馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

国立博物館へ

Привет!

こちらに来て一か月、そろそろ生活リズムもできてきたので、日中の時間があるときに観光に出かけることにしました。以前お友達と前を通った時に「これはこう見えて博物館なんだよ」と教えてもらった建物がとても気になっていたので、観光第一弾はここに決定です。 おそらく夏は勢いよく水が出るのであろう噴水には、騎馬兵の銅像が並んでいました。壁の白い部分に掘られたカザフ文様も美しいです。ちなみにこの外壁は夜になるとライトアップされます。一定時間が経つと青や赤や黄色に色が変わるので、みていて飽きません。寒いので長時間は眺められませんが。

通常チケットは大人が700テンゲ(230円ほど)で、黄金の間や特別展に入るのには別料金がかかります。ちなみに2018年版の地球の歩き方には1500テンゲとなっていたので、つい最近値下がりしたようです。値上がりしているケースはよく遭遇しますが、実際がほとんど半額になっていることははじめてでした。200円ちょっとでカザフスタンの国立博物館が見学できるのはうれしい反面、経営状況が少し心配になります。チケットを買って入場するとすぐにカザフスタンの国旗そのままの太陽とタカが出迎えてくれました。 タカに誘われるままカザフスタンについて学びたくなりますが、昼食時だったのでまずは腹ごしらえのために地下にある食堂へ。手書きのロシア語のメニューを解読し、あまり期待しないで鶏肉のハンバーグ(ロシア語ではカツレツ:котлетと言います)を注文しましたが、このハンバーグが絶品でした。ちなみにハンバーグにライスをつけて紅茶とともに750テンゲ(250円)という破格の値段だったので、もし博物館でお腹がすいたらこちらをお勧めします。ラグマンやサムサなど中央アジア料理も楽しめるようです。そしてこの食堂の前には、なんの説明もなくおもむろにユルタと呼ばれる遊牧民族のテントが置かれていました。展示物なのかな…? さあ、気を取り直して見学開始です!ロシアの美術館や博物館も順路が分かりにくかったのですが、カザフの博物館も同じでした。おそらくここは順路はなく、「アスタナの間」「古代と中世の間」「民族の間」「歴史の間」「独立の間」「近代美術の間」そして「黄金の間」の部屋に展示物が分かれているので、興味のある所から見ていけばいいようです。 入り口に鎮座するナザルバエフ大統領の像。初代大統領であり現在もこの国のトップに立つ彼は、ソ連からカザフスタンを独立させ、この街を築いた人として国民から圧倒的な支持を得ています。もちろん博物館の展示を見ていると、彼の名前を目にしない時間はほとんどないのではないかというくらい至る所に名前が出てきます。もちろん写真も多いのですぐ顔も覚えられます。

私は漫画「乙嫁語り」に出てくるような刺繍や民族衣装、そして馬が好きなのでとりあえず「民族の間」へ行きました。 入った瞬間にユルタと馬が出迎えてくれました。今回はちゃんと展示物然としています。このユルタの後ろには羊もいました。そしてこのユルタを取り囲むように時代ごとの女性の民族衣装が飾られており、刺繍をしているところの写真や馬周りの道具の説明などが詳しく書かれてあります。この部屋にはずっといられそうです。 どの展示もカザフ語、ロシア語、英語で説明が書かれています。写真やパネルの展示だけではなく、映像などが見られる液晶画面があったり「中世の間」では当時のバザールが再現されていて、角を曲がるとアラジンでも出てきそうなところに迷い込んでしまったり、 本当に見せ方が上手だなあと一人で感心してしまいました。

「歴史の間」「独立の間」においては、騎馬民族の生活を営んでいるところに「ソ連」が入ってきた違和感を浮き彫りにするような展示方法でした。緑と茶色がメインだった展示に赤と黒が唐突に入ってくるので、視覚的にわかりやすくなっています。アスタナから15kmほどの場所に「アルジール」と呼ばれる、スターリン政権の時に使われた政治犯の家族の女性たちの強制収容所があったので、その場所についての証言や写真などの展示もありました。

そして「アスタナの間」。19世紀に少しだけ歴史に登場した後は1997年に遷都されるまで草原でしかなかったこの街については、展示のほとんどがこの20年の出来事です。街中に点在する奇抜な建物についても説明がありました。 今では整備されて綺麗なバイテレクの周りも、15年ほど前まではこんな状態だったのですね。それにしても写真が少し古すぎる気がします…。また、この写真の上にはある日本人の写真が飾ってあります。実は1998年に行われた国際コンペティションで選ばれた日本人建築家、黒川紀章さんの案がアスタナの都市計画に使われているのです。彼の案が完成するのは2030年の予定です。今もどんどん新しい建物が増えているアスタナがこれからどうなっていくかとても楽しみです。

Пока!