馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

ヌルスルタンのピラミッド

Привет!

二週間も空いてしまいました。日本は近頃とても気温が高いと聞いたのですが、皆様大丈夫でしょうか。30度越えはつらいなあと思いながらニュースを見ていたら、私の携帯電話にカザフスタン当局からお知らせが届きました。 前半はカザフ語、後半はロシア語をアルファベットで書いていますね。それでも「ヌルスルタン」という文字と数字が見えたら内容は何となくわかります。ちょっと前までこのお知らせも「アスタナ」という名前で来ていたなあと懐かしい気持ちになりながら少し目を滑らせると、飛び込んできたのは「-2」という数字。え、ちょっと待って、明日-2度になるの?5月ももう終わろうというのに?結果的には2度までしか下がりませんでしたが、前日が20度台だったことを考えると十分身体に影響がありそうな寒さです。ちなみにその前の数字は日付です。旧ソ連圏では「日付・月・年」の順番で表示されるので、日本で買ってきた食品の賞味期限が「20.08.13」と書かれていた時は一瞬ぎょっとしてしまいました。2013年8月20日に見えたのです。

閑話休題。前回書いたレッカー車にお世話になった日も、季節外れの寒い日でした。前日は26度もあったのにこの日は修理工場に車を預けて市内に帰ってくると雪が降りだしたのです。私もまさか4月末から五月にかけて雪が降るとは思いもせず、日本から遊びに来てくれた友人には「平均15度くらいかな」などと伝えていたので、明らかに友人の装備は不十分でした。それでも屋内に入れば大丈夫だろうと、次の目的地であった国立博物館へと急ぎます。はじめは「雪だー!」とテンションが上がっていた私たちも、どんどんひどくなっていく雪と風に閉口してしまいました。 mickymm.hatenablog.com この時の博物館です。タクシーが乗り入れられるところから入り口までも少し距離があったので、小走りでドアに駆け寄ります。するとそこには
「CLEAN UP DAY」
と分かりやすく英語で書いてありました。え!?定休日でもないのに!あきらめきれずドアを押したり引いたりしてみましたがびくともしません。どんどん白くなる視界。博物館の地下でお昼を食べようと思っていたので、かなり空腹でもありました。凍える友人を連れてどこへ向かえばいいか分からず、とりあえず目の前に見えているピラミッドへ向かうことに。観光目的ではなく、ミュージカルを見に中に入ったことがあるので、カフェがあることは知っていました。その時の記事はこちら。 mickymm.hatenablog.com

この辺りは無駄に敷地を広くとっているので近くに見えていても歩くと10分くらいかかります。友人と励まし合いながらなんとかピラミッドにたどり着けました。チケット売り場で大人一人1000テンゲのチケット代を払うと、ガイド料も含まれているようで係員の人に「何語のガイドをご希望ですか?」と聞かれました。「英語でお願いします」「分かりました。ではここで5分ほど待ってもらえますか」「あ、あの、先にご飯を食べたいのですが…」「それなら下の食堂へどうぞ」とスムーズに案内してもらえました。私が思っていたカフェはご飯というよりちょっとしたお菓子と飲み物だけだったのです。食堂はいかにも社員食堂という感じで、作りっぱなしにされている料理が並べられていました。 お支払いを済ませると「そこのレンジで自由に温めてね!」と言われたので料理を入れていたのですが、しばらくすると食堂の人が自分の料理を持ってきて私たちのレンジを強制終了し、自分の料理をレンジに入れていました。え…。生半可に温まったお料理でしたが、ジャガイモとお肉の料理は美味しかったです。ジャガイモはしばらく要らないなと思いました。

食事を済ませて先ほどの係員さんに戻ってきたことを伝えると「おかえりなさい!あと4分待ってくださいね」と言われました。あの食堂での時間は実際には1分ほどだったのかな、などと冗談を言っていると、綺麗なカザフ人のお姉さんが近づいてきて「ベラルーシから来られたグループと一緒に回りますね。私は英語で話して彼らの中にいる通訳がベラルーシ語に訳しますので、あなたたちは英語の部分を聞き取ってくださいね」とロシア語で言ってきました。いや、英語希望って言ってるやん。 さて、ツアーはこのピラミッドの断面模型から始まります。それを使ってこれからどこを通るかを大まかに説明してくれました。前回ミュージカルを見たホールは地下にあったんですね。そこからは建設当時の写真を見ながら敷地面積や工事に従事した人の人数など、具体的な数字を入れて説明がありました。その説明自体も興味深かったのですが、ベラルーシの通訳の人が数字は苦手らしく、言葉に詰まっているところをツアー客の大半を占める英語が分かるベラルーシの人たちが助けていたりして、傍から見ていると面白かったです。おそらく彼はロシア語とベラルーシ語の通訳なのでしょう。

コンサートホールの天井にあるモチーフは太陽だという説明を受けながら観客席で休憩した後、エレベーターで上にのぼります。私は先ほどからピラミッドという通称でこの建物を呼んでいますが、実際には「平和と調和の宮殿」という名前があるのです。その名の通り、この場所は国際会議などが行われるコンベンションホールとしての役割が第一にあります。 エレベーターが着いた2階は、そんなこの建物本来の役割を思い出させてくれるような、世界各国の民族衣装の展示やかつての会議でほかの国から贈られたプレゼントが展示してありました。一番インパクトが強かったのはインドのガネーシャの置物です。2m近くの高さがありました。また上の写真で、真ん中のほうが盛り上がっているのが分かりますか?ここはまさに先ほどのコンサートホールの真上で、この真ん中に立って願い事をするといいよ、と言われました(叶うとは言われていません)。

次にエレベーターが向かった先は8階でした。 エレベーターを降りた瞬間に、これまでとは全く違った景色に驚きます。少しわかりにくいですが、壁が緑でおおわれているのです。聞いてみるとほとんどは作り物ですが、中には本物の植物もあるということでした。ここを壁沿いに階段で上がっていくと、最上階の会議場にたどり着きます。 一番乗りしてしまったので人がいない一瞬を撮ることができましたが、この後はツアーの参加者が思い思いの席に座って写真撮影大会になりました。真ん中の部分は先ほどの2階まで吹き抜けになっているのですこし怖いです(途中にセーフティネットはありますが…)。また天井には美しいハトの絵が描かれていますが、これは特殊なガラスなので外側からは見えないようになっています。外側から見るとテーブルと椅子が見えるのが不思議です。ひときわしっかりとした椅子があり、その前にはマイクとカザフ国旗が置かれていますが、ここがかのナザルバエフ前大統領が座った椅子だそうです。みんなそこでポーズを決めていました。

ここから下にエレベーターで降りてツアーは終了。外に出るとうっすらと雪が積もっていてまたはしゃいでしまいました。しっかり案内してもらえるので、ここは観光にお勧めです!

Пока!