馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

映画「マチルダ」

Привет!

ロシアで話題になっている映画へ行ってきました。 その名も「マチルダ」…ロシア最後の皇帝、ニコライ2世の愛人だったと言われている人です。

ニコライ2世といえば厳格なロシア正教徒で、ロシア二月革命の際に処刑されたのでロシア正教会から「聖人」に認定されています。しかも家族思いの良き夫、良き父親であった、と言われている人です。そんな彼の醜聞ともいえる「愛人」の名前を題名にした映画…実は公開前からロシア正教側から公開中止を求めるデモや、感化された一般人によるプレミアが行われる映画館の爆破予告(新アルバート通りにある「オクチャーブリ」という名前の映画館です)、などかなりセンセーショナルな話題を呼んだ映画でした。それでも10月26日の公開付近はテレビなどでもかなり予告編を流しており、そのあまりの美しさに見惚れていました。

実はまだ続いていた週末の「ロシア革命について知ろう」企画番外編としてなんとか都合がついたのが先週末。家庭教師の先生に「見に行くねん」という話をすると「もう公開からかなり日が経ってるから、どこでやってるか調べたから行った方がいいわよ」という言葉を受けて、調べてみるとやはりいつもの一番近い映画館ではやっていませんでした。今回ははじめての映画館へ行きます。実際行ってみるとシアター内はほとんど満席でした。じゃあもっと公開場所増やしてくれ。ちなみにいつもより少しお高めの450p(900円)。 客層も若いカップルから、老夫婦、R16なはずだけれど10歳くらいの子(もしかしたら童顔の16歳かもしれません)とかなり広かったです。

映画自体は、もう息を飲むほどの美しさでした。皇帝の話なので舞台はほとんどサンクトペテルブルクでしたが、エルミタージュやツァールスコエセローのエカテリーナ宮殿、ペテルゴフなど「ああ、ここ行ったことある」というところばかりでそれだけで嬉しくなったので、行ってからみるか、見てからロケ地巡りするのも楽しそうだと思いました。また主人公マチルダはバレリーナなのですが、サンクトペテルブルクのマリンスキー劇場 でも特別に撮影したそうで、映画が始まる前に劇場のロゴがしっかり出てきました。そして戴冠式のシーンはモスクワのクレムリンの中にあるウスペンスキー聖堂。「華やかな帝政ロシア」の風景だけでも見る価値はあります。

お話は、ニコライ二世の皇太子時代がメイン(そういう意味では革命は関係ありません)。結婚相手として(日記に残っています)心に決めたはずの、ドイツから呼んだアレックスとバレリーナのマチルダの間で揺れ動くニコライ二世が描かれているのですが、あまりにもマチルダにぞっこんなのに「まだどうするか決められない」とか言っているので私は心の中で「早く腹を括ってくれ」とニコライ2世に思ってしまいました。でも話の流れは飽きさせず、色々な陰謀やバレリーナ同士の争いなどもあり、かなり引き込まれます。エンドロールに入った瞬間に電気がついた時には「え、もう終わったの?」と感じました。

個人的に面白かったのは、ニコライ二世の婚約者のアレックスの話し方。まだロシア語が下手でゆっくり、たどたどしく話すのですが、文法は完璧で尊敬しました。また、彼女がドイツ語で話すシーンは、字幕をつけるのかと思いきや上からロシア語吹き替えをかぶせていたのです。テレビで放送しているアメリカ映画ではよく見る手法ですが、ロシア映画でもやるんか、と驚きました。しかも声優さんは一人しか用意しないらしく、アレックスがドイツ語を話していようが、男性であろうが、お構いなしに吹き替えの声は女性でした。

結論としては見に行って良かったです。日本でもDVDでいいので見られるようになればいいなあ。映画が終わって外に出ると、雪がしんしんと降って積もっていました。

Пока!

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