馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

アスタナオペラ

Привет!

今週はいい天気が続いています。それでもセントラルヒーティングは勝手に切れないので部屋の中にいると熱く感じてしまい、外に出るときに服装を選び間違うということを繰り返しています。ロシア時代から成長していません。いつものように天気予報で現在の温度を確かめて「6度」の文字を見た瞬間、「今日は暖かいからトレンチコートで行けそうだ」と思ってしまった自分を恨んでいます。外に出るとみんなダウンを着ていました。

さて、2週間ほど前のある日、仕事が終わって晩御飯を食べていた旦那がおもむろに「明日オペラを見に行ってみる?」と言いました。…え?耳を疑います。   少し前からこのブログを読んでくださっている方はご存知かもしれませんが、彼は劇場があまり得意ではありません。どうしても眠くなってしまうそうです。唯一寝なかったのはサンクトペテルブルク随一のマリンスキー劇場と、モスクワを代表するボリショイ劇場だけです。確かにどちらもバレエの質はかなり高かったのですが、チケットも比例するかのようにかなり高かったのです。そもそもオペラってそんな前日に思いついて行くようなところでした?

あなたがそう言うんだったら…と、とりあえずチケットを公式ホームページから見てみることにしました。バレエはロシアでよく見ていましたが、オペラは私も旦那も人生初です。今回は雰囲気だけでも味わえればいいというつもりで一番安価なチケットを確かめると、一人500テンゲ(170円ほど)でした。170円?この値段であれば気楽に見に行けます。 アスタナ・オペラは町の中心部、ハン・シャティールの目の前にあります。世界第三位の大きさを誇るこのオペラハウスを目にした時、もしかしてあのチケット代はここの入場券だったのではないかと思い始めました。モスクワのボリショイに似た、それでいて「大きい」を意味するボリショイより大きなこのオペラハウスで170円で観劇できるとは到底思えません。2013年にナザルバエフ大統領の命で作られたこのオペラハウスのメインホールには1250席が用意されているそうです。2000近く席があるボリショイよりは小さめのホールです。ではどこに面積が使われているかというと、このエントランス。 二階からとった写真ですが、劇場に入った瞬間はこのエントランスのあまりの大きさと華やかさに少し息をのみました。案内のお姉さんたちが来ている制服があまりにも美しいのでそれだけでも一見の価値があります。壁にはよく見るとカザフの草原が写実的に描かれていたり、伝統的な模様が刻まれていたり、細部までこっています。中で売られている軽食や飲み物は劇場価格なのにモスクワよりは安く感じました。 メインホールはこんな感じ。やはり少しこじんまりとした印象を受けますが、つまりそれはどの席からでもあまり問題なく舞台が見られそうです。ちなみに今回見に来たのは「セビリアの理髪師」です。 パンフレットのデザインが綺麗。ちなみにこのパンフレットは1000テンゲ(330円ほど)でした。あれ、私たちのチケットの二倍の値段だ…!かなり分厚いのですがそれもそのはず、同じ内容がカザフ語とロシア語と英語で書かれているのです。写真もたっぷりで眺めているだけで楽しく、買ったかいがありました。オペラなのでもちろん上演はイタリア語ですが、前に字幕がでます。電光掲示板がステージの上についており、右半分はロシア語、左半分はカザフ語になっていました。さすがに英語の余裕はなかったようです。 ちなみに170円の席から見た舞台はこんな感じ。字幕が見やすいです。しかし、この字幕は私のロシア語能力では追い付かないほど速く流れていくので、結局予習が大事だなと痛いほど実感しながら観劇する羽目になりました。

舞台は、まず衣装が豪華で、小道具や大道具、背景までかなり作りこまれていたので話が分からなくなってしまってからも見ているだけで楽しかったです。突然馬が出てきたり、激高したヒロインがお皿をたたき割ったり、思っていたよりも演出が良かったので、170円でこんないいものを見せてもらっていいのかな、と心配になってきました。基本的にはカザフ人の役者さんが演じていたのですが、フィガロ役の人が明らかに上手でした。なにぶん見るのが初めてなので上手下手はわからないと思っていましたが、彼に関しては声の伸びから動き方から「この人はいい役者さんだ」と思わせるものを持っていました。

今度はちゃんと予習してまた見に行きたいです!

Пока!