馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

お買い物こぼれ話

Привет!

11月に入りましたね。ついこの間までトレンチコートを着ていたのが嘘のように外は寒く、最高気温も氷点下です。いや、でもこれくらいで弱音を吐いてはいられません。冬本番はこれからです。

そして、昨日で私がアスタナに来て一か月が経ちました。はじめこそこれまでと全く違う生活習慣や一からの人間関係形成に戸惑っていましたが、今ではどこに行けば何が手に入るかも分かってきて、何よりいろいろな面で助けてくださる方々とも出会うことができたことで不自由なく暮らせています。それでも時にはお買い物をしているだけなのに驚くこともまだまだあり、世界は広いことを実感する日々です。今日はそんなエピソードをいくつかご紹介します。

①レモン汁について
ある日、料理にどうしてもレモン果汁が必要になりました。ロシアではスーパーでドレッシングコーナーかサラダコーナーに日本でいうポッカレモンのようなものが置かれていたのでカザフでもあると思いスーパーへ急ぎます。その日の私にとっては無駄に広いスーパーを端から端まで探し回りますが見つかりません。こうなったらレモンを絞ればいいか、と考え直して果物コーナーに行くと、たまたまその日はレモンそのものが売っていませんでした。…店員さんに聞いてみるしかないな。

そう思って「果汁」に当たるロシア語を探してみるとсок(ソーク)になります。でもこの単語は「ジュース」という意味でも使われるので、「レモンのソークありますか」と聞くと確実に「レモンジュース」が出てくることでしょう。苦肉の策として、あらかじめスマートフォンでポッカレモンの画像を表示させておいて、それを見せながら店員さんに聞くことにしました。店員さんは一瞬眉をしかめた後「…もしかして料理に使うのですか?」と聞き返してきました。そうです!そのタイプのものです!そうか、はじめから「料理用の」と聞けばよかったのか。しかし商品が特定できたからと言って在庫があるかは別問題です。そこから手が空いている店員さん(結構いる)の半分くらいを巻き込んで大捜索が始まりました。あちこち探しまわる店員さんたちと「大丈夫ですよ、きっとありますから」となぜか慰められる私。なかったら違うものを作りますからいいですよ、といまさら言いだすこともできず、ただ待つこと10分。倉庫のほうにあるかもしれない、と走ってくれた店員さんが嬉しそうに戻ってきました。「ありましたよ!」というその手に握られていたのは黄色いボトル。「1リットル入りですがいいですか?」とうっすら汗をかきながら聞く店員さんに「さすがに多いです」などと文句は言えず、お礼を言って買いました。 お値段なんと900テンゲ(300円ほど)。無事に料理は予定通りできましたが、残りのレモン果汁をどうしようかとずっと考えています。とりあえず家でのどが渇いたときにはカフェのようなおしゃれなレモン水を飲むことにしました。それから…これから冬になることだし、はちみつレモンでも作ろうかな。

②時代の移り変わり
私は料理自体はそんなに好きなわけではないのですが、キッチングッズを見るのはとても好きです。何に使うのかいまいちわからない道具の使い方を考えたり、便利グッズに感心したりするのが楽しいので、キッチングッズのお店と見るなりすぐに入ってしまいます。以前この記事で紹介したユーラシアバザールにもキッチングッズのお店がありました。 mickymm.hatenablog.com 小さいながらも、製菓用品から水筒などまで充実の品ぞろえで、なかでもお箸と巻きすがセットになったお寿司用の道具が売られていたことには心底驚きました。そういえばまだこちらでお寿司を食べていません。
レジのほうから声が聞こえてきました。どうやら店員さんと年配のお客さんが話しているようです。「結局今はどんなフライパンがいいの?なんか加工されたものがいいだとか、鉄がいいだとか、いろいろ言われてるけれど」「今は石のフライパンがいいですよ」「そうなの、ほら私ソ連時代からの人間だからやっぱり鉄なのかと思ってたわ」「私もソ連の人間ですよ、時代によって話が違いますよね」…細かい言い回しは少し違うかもしれませんが、大意はこんな感じでした。盗み聞きしているのは悪いと思いつつ、この会話で私にとって目新しかったのは、日本人が言う「昭和の人間」のようなニュアンスでカザフ人も「ソ連の人間」というんだな、ということでした。もちろん日本の改号とソ連崩壊という事実は全く違うものですが、やっぱり同じような言い回しはあるんですね。こんな会話を聞きながら、もうすぐ平成が終わるなあとぼんやり考えていました。

③手袋
旦那が突然「手袋買ってきて。防寒用じゃなくて、指紋がつかない上にすべらないのがいい」というメールを送ってきました。ちょうどショッピングセンターにいたので、様々なお店に入ってそれらしきものを探します。私が想像したのは、日本のタクシーの運転手さんや宝飾店の人がつけているようなものだったのですが、こっちのタクシーの運転手さんは手袋なんてつけていないし、よく見るとどの宝飾店も店員さんの手に手袋はつけられていません。紳士服売り場から文房具売り場に至るまで店員さんに聞いて回りましたが、おそらく私が思っている手袋を相手に理解してもらえないままでした。この国にはないのかもしれない…。そうなると私が発想を転換させるべきです。条件に合うものといえば、手術用のゴム手袋でもいいのではないか?と思い至って、薬局へ入ってみました。  手袋をさがしていて…というと「ゴム製のだったらあるけど」とすぐに返事が。それください!と出してもらったものは左右のペアで50テンゲ(16円ほど)。うれしくて、帰ってきた旦那にすぐつけてもらいました。 …なんだかおかしいです。手の大きさは同じはず。ということは左右の手袋の大きさが違うようです。カウンターの下から出てきたので、どんな風に管理されているのかわかりませんが、せめてサイズ違いは分けたほうがいいよ、とその薬局に助言しようか迷っています。

今日はこのへんで! Пока!