馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

BIマラソン

Привет!

昨日でラマダンが終わりました。ラマダンとはイスラム教の断食期間のことで、一か月ほど続いていました。敬虔なムスリムは日が出ているうちは食べることはもちろん、水を飲むこともいけないそうで、この期間に飲み会やパーティーに呼ばれても午後8時30分まで目の前に並んだ料理を眺めていました。実際には今、ヌルスルタンでは日が沈むのは午後9時30分なのですが、一律で8時30分までと決めているようです。またムスリムでも若い人の中にはラマダンを行わない人も多くいると聞きました。また、ラマダンが開ける直前の金曜日はかなり大切な日らしく、家の近くのモスクの前を夜に通ると、いつもは人っ子一人いないモスクの周りが大渋滞していました。夜でよく見えなかったのですが、モスクに入りきらなかった人が入り口の前にたくさんいたので、そこだけ夜の闇が一段と濃くなっています。私は何より「この街にこんなに人がいたのか」ということに驚いていました。みんな普段どこに隠れているの…。

最近気候がいいので青空を見えると外に飛び出してぶらぶらと歩いてしまいます。20度前半の熱くも寒くもない気候と、冬の間はなかなか浴びることができない日光(太陽が出ている、すなわち気温が氷点下20度以下)のおかげでかなり快適な散歩ができるのです。ちょうど昨日のロシア語の授業で、日光浴のことをロシア語でも「太陽のお風呂」ということを知りました。このような違う言語でも表現上の共通点を見つけると「やはり感じ方は国を超えても同じなんだなあ」とすこし嬉しい気持ちになります。さて、そんな気持ちのいい初夏の中でも特に寒かった日の早朝、ヌルスルタンでマラソン大会が行われました。 距離は2㎞と5㎞が子供専用、大人用は10㎞と21㎞(ハーフマラソン)、そして42.195km(フルマラソン)の三種類。もちろん私は、…走っていません。そもそも持久力がないので長距離はあまり好きではない上に、身体作りもしてこなかったので棄権する未来しか見えなかったためです。しかし、21㎞走る友人に「あ、申込時の緊急連絡先にしておいたから」と突然通達されたので、きちんと見守ろうと思い、スタートとゴール時に応援に駆け付けました。前日に受付を済ませた参加者たちが集まってきます。このスタートが、午前7時だったのでなんと集合は6時30分でした。朝早い。旦那は初めこそのんきに「走ろうかな」と言っていたのですが、この集合時間に恐れをなして申し込みもしませんでした。私が家を出るときにも「まだ寝ていたい」と一言つぶやくと、また夢の世界に帰っていきました。ちなみに主催者はマラソンの名前にもなっているBIグループです。1995年にできた建築会社のようですが、事業がかなり上手く行っているようで街中で見かける工事現場の仕切りにはこのグループのロゴがよく見られます。最近立ったこのビルもBI TOKYOと書いてあるのでこのグループのものでしょう。なんで東京なのかはオープンするまで謎ですが。

私は6時45分ごろにつくように会場へ向かっていたのですが、ゼッケンをつけた人たちが走って私を追い抜いていきました。マラソンがもう始まっているのかと思いましたが、どうやら開始時間に遅刻しそうだから走っていたようです。いまからみんな走るのに。思っていたよりも参加者が多く、荷物を預ける場所が完全に機能していませんでした。その中で何とか友人とおちあい、やはり荷物を預けられなかった知人の荷物は私が預かることに。朝は早かったのですが会場ではステージが組まれ、DJが重低音のビートを刻んでいました。スタート地点に並んだ人々のテンションは最高潮で、飛んでくるドローンに手を振ってアピールしたりしています。プログラムでは7時に10㎞の人が、7時5分にフルマラソンの人が、そして7時10分にハーフマラソンの人がスタートを切ることになっていましたが、7時15分になっても誰も出発していません。ざわざわし始める人々。司会者は注意事項やスタート地点の案内をマイクで叫んでいました。ようやく7時25分になって「はい、もう全員スタート!」と司会者が宣言したので、スタート地点から続いている参加者の列はのろのろと進み始めました。どう考えても参加者とスタート/ゴールの門の大きさ(上の写真にあるものです)が釣り合っていないのです。タイムを計りたい人はほかの人が全員スタート地点を通り過ぎてから、自分の腕時計を合わせて、自分のタイミングでスタートしていました。

よくニュースなどでマラソン大会にコスプレで参加する人が撮られたりしていますが、ヌルスルタンマラソンではそんな人はほとんどいませんでした。そんな中、目を引いたのはこちらのウエディングドレスの人たち。 どうやら『Я здесь(私はここにいる)』というカザフ映画の宣伝のようです。後ろの「頭に布袋をかぶせられた男女の絵」と「ウエディングドレス」と「題名」から、私は勝手に抑圧された女性の物語なのかと思っていましたが、そのあとに見に行った映画の予告編でホラー映画だったことを知りました。予告編はかなり怖そうでした。このままウエディングドレスで走るのはかなり辛そうだとおもってみていると、1㎞ほど走ったところでコースわきに止めてあったワゴン車に乗り込んでいます。

友人たちは10㎞とハーフマラソンに出場していたので、とりあえず1時間近くは帰ってこないだろうと思い、とりあえず家に帰って朝食をとることにしました。ここで気が付いたのですが、観客の通り道とコースが同じ道なのです。この弊害は、ハーフマラソンの人が走り終えたときに顕著になります。フルマラソンの人たちはハーフマラソンのコースを2周する形なので、ハーフマラソンの人たちが走り終えて帰路につく道と、フルマラソンの人が走るコースが同じだったのです。そのせいでフルマラソンの人たちはとても走りにくそうでした。 無事に完走した友人たちと合流しようと思いましたが、ゴール脇の人が多くなかなか出会えません。携帯電話で連絡を取ろうとしても、ことごとく私が預かった荷物の中から着信音が聞こえるので絶望しそうになります。ちょうどその時、見知った集団を目の端に捕らえられたのでなんとか出会うことができました。なぜかゴールしてすぐにバナナをもらうらしく、みんな手にバナナを持っていて笑ってしまいます(友人曰く、ほかの人から断られ続けて気の毒に思ってしまったとのこと)。

つぎは9月にマラソンがあるそうなので、今度こそトレーニングをして10㎞に挑戦してみたいと思います。乞うご期待!