馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

ギョレメ野外博物館

Привет!

私たちが通ってきた、アンカラとカッパドキアの間にはアナトリア高原があります。今は高い山は見えませんでしたが、かつてはそこに火山があったそうです。そこの火山の度重なる噴火によって火山灰が積もってできたのがカッパドキア。以前も書きましたが、火山灰が固まってできた地質はとても柔らかく、掘りやすいものでした。4世紀ごろから初期のキリスト教徒がそこに目をつけ、地下に都市を作って住み始めます。
9世紀ごろから少しずつイスラム教徒が入ってきて、キリスト教徒を弾圧し始めました。そこでキリスト教徒たちは岩の中に洞窟を作って教会を作ったのです。その中心地がここ、ギョレメでした。一時期は300以上もの教会があったそうですが、今は30ほどが野外博物館としてまとまって公開されています。1985年には世界遺産にも登録されました。 エントランスと奥にそびえる岩窟教会。

教会の中にはフレスコ画が描かれていますが、保存のために撮影は禁止されています。 リンゴや蛇など色々なテーマを持った教会があったのですが、どれも入り口はとても狭くなっていて、人とすれ違えないほどでした。中に入ると少し広くなっていますが、4、5人が入るので精一杯です。上を見上げるとロシア正教会で見たように、天井一面にフラスコ画が描かれていました。どの辺りが「リンゴ」だったり「蛇」だったりするのかはよくわかりませんでしたが、教会によって保存状態はかなり差がありました。エントランスから奥に行けば行くほど色彩が残っていた印象です。綺麗に残っているものでもキリストや聖人の顔の部分だけ剥がされているものも多く、イスラム教徒に見つかったのかな…など考えてしまいました。

このようにすれ違えない階段を登って見に行く教会もいくつかあるので、動きやすい靴がオススメです。前日からは考えられないくらい観光客が集まっている場所でした。

エントランスから入って少し歩いたところで、やたらと白い岩窟教会がありました。いくら火山灰の岩が白いとはいえ、周りと比べても少し浮いています。 写真の右手のものです。入り口はブルーシートで塞がれていました。近づいてみると…

なんだか、岩を掘っているというよりレンガのようなものを積み上げている気がします…見なかったことにしよう。うまく風化するといいですね。

別料金で入る「暗闇の教会」もあります。時間がなかったのと、友達が「中が暗闇やから…」と言っていたのでなんとなく雰囲気が分かって入りませんでしたが、入り口はインディ・ジョーンズに出てきそうでした。 もちろん教会以外もあります。前日に地下都市で説明を受けていたお陰で、なんとなく何に使われた部屋か推測ができました。

炎天下で思ったよりアップダウンが激しく、少し疲れてきました。ちょっと休憩したいね、と話しているとカフェの看板を発見!いいところにあります。しかもその看板には「カッパドキアの砂で作ったトルココーヒーあり」と書かれていました。トルココーヒーを飲んでみたかった旦那は大喜びで入って行きました。私は少しコーヒーが苦手なので、違うところが引っかかりました。「砂で作ったコーヒー?」

トルコティ(チャイ)もそうなのですが、こちらの飲み物はかなり濃く煮出しますね。トルココーヒーはエスプレッソのような小さなカップに粉状のコーヒー豆が残ったまま注がれるので、上澄みだけを飲みます。観光地でしかもカッパドキアの砂を使っているということで法外な値段ではないかと一瞬身構えましたが、14リラ(280円程でした)。お店のお兄さんにお願いして作るところを見せてもらった時、どこに砂が使われているかが判明します。 コーヒーを煮るのが熱した砂の中だったのです。良かった、コーヒー豆に混じって砂もカップの底に沈んでいるのかと思った…。それをみて安心した私は追加で自分のために注文しました。するとお兄さんは「やってみる?」と聞いてくれます。こうしてコーヒーを砂の中で回すという経験を得ました。3、4分もしないうちに手鍋(ジェズヴェ)の中のコーヒーが煮立ってくるのですね。

コーヒー自体はかなり濃いので、トルコ名物のお菓子、ターキッシュディライトを添えて。ターキッシュディライトは果物で作った立方体のグミです。ここで食べたものがとても美味しかったのでお土産としてイスタンブールで3箱も買ってしまいました。

カフェそのものが洞窟の中にあり、地面に絨毯をひき、その上に足の短い机とクッションで作られた座席はとても雰囲気がありました。中からカフェ内を撮ろうとした図。

お兄さんにオススメのレストランもおしえてもらえたので、野外博物館を出ます。迫害されても、岩の中に教会を作って信仰を貫いた人々の精神の強さを思わずにはいられない場所でした。

Пока!