馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

君の名は。感想

Привет!

朝起きたら、気温が一桁でした。もう冬が来るなあ…最近は周りがダウンを着ている中、無駄な抵抗をしようとパーカーで外に出ています。風邪を引く前に諦めると思います。

さて、題名を見て「え、今?」と思われた方も多いと思います。公開から1年経っていますしね。そうです、ついに劇場で見ることができました!
日本での公開開始直前に出国してしまった為に飛行機の中でも見られず、監督のファンで公開初日に観に行った弟に電話で「どうせ観られるの1年以上後やから忘れるやろ」とネタバレされてから早1年1ヶ月。あの時聞いたネタバレは全く記憶から消えることなく観に行くことになりました。ただ、ロシア語吹き替えで見るとき、物語を掴むのにはかなり役に立ったので、感謝こそすれ恨んではいません。

7月に行われたジャパンフェスの時に9月公開が発表されていたのですが、私は「そうは言っても一部の特殊な(外国のマイナー映画しか公開しない)映画館のみ、とか言うんだろうなあ」とどこか冷めた目で見ていました。ところが蓋を開けてみるとモスクワのほとんどの映画館で公開しているではありませんか!近くの映画館にも ポスターが貼られ、テンションが上がります。上には「時間の糸が運命を繋ぐ」という言葉が、そして監督については「新しい宮崎駿と言われている新海誠作品」と書かれています。このポスターを見た時、1番驚いたのは「名前」という単語(имя)って中性名詞だったんだ!ということでした。通常аとяで終わる単語は女性名詞なのです。

さて、映画自体の感想としては賞賛も批判も十分すぎるくらいインターネット上に溢れていると思いますので、私は「ロシアで見る日本映画」について書こうと思います。ちなみに私はすごく好きな映画でした。あの映像を大画面で見られたことに感謝です。一回見ても頭から離れず、2日後にもう一回見に行ってしまいました。

吹き替えということで、やっぱり気になるのは男女が入れ替わる時の声。YouTubeで特集された番組を見ていたので神木くんと上白石萌音ちゃんの二人という本家が素晴らしいことは知っていました。余計にロシア版は不安です。テレビで放送する映画は今でも時々男女一人ずつしか声優を用意していない時があるくらいなのです(つまり男性の登場人物全部同じ声)。主人公の滝くんの声を当てたロシアの声優さんがもともと高い声だったためか、あまり入れ替わっている時の声の調子に変化はありませんでした。仕草が女の子ぽくなるので映像に助けられていた印象です。でも決して下手ではなく、聞き取りやすい良い吹き替えでした。これはもう一人の主人公、三葉 ちゃんにも言えます。

何度か二人で声を合わせていうセリフがあるのですが、それはバラバラでした。別撮りしたのかもしれません。ちなみにあの有名な「入れ替わってるー!?」はロシア語で「поменялись телами:パメニャーリシ テラーミ(身体が入れ替わっている)」でした。これをRadwimpsの前前前世に合わせて言うのでめっちゃ早口になっていたのが面白かったです。

男女の入れ替わりといえば、日本語では分かりやすく「男言葉・女言葉」があり、一人称(私・俺など)があるので入れ替わっているのが分かりやすいですが、ロシア語ではどうするのか気になっていました。ロシア語で性別が分かりやすいのは「過去形」です。男性なら語尾が「л」で、女性なら「ла」で終わります。日本版では、三葉ちゃんが中身の時の滝くんが「私」と言ってしまって「わたくし、僕、俺」と周りの反応を見ながら言い換えるシーンで、ロシア語では過去形が来るような文脈に変えていました。周りの反応ともぴったり合っていたので、笑いも起きていました。ここ、英語であればどうなっているのか気になります。

吹き替えということで、Radwimpsが好きな旦那が1番心配していたのが「劇中歌は日本語なのか」ということでした。結果からいうと、きちんと日本語が流れ、ロシア語字幕がつくという形になっていました。ただ、キャラクターたちが話すセリフが多くなって来ると字幕は消えます。また、画面に日本語が映ると(名簿の名前や、本の題名など)、低い男性の声が棒読みで訳すので、その度に笑いそうになってしまいました。かなりシリアスな場面で、民宿に書かれた「牛肉弁当」の文字をロシア語で訳した時は「空気読んで…」というなんともいえない気持ちになります。字幕にできないのかな。

また、物語の中で重要なキーワードである「口噛み酒」をそのまま「クチカミザケ」と言っているのは仕方がないとして、「センセイ」や「センパイ」も吹き替えで入ってきた時には観客が理解できるのか少し心配になりました。

色々と言いましたが、それでも日本映画が普通に映画館で見られたことに感謝しかありませんでした。ああ、このためにロシア語を勉強していたのかと思うほどでした。また何か来ないかなあ。

Пока!

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