馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

Крещение

Привет!

ここ1週間ほど突然気温が-7、8度まで下がって、雪も溶けず、モスクワ川も凍りました。ヤクーツクでは-65度を記録し、日本でもニュースになっていましたね。彼の地では-50度以下で休校だそうですが、モスクワ周辺では-40度以下で休校という決まりがあるそうです。

そんなロシアでは、1月18日と19日がкрещение(クレシェーニエ)という祭日です。昨日(18日)はいつもの先生がお休みで、うちの学校唯一の男の先生が臨時で教えてくれました。その先生が休み時間に私たちに「今日みんなは池で泳ぐん?」と問います。

「いや、池凍ってるでしょ」
「氷に穴を開けてその水に入るねんで」
「そうだとしても、まだ死にたくないから泳ぎません。こんな気温で水に入るって自殺行為やん」
「今外気温何度?」と先生。
「-7度」
「じゃあ氷の下の凍ってない水は?」
「…3度」
「ほら、水に入った方があったかいやん」

言われてみれば…と一瞬泳ごうかと思いましたが、そのまま池から出られなくなりそうなので考えを改めました。そもそもこれは宗教行事なのです。朝からニュースを見ていたらロシア全土で100万人が池に入ったと報じられていました。本気か。 こんな感じで氷の真ん中に入る場所が用意されます。ちなみに同じロシアでもソチでは外気温+10度、ヤクーツクでは-45度だったそうです。-10度のエカテリンブルクに住んでいるけれど、小さい子供がいるからわざわざソチにまで来ている家族がインタビューを受けていました。 もちろんプーチン大統領も。写真はクレムリンの公式ホームページから。

ロシア正教の行事であるこのクレシェーニエは「洗礼」という意味です。それというのも1月18日はかのイエス・キリストがヨルダン川で洗礼を受けた日だからだそう。ここから赤ちゃんが洗礼を受ける時も水につける、という習慣が来ているのだとか。なので、この池に開けられた穴もロシアの十字架型です(普通の十字架の横棒が二本、足元には斜めに短い足台がついているもの)。ただしインタビューを見ている限りみんな宗教的な理由からというより、健康にいいからやっているそうです。

さて、私も実際にこのクレシェーニエを実施しているところで見学したくなりました。調べてみると、モスクワ地方では58箇所もあると出てきます。家の近くでやっていないかと一つずつ地図アプリで位置を調べていると、家から徒歩30分のところが出て来ました。通常18日から19日にかけての夜に実施されるので、開始する18:00に着くよう家を出ました。

この前まで暖かかったのに、残念ながら細かい雪が強い風に吹かれている天気の中、ひたすら歩きます。地図アプリが示している近くまで来ました。 モスクワの良いマンションの周りでよく見られるような柵がずっと続いています。この中らしいんだけどなあ…入れるかなあ…と思っていたら警備室まで来てしまいました。警備員さんに「クレシェーニエがこの中でやっていると聞いたんですけど入れますか?」と聞くと「ここではやってませんよ。やっているとしたら向こうの方に森があるので、その中の池かなあ」「向こうですか?」「向こうです」というやりとりになりました。向こうって具体的にどのあたりなのだろう。

とりあえず道を渡ったところで、車に積もった雪を下ろしているおじさんがいたので、もう一回聞いてみることに。

「こんにちは、この近くでクレシェーニエをやっていると聞いたんですけどご存知ですか?」「いやあ、僕は知らないな。大抵池でやるんだけど、この周りで池といえば向かいの(さっき聞いた警備員がいる)マンションの中庭にあるけど、あそこは部外者以外は入れないし。何かの情報を見て来たんだよね?住所は?」「〇〇と書いてありました」「じゃあとりあえず検索エンジンを立ち上げて『〇〇はどこ?』と言ってみるとおしえてくれるよ!あとはそこへトコトコ歩けばいいだけ」

普通であれば「知らない」で終わりそうなのに、とても親身になってくれました。お礼を言ってもう一度調べてみるとそこからバスで30分と出て来たので、寒かったこともあり今回は諦めて帰ることに。帰りに正教会の横を通ると賛美歌が聞こえてきました。 小規模の吹雪の中歩き疲れたところに綺麗な歌が聞こえてきたので、思わず「もう疲れたよパトラッシュ…」と呟くと横にいた旦那に「彼らより歩いてないけどな」とだけ返されます。

来年はどこかに行けたらいいな。

Пока!

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