馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

ラーメンラボ

Привет!

ついに大晦日ですね。カザフスタンでは年越しを基本は家の中で過ごすそうなので、ご近所のお友達のお家へお邪魔しようと思っています。気が付けば日本で新年を迎えなくなって三年目になりました。来年こそは日本でこたつに入って紅白歌合戦を見たいです。

そんな日本が恋しくなってきた私たちに朗報が訪れました。モスクワやロンドンではいくつかあったラーメン屋さんがアスタナにはないのですが、アルマトイにはあるというのです。モスクワにまだラーメン屋さんが充実していなかったころ、サンクトペテルブルクのラーメン屋さんに行くためにメニューを覚えてしまうほど楽しみにしていた旦那です。アルマトイまで来てそのお店に行かないなんて考えられません。 店名はラーメンラボ。何となくモスクワにあったあまりおいしくないラーメン屋さんが想起されます。 mickymm.hatenablog.com ここですね。ラーメンラボのほうは看板のどことなく怪しげなカタカナが少し不安をあおります。

ラーメンラボへ行く前の日の晩、楽しみにしすぎた旦那はよせばいいのにインターネットで口コミを調べました。評価はあまり高くなく、ロシア語で書かれたものしか読めませんが、その多くが「脂っこい」や「味が濃い」「美味しかったのはお茶だけ」などというものでした。どんどん不安になってきます。

とりあえずドアを開けてみると、お客さんはだれもいませんでした。店の奥で映画『火垂るの墓』が上映されています。作品のチョイス、あえてそれなのか…。ほかの人が行ったときにも火垂るの墓が流れていたそうなので、店長が好きなのかもしれません。 店内はこんな感じ。窓にかけられた垂れ幕(?)の文字がいちいち気になります。「世の中を気にする」の後に続くのは「技」ですし、右から二つ目は「おなかへったな」です。この文字の下に描かれた侍(?)がいい味を出していました。何より物議をかもしたのは左側の文字。「呑」の間違いじゃないか、あるいは「杏」では?という意見がでましたが、結論は「おそらく『和』だろう」ということになりました。日本語の文字を知らない人が漢字をみると、どこまでが一文字か分からないそうなのです。 店内を別の角度からみた図。カウンターの上の「熱を感じ燃えさせ感覚を爆発させる」という文字に熱いメッセージが込められているように感じます。何より文法は間違えていないのですが、主語がないのでよくわからない文になっているのですね。

差し出されたメニューを眺めていると、突然目の前に小皿に乗った錠剤のようなものが置かれました。これは…と戸惑う私たちを横目に店員さんがその錠剤めがけてお湯を注ぎます。するとその錠剤がうねうねと膨張し、お手拭きになりました。 これが世の中を気にする技…?

よくわからないのでメニューに戻ります。豚肉を日常的に食べないこの国では、ラーメンを頼むときにまず肉の種類を選びます。牛か鶏。そしてスープを塩と醤油の二種類から選んで注文。ほかにも担々麺がありました。旦那は担々麺、私は辛いものが苦手なので鶏の醤油ラーメンを注文。サイドメニューも充実しており、餃子(エビか野菜か選びます)と唐揚げも一緒に注文しました。 一番初めに運ばれてきたのはラーメン。なぜかチップスのようなものも一緒にテーブルに置かれます。このチップスはお店からのサービスだったようですが、これが本当に美味しかったです。文字通り「やめられない、止まらない」でした。このままだとラーメンが伸びてしまう…と思い、決死の覚悟でチップスを運ぶ手を止めます。

鶏チャーシューは思ったよりもしっかりと作られていて、レシピを聞きたくなるほどでした。麺は少し太めでしたが、細い麺にこれまで出会ったことがないので及第点でしょう。担々麺もおいしかったようです。旦那も私も顔を見合わせて「全然脂っこくないやん」と思わず言い合うほどでした。やはりインターネットの情報は信用できない、と改めて思います(ということをインターネットに書いていますが)。あるいはカザフ人にラーメンは合わなかったか。 そしてやってきた唐揚げ。…うーん、これは唐揚げというよりフリッターのようでしたが、それでもカラッと仕上がっていて食べやすかったです。このあたりで二人ともお腹がいっぱいになってきたので餃子を頼んだことを後悔し始めましたが、やってきた餃子は羽付きでびっくりしてしまいました。驚いてもお腹は減らないので二人で頑張って食べきり、評判のお茶(これも問題なく美味しかったです)を飲んでいるところにお会計を持ってきた店員さんを捕まえて尋ねました。「美味しかったのだけれど、日本人シェフがいるのか」と。すると彼は「いえ、店長が日本に行ったときにラーメンと出会い、こちらでお店を開くべく修行をして持って帰ってきた技術です。来年には新メニューも出る予定なのでまた来てくださいね」と教えてくれました。やっぱりラーメンは美味しいですよね。

思っていたより美味しかったね、と店を出て2、3時間すると、旦那が突然「さっきのラーメンが胃もたれしてて…食べているときには気が付かなかったけどやっぱり結構脂濃かったかも…」と言い出しました。さっき店員さんに日本人からのお墨付きや!って豪語してたやん。それでも美味しかったことに変わりはないので、またアルマトイに行ったときはお店に行くと思います。

アルマトイの旅行記はあと二回の予定です。今年もしばらくお休みしていたにもかかわらず多くの方に来ていただきました。環境が大きく変わった一年でしたが、これからはカザフスタンがちょっと身近に感じられるようなお話を書いていきたいと思います。そして来年はカザフスタンの近隣諸国にも遊びに行きたいです。どうぞ来年もよろしくお願いします。

Пока!