馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

中華料理「プリンセス」

Привет!

最近タクシーの運転手さん達や劇場で横に座った人など、初対面のカザフ人と雑談をする機会が増えています。初めての会話の流れはおおよそ決まっていますが、こちらが外国人だと余計に毎回同じ会話になります。まず初めに私の国籍の確認。カザフには韓国人がたくさん住んでいるので8割ほど「韓国人?」と聞かれます。そしてアスタナに来てどれくらいか、という質問が続き、私が1ヶ月ほどだと答えると皆が皆判で押したようにこう聞くのです。「アスタナの天気はどう?」と。

モスクワではここで来る質問は「モスクワはどう?」でした。アスタナでも同じだと思っていたので、街自体についての感想を用意しているところに「天気はどう?」です。しかも気温が氷点下に入ってからこの質問が増えたところを考慮すると、彼らがこちらに期待する言葉は自然と分かりました。わざわざ彼らを落胆させることもないので毎回「寒いですね。大阪ではありえない寒さです」と答えています。それにしても「寒い町」だということが彼らのアイデンティティの一部になっているのでしょうか。

寒くてもずっと家にいると息が詰まるので、週末にお友達から来た晩御飯のお誘いに、これ幸いと旦那と二人で快諾の返事を出しました。この日のレストランは中華です。以前、二人でこのレストランに行った方から「すべての量が多くてあまり品数が食べられなかった」「スープを頼もうとしたら、二人には多いから、と断られた」と聞いていたので、総勢5名で挑むことになりました。 お店の名前は「Принцесса(プリンツェッサ、お姫様の意)」…前評判とイメージがかけ離れた名前に少し驚きます。少しお店の中に入り込んだところに電話ボックスくらいのサイズのガルデロープ(コートを預ける場所)があり、その中にたくさんのコートと管理しているおばあさんが入っていたので、彼女の精神状態が少し心配になりました。

中華らしい、回転式のテーブルが乗った円形の机に案内されます。私たちを誘ってくれた人がここには何度か来たことがあったそうなので料理はお任せしました。麻婆豆腐に焼き餃子と水餃子(イスラムの国にいるので中身はそれぞれ羊とエビです)、チャーハンと山芋のスープ、そして北京ダックを注文。量が多いという噂なのにそんなに頼んで大丈夫なのでしょうか。 次々にスープ以外の料理が運ばれてきて、テーブルの上はすぐにいっぱいになりました。この時のためにお腹を空かせていたので、すぐに食べ始めます。北京ダックは特に美味しく、ダックを皮で包む手が止まりませんでした。麻婆豆腐も適度な辛さでちょうどよかったです。むしろ辛いものがお好きな人には少し物足りないかもしれません。そんな時、スープ以外は注文したものがそろっていると思われたテーブルに何かのから揚げらしきものが置かれました。思わず店員さんに「これ注文してないです」と伝えると、店員さんは笑顔で「北京ダックに使ったカモの骨を揚げたものです」と答えてくれます。注文してくれた人が「ああ、そういえば今日はカモの残りをどんなふうに調理するか聞かれなかったなあ」と言っていました。もし聞かれたときはチャーハンにしてもらうと美味しいそうです。

ついにスープが来ました。テーブルの近くにあった作業台のようなところに店員さんが置いたスープ皿を見てびっくり。 私の頭が丸々入ってしまいそうな大きさです。スープのサイズはこれ一種類とのこと。これは二人では食べきれないな…。作業台の上で、人数分の小さなお椀にスープをよそってくれます。山芋のスープは本当にほっぺたが落ちそうなおいしさでした。私が山芋に目がないというのもあるかもしれませんが、優しい味がほかの中華料理にもよく合います。スープに舌鼓を打っていると、その作業台にもう一つスープが置かれました。え…。 また人数分よそわれたスープ。
頼んだスープは一品だけですが、とすこし非難めいた口調でいう私たちに店員さんは「北京ダックの骨からとれた出しで作ったスープです」と告げます。北京ダックのポテンシャルが想像以上でした。もうお腹に入るスペースがない、と思いながらもおいしかったからかぺろりと食べてしまいました。ちなみにどちらのスープも5人がそれぞれお替りできるくらいの量がありました。なぜもっと小さなサイズを作らないのか少し理解に苦しみますが、大人数で食べるご飯というのもおいしいものです。また人数を集めて来たいなあと思えるレストランでした。

Пока!