馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

ヌルスルタン

Привет!

お久しぶりです。実は前回のブログ更新後すぐに旦那のタイ出張についていき、アスタナに戻ってきたのも束の間、すぐに1ヶ月ほど休暇で日本に帰っていました。 タイでは象に乗りました。

日本では事務手続きを終わらせたり友達に会ったり、久しぶりの日本(私はそれほどですが、旦那は実に2年半ぶりでした)を満喫して、さあいよいよ明日はカザフスタンに戻るぞ、という晩のこと。

ナザルバエフ大統領が辞任した」というニュースが飛び込んできました。

ナザルバエフ大統領といえば、ソ連が崩壊する以前からカザフ・ソビエト社会主義共和国の初代大統領でしたし、ソ連が崩壊するときにカザフスタン共和国として独立したことの立役者でもあります。独立した1991年12月から今までずっとこの国のトップに君臨してきました。博物館にも彼の銅像がありますし、アスタナの空港や大学の名前も彼の名前を冠しています。実は来年(2020年)4月までは任期があったので、今回の辞任はかなり衝撃的だったのです。通常三選禁止である大統領も、初代大統領であるナザルバエフ氏に限り無効という法律まで作られています(だからこそ通常10年しか大統領は続投できませんが、彼はソ連時代も含めると29年もこの国の指導者たりえました)。

国のトップが変わるということがここまで国民の生活に支障をきたすのか、と実感したのは早速その翌日でした。そろそろカザフスタンへ向けて日本を出る、というときになって「首都の名前を『ヌルスルタン』にする」というニュースが入ってきました。ヌルスルタンとは、ナザルバエフ元大統領のファーストネームです。彼の功績を称えて首都の名前を変えるというのです。今から帰る街の名前が出発した時と変わってしまうかもしれないという例えようのない不安を抱きながら、飛行機に乗り込みました。

経由地である韓国の空港に着くと、すぐにWi-Fiを繋げてニュースを確認します。「カザフスタン議会、首都改名案を全会一致で可決」…こういう時はめちゃくちゃ速いな。

アスタナの空港に着陸した際、機内のアナウンスでは「アスタナにようこそ」と言っていたのですが、違う路線では「ヌルスルタン」と言っていたそうです。空港で話した人は「昔からこの街に住んでいるけれど、これで改名は3度目なんだ。ツェリノグラード、アクモラ、アスタナ、そして今はヌルスルタン」と言っていました。

家には食料が何もなかったのですぐにいつも行っているバザールへ行きました。顔なじみの八百屋のおばちゃんに「帰ってきたよー」という報告をして「ところで帰ってきたら街の名前が変わってるんだけど」というと「新しい街へおかえり!」といつも通り満面の笑顔で応えてくれたので少し安心します。「アスタナって名前は音が綺麗だったね」という意見には私もおもわずうなずいてしまいました。

ナザルバエフ元大統領の代行であるトカエフ大統領は先日23日に改名の憲法改正案に署名しました。これで現在私が住む町の名前はヌルスルタンになりました。

帰ってきた日に慌ててバザールで「アスタナ」と書かれたお土産のマグネットを買ってきました。 これもいつかなくなっちゃうのかな。

自分が住んでいる街の名前が変わるのは初めてなので、これからどうなるのか静観したいと思います。そして帰ってきた次の日から我が家では別のトラブルが…。この話はまた次回。