馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

「大統領の休暇」

Привет!

こんにちは4月!道端の雪もどんどん溶けてきました。桜はありませんが、暖かくなってきて春がそこまできている気配がします。ここまで春が来てから、忘れ物でも取りにきたかのように雪が降らないでほしいな(去年はそうでした)と思っています。

久しぶりに、今年2本目の映画を観てきました。 Каникулы президента、直訳すると「大統領の休暇」という題名のロシア映画です。ロシアで大統領といえば、言わずもがなプーチンさんのことですが、これはドキュメンタリーではなくコメディ映画でした。ロシア大統領についての(ドキュメンタリーではない)映画が作られるのは史上初だそうで、メトロの新聞にこの映画に関する記事が載っていたのを授業で読んだので行くことにしたのです。

プーチン大統領を演じるのはコメディアンのドミトリー・グラチョフ。プーチン大統領のそっくりさんとしてロシアでは有名な人です。個人的に雰囲気は似てると思いますが、この人がそっくりなのはその声と話し方です。とりあえず予告編を置いておきますね。

ついでにプーチンさん本人の演説の様子も良かったらご覧ください(年越しの演説です)。

よくここまで真似できるなあ、と思いながら見ていました。このモノマネを1時間45分堪能したくて見に行ったところはあります。

肝心のストーリーはこうです。ロシアの大統領は、日々のルーティンワークに疲れ、どこに行っても誰かがずっとそばにいることに疲れ、突然クリミアで休暇を取ることにしました。ただ、そのままではバレてしまうので、映画の特殊メイクをする人を呼んで全くの別人に見えるようにマスク顔を変えてもらいます。いくつかの顔の中でもっとも大統領が気に入ったものに顔を変えてもらい、「ウーチン」という偽名(どこがやねん)を使って旅することに。1つ問題は、その大統領が選んだ顔がモスクワ在住のバレリーという男性にそっくりだったことです。しかもこのバレリーさんは借金の取り立て屋から逃げるために、同じくクリミアへ向かうところでした。2人が偶然空港のトイレにほとんど同じタイミングで入ったせいで、極秘でついてきた護衛が勘違いしてしまい、立場が入れ替わってしまって…。

新聞の記事によると、監督はマーク・トゥエインの「王子と乞食」からこのアイデアができたそう。映画自体とてもテンポが良く、あっという間の2時間弱でした。

お客さんは少ないながらも老夫婦から若い子たちまで幅広かったです。ただ、テレビでよくやっているコメディ番組では、観客が本当によく笑っているので、この映画でもみんな大笑いかと思ったのですが、私と旦那が一番笑っていたかもしれない、というくらいあまりみんな笑っていませんでした。コメディ番組の観客がサクラなのか、私たちの笑うハードルが低いのか、声を殺してめちゃくちゃ笑っていたのか分かりませんが、私としては少し意外でした。

そういえば、授業中にこの映画についての記事を読んだ時に、私は純粋に面白そうだと思ったのですが、ドイツ人のクラスメイトもロシア人の先生も「これは詰まる所プロパガンダだよね」と言っていました。記事には「ロシアの大統領府からは特別な要求はなかった」とあり、それは寛大さをアピールしているのだ、そして映画の中では絶対プーチン大統領を悪く描かないはず、コメディ映画の主人公だし、というのです。

映画の中で、結局変装したプーチンは飛行機に乗れず、空港にいた女性と2人で車でクリミアへ向かうロードムービーになるのですが、道中いろいろな街で人々の実際の生活を目の当たりにします。その間ずっと国民のことを考え、うまく法律は機能していないところはメモし、様々な人の話を聞くプーチン。見ていると当然のように彼のことが好きになります。現役の大統領でこの映画を作ることで、確かにこれはプロパガンダだ、と思いました。それを分かって見ているから他の人は笑わなかったのでしょうか。

トランプさんでも、メルケルさんでも、日本の首相でも、こんな映画は作れないね、と授業中に話しました。いつもあんな仏頂面なのに、こういう役回りでも成り立ってしまうプーチンはある意味恐ろしいと改めて感じた2時間でした。海外でも公開したいそうなので、もし興味のある配給会社さんがあれば是非。面白かったです。

そういえば、今回の映画はエンドロールにそれぞれのキャラクターがどうなったかを紹介していたのですが、流石に電気は付かず誰も劇場を出ませんでした。やればできるやないか!

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