馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

チャリンキャニオン散策

Привет!

最近はずっと晴れの日が続いています!25度以上になるとわかっているのに、なかなか家を出る時に七分袖より短い服を着られません。だってまた突然寒くなったりするんでしょう…という疑念から逃れられないのです。さて、夏本番はどうなることでしょう。

前回の記事の続きです。 チャリン・キャニオンの谷底でガイドのビクトルと合流した私たちは、少しずつ歩きながら風景を眺めていました。 地層が斜めに出ている部分は「数千年前に上から落ちてきたんだろうね」とのこと。え、あんなに大きいのが落ちてくるんですか…と怖がっていると、ビクトルは「まあここ数百年は落ちてきたっていう話は聞かないから大丈夫だよ」と笑っていました。そして「あ、あれなんか明日落ちてきてもおかしくないよね」と少し背筋が凍るようなことを言います。 確かに土台が小さくて安定していなさそうですね。

いろんな動物が岩の間や奥の方で暮らしているけれど、ここは人が多いのであまり出てこない、という話もしてくれました。小型の狐やネズミなどが住んでいるそうです。

進めば進むほど視界に木が増えてきました。 この背の高い植物は砂漠化を止めてくれるらしく、人工的に植えているとのことでした。

途中でヌルスルタン在住の知り合いとすれ違いました。この日に行くとは聞いていましたが、本当に会えるとは!彼らからこの先の川沿いにあるカフェのプロフが美味しいという情報を仕入れます。緩やかな下り坂になっているので、そんなに疲れません。しばらく歩みを進めると、川の音が聞こえてきました。やっとゴールです! ここにあるユルタには泊まることができるそうです。川の近くには青々とした木も生えていて「こういうところをオアシスと言うのか」と実感しました。

ビクトルは「お手洗い休憩にしよう。カフェに行きたい?じゃあ僕はここで待っているから、好きなだけ居ていいよ」と言うと川のほとりのベンチに座ってしまいました。でも時間は1時。ここからお昼ご飯を食べると言われた場所までどう考えても3時間はかかると思ったので、とりあえず腹ごしらえをします。 カフェです。レジのところにあるメニューを見ていると、その種類の多さに驚いてしまいました。時間はかかるでしょうがシャシリク(バーベキュー)などもありました。

プロフはもうできていたようですぐ運ばれてきました。お腹が空いていたこともあり、噂通りの絶品です。お皿に山盛りだったので、友人と旦那と仲良く分け合いました。お支払いの時に「もしよかったらプロフの鍋を見てもいいですか?」と聞いてみるとなんと快諾。 こんな風に伝統的に作っているところはあまり見られないので嬉しかったです。

ビクトルをあまり待たせるのも悪いので、早めに戻ります。彼はお腹が空かないのでしょうか。「じゃあ今からさっきの合流したところまで戻るよ」…今からは緩やかな上り坂です。
行きと比べると口数と撮った写真の枚数が激減しましたが、なんとかたどり着きました。 ビクトルは「ここから上に登るよ」と言っています。子供の頃から登山はしていたので、これくらいの高さを登ることは平気なように思えたのですが、これまで暮らしたモスクワにもヌルスルタンにも山が全くありません。特にヌルスルタンはかなり平坦な街なので、坂道を登る筋肉が衰えていることに登り始めてから気がつきました。神戸から来た友達はぐんぐん登っていきます。見る見るうちに彼女との距離が開き、上でみんなに待ってもらう形になりました。恥ずかしい。なんとか上に着くと、ビクトルには「休憩を挟んでしまうと辛くなるから、歩き続けたほうがいいよ」と言われました。いや、あの、休憩は挟んでいなかったんですよ…。

でもこの上から見る景色は絶品で、登った甲斐がありました。 先ほどまで歩いていた道です。こう思うと結構登ったなあ。

上から見ると、その長さがより分かります。実は川の向こうにもまだキャニオンは続いていたのですが、そこに行くのはかなり大変だそうです。 私よりも健脚なおばあちゃんと3、4回すれ違いながら、写真を撮ったり広大な景色を目に焼き付けたりしました。

さあ、そろそろこの場所を離れます。よく言われる表現ですが、自分はこの地球上でなんて小さな存在なのだろう、と心から思いました。悩みがある人は是非。

さて、行きは雨雲が立ち込めていた草原ですが、帰りは晴れていました。一度だけ車を止めてもらって、遊牧民の見た景色を堪能します。 何もない。ここを馬や羊を追いながら暮らす生活の、なんと豊かなことでしょう。私自身はやれと言われてもできる気がしませんが、だからこそ憧れてしまいます。一度、山肌を山羊の群れが走っていくのを見ました。

時速100kmで走る車窓から外を眺めていると、道路脇に等間隔で置かれている緑のものに気がつきました。…ネギ? 疾走するネギ(疾走しているのは私たちです)。行きに見かけた時はネギが置かれているだけでしたが、帰りはそれぞれのネギの横に人が座って、通る車にネギを振ってアピールしたりしています。「あれはなに?」とビクトルに尋ねると「この近くの村の人たちがネギを売っているんだよ。その村は基本的には牛や山羊や羊の放牧で食べているんだけど、ソ連が崩壊してから村にスーパーができてね。そこで食材を買うために現金が必要だから、この近くで取れる唯一の野菜を売って、現金を作っているんだ」とのこと。まだまだ私の知らない生活スタイルがあるなあ。

結局この日お昼ご飯にありつけたのは午後4時でした。小さな町の、地元の人しか行かないような食堂でその日2度目のプロフと塩辛いサラダ、マンティを食べました。好奇心からビクトルに「最近チャリンキャニオンに行ったのは?」と聞くと「一昨日。今週3回目だよ」と真顔で言われました。ガイドさんというお仕事もなかなか大変です。

Пока!