馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

ラクダ岩

Привет!

ついにヌルスルタンの気温が日本と並びました。暑いけれど、湿気がないのでまだ過ごしやすいです。風は冷たいくらいですし。ロシア語の先生がこの気温を指して「本当に蒸し暑いね。ちょっと歩いただけで体がびしょ濡れよ」と言っているので「今すぐ日本で夏を体験してきてください」と言うところでした。海もないこの国で「蒸し暑い」だなんて!

さて、幾分か涼しかったトルコ旅行の続きです。場所はカッパドキア。地下都市博物館を閉館ギリギリでなんとか脱出した私たちは、時間があるうちに行けるところに行こうという話になりました。8:30ごろまで明るいので、入場する必要のない奇岩などは見に行ける時間だったのです。

向かった先は「ラクダ岩」があるデブレント渓谷。そこへナビの行き先を設定し、車に乗り込みました。カイマクルの地下都市からは1時間ほどの道のりでした。カッパドキアは観光地が点在しているので、レンタカーを借りるか、ツアーに参加するのがいいと思います。 カイマクルを出てすぐこそ市街地の中を走っていましたが、すぐに景色は拓けました。夕日の時間なので、なんとも言えない幻想的な雰囲気です。

長時間のドライブで友達が好きなCDは大方聞き切ってしまいました。いつも聞いていないCDで気分を変えようと、CDラックから旦那が引っ張り出してきたのは小田和正の「自己ベスト」です。はじめこそは「なんでカッパドキアで小田和正…」と思っていたのですが、これがまた夕日に向かって大自然の中を進む車のBGMとしてはぴったりでした。「愛を止めないで」など泣きそうになりながら聞いていました。意外とオススメです。

地下都市博物館を出た時も人が全くおらず、なんとも落ち着かない気分になった私たちでしたが、デブレント渓谷も時間のせいか観光地のはずなのに誰もいませんでした。 ここまでの道のりでもほとんど車とすれ違わなかったので、いよいよ地球上から人類が消えてしまったような、不思議な感覚に陥ります。奇妙な形の大きな岩の大群を前にすると、そもそもここが地球だったのか疑問に思えてきました。まさか1時間のドライブで火星にでもきてしまったのではないか。

これまたシャッターを下ろしている蒸しトウモロコシの屋台とお土産屋さんの前に車を停めるスペースがあったので、そこからラクダ岩まで 少し歩きました。岩の間に手をつきながら、谷をよじ登ると突然ラクダ岩が現れます。 たしかにこれはまごうこと無くラクダだ。火星人が削ったのではないかとさえ思えてくるほど、綺麗なラクダの形をしていました。この岩の周りだけ柵が作られていたのですが、ちょっと倒れ気味だったのが気になります。

しかしここはラクダ岩だけが見事なのではありません。この岩の向こうに見える景色が息を飲むほど美しかったのでした。 夕焼けがとても綺麗に見えるローズバレーという場所もあるそうなのですが、カッパドキアの奇岩群はどこもこんな風なので、他の人に邪魔されないこの場所はとても良かったです。

180度ほど奇岩に囲まれているので、少し視線をずらすだけでまた違った景色を見られるのも嬉しい驚きでした。

ちょっとした岩に3人で思い思いの方向を向いて腰掛けながら、暮れなずむ景色を見ていたこの時間は今思い出しても大切な宝物のようです。
どれくらいの間そんな風にしていたか、誰からともなく立ち上がって日が沈む前にホテルに帰ることにしました。ちょうど女の子たちがオープンカーでやってきて、シートを倒すと、ワインを片手に好きな音楽を流して夕日を眺め始めました。ああ、あれも最高の時間の楽しみ方だな。おそらくここではどんな過ごし方をしても忘れられない思い出になると思います。

Пока!