら、この秒針が短針に邪魔されてうまく進めないんだよ」とすぐに原因を見破ってくれました。プロってすごい。このおじさんへの信頼度が一気に高まり「なるほど」と相槌をうつと「じゃあ10分後に来てくれる?あと修理代は3000テンゲでいい?」とのこと。え、1000円でいいんですか。その上10分で直るんですか!少しお買い物をして約束通りの10分後ぴったりに行くと、ちゃんと出来上がっていました。それ以降時間は遅れていません。

うれしくてスキップしそうな勢いでショッピングセンターを出て、ハン・シャティールのほうへ足を進めます。ハン・シャティールの目の前でバイテレクのほうを振り返ると AとSの間に小さくバイテレクが見えます。このロゴの後ろにそびえる不思議な形のビルはガス会社だそうです。

やっぱりきれいな街で、この街が好きだな、と思いました。

Пока!