馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

サムサを食べながら

Привет!

題名を書いたら、私の携帯は「さむさ」を「寒さ」としか変換してくれませんでした。いや、今年めっちゃ暖かいで。

さて、サマルカンドでスザニ(刺繍)工房を出るとちょうどお昼時でした(ガイドさんと朝あったときに「お昼は何時くらいがいいですか?」と聞いてくれていたのです)。ガイドのNさんのオススメレストランに!とお願いすると「ウズベキスタン料理でまだ食べていないものはありますか?」と聞かれました。うーん、ラグマン(うどんみたいなの)はタシケントのバザールで食べたし、プロフは次に行く街、ブハラが美味しいって聞いているし、サマルカンド・ナンはいろんなお店で付け合わせとして出て来ているし…というところで思いつきました。「サムサ!サムサが食べたいです!」

レギスタン広場の前でタクシーを捕まえ、オススメのサムサ屋さんに行く途中で「サムサも実は街によって少し違うんですよ。基本的にサマルカンドのものは小麦粉と水で作る生地を薄く伸ばして、それを何枚も重ねて、中にお肉を入れるんですが、タシケントやブハラではもう少し分厚い一枚の生地だったりもするんです。なので他の街でも食べてみてくださいね」…タシケントでも食べれば良かった!

そうこうしているうちに着きました。 見るからにサムサとシャシリクの専門店です。

中に入るとすぐ右手が厨房になっており、左手に食事をするホールのような場所があります。そこで食事を楽しんでいるのは明らかに地元の人ばかりです。Nさんが厨房に声をかけてくれて、なんとサムサを焼いているところを見せてもらえることになりました。 小麦粉と、中に肉と一緒に入っている玉ねぎ(シャシリクの付け合わせにもなります)。

そして奥の釜の蓋をあけると…(集合体恐怖症の方は閲覧注意です) サムサがいっぱい!ナンと同じで釜の壁に貼り付けて焼いています。思わず「これ取るとき落ちないんですか…?」と聞いてしまって笑われました。

ホールの方に行って適当な空いている席に着くと、もちろんメニューはなく、若いお兄ちゃんが「どうします?」と聞いて来ました。Nさんは私たちに尋ねながら、サムサとシャシリクを頼んでくれます。落ち着いたので、机の上に置いてあったペプシのペットボトルに入った水らしき液体を飲もうとコップに注ぎかけたところで「それ、お酢ですよ」とNさんに止められました。いや、うん、日本じゃあるまいし水が用意されてるなんて珍しいなって思ったんです。

先ほどのお兄さんがまたやって来ました。 サラダがもし欲しければここから取るのだそうです。サムサとシャシリク以外は現物で回ってくるからメニューがなかったのか。ほとんどがビーツとマヨネーズを使っていて、ロシアの前菜を思い出しました。

ここでやっとNさんと私たちでお互いのことについて話しました。今まで書いてきたNさんのセリフは、ほとんど実際話されていたのと変わりません。本当に流暢な日本語でガイドをしてくれるのです。また、ちょっと言葉に詰まった時も「なんでしたっけ…」と日本語で場を繋ぎます。また私たちからの突発的な質問にも的確に答えてくれるので、今ロシア語を勉強している身からするとこれまでの努力が見えるようで、本当に尊敬しかありません。しかも聞くところによると日本に留学したことはなく、旅行で行ったことがあるだけとのこと(来年、国費での留学の試験に合格されて日本に来られるそうです)。

そんなNさんに「日本語を勉強しようと思ったきっかけは?」と聞いてみました。彼女が通っていた大学で日本人の先生の日本語の授業が面白いと聞いて履修してみたのが始まりでした。それまで日本にも日本語にも興味はなかったそうですが、その先生の授業を取って行くうちに「日本語で食べていきたい」と思ったのだとか。その先生はかなり厳しくも本当に熱心で、はじめ何百人かいた履修生は終了時には20人ほどになっていたそう。しかし、その先生曰く「ウズベク人がウズベキスタンで日本語を使える一番の道はガイド」ということで、はじめは道行く日本人に声をかけて無料でガイドをし、その観光客と先生でフィードバックをしてもらって練習を積んだ、という話を聞かせてもらいました。その先生に習ったNさんを含めた生徒さんたちは、今ガイドとして第一線で活躍しているそうです。

サムサが来ました。上に穴を開けて、左下のスパイシーなソースを入れたり、右上に写っているお酢をつけて食べます。…一言で言えばミートパイなのですが、これがもう本当に美味しかった!少し表面は硬いけど、中はサクサクの皮に、中のミンチが本当に合うのです。焼きたてということもあって熱いですが、思わず「幸せ…」という声が出るくらい堪能しました。モスクワにもサムサはありますが、この質のものはここでしか食べられないんだろうなあ。

食べながらも話は続きます。Nさんは本当に素晴らしいガイドさんで、これまで経験をたくさん積まれて来たんだろうな、と思いました。少し手違いでトラブルが起きた時もさまざまな方法できちんと解決し、私たちの反応をしっかりみて何を説明してどこを観光するかも決めておられるようでした。これまで旅行していて、これほど安心して観光できたのは初めてです。

シャシリクも来ました。これも付け合わせの玉ねぎが全く辛くなく(時々めちゃくちゃ辛いものがあります)、シャシリクの味を引き立てていました。

お腹もいっぱいになって、いろんなお話で心もいっぱいになって、次の目的地へ行きます。

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