馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

国家と国民

Привет!

寒い日が続いていますが皆様お元気でしょうか。先週暖かかっただけに、なんだか騙された気分です。先週末散歩した時に、いくつかのレストランやカフェがテラス席を出していて驚きました。「寒の戻り」という言葉がロシア語にはないのでしょうか。

さて、そんな中ですが、昨日4月12日は かのユーリ・ガガーリンが108分間の宇宙飛行に成功した日なので「宇宙の日」になっています。例によってメトロでもらう新聞も宇宙の話題で持ちきりでした。中でも多かったのは「これからの宇宙の話」です。例えば、これからの100年のうちに起こりうるのはどれだと思いますか?というアンケートを道行く人に聞いていたり、宇宙旅行はいつになったら可能か、という記事が載っていたり。面白かったのは「とりあえずしばらくは人類は宇宙旅行を待たなければならない」という見出しの記事で、宇宙旅行の実現を目指しているいくつかの(多くはアメリカの)会社が紹介されていたのですが、彼らの計画についてカナダ人の宇宙研究者に質問しているところです。「リスクはありますか?」という質問に対して「死です。無事に出発できても帰って来られるかはわかりません。ロシアのロケットならこの37年間有人飛行は失敗していないので、そのリスクは下がりますが」という研究者の答えを載せていました。やはり、ロシアとしては宇宙に関して世界に、特にアメリカに負けたくないんだろうな、という印象を覚えます。

米露関係は、今冷戦時代と同じくらい悪化しているそうです。シリアの化学兵器使用や、イギリスでの神経剤使用などの疑惑の中で、アメリカだけでなくヨーロッパとも関係は悪化する一方です。今週はロシア・ルーブル安が進み、連日のようにニュースになっていました。普段なら1ドル57ルーブルほどですが、もっとも安い時で1ドル65ルーブルまでになったそうです。2週間ほど続くかもしれない、という当初の予想を裏切って事態はすぐに収束へ向かい、今では60ルーブルほどになりましたがそれでも前に比べるとルーブル安の状態です。 今朝のレート。

この件に関しては対露制裁が背景にあるとか、投資家がリスクを恐れたためだとか、色々と言われていますが、私自身は全く経済に明るくないので原因に関する言及は避けます。とにかく世界的に対露感情は悪くなる一方です。…ということを、日本からのニュースで知ってはいますが、正直にいうとロシアにいるとそんな実感がわかないというのが正直なところです。

日本のニュースで「ロシアにはこんな疑惑がある」という話を見かけても、すぐには「あ、このロシアって私が今いるロシアか」と思えないのです。以前、まさかロシアに住んでロシア語を使うことになろうとは夢にも思っていなかった頃は、ニュースで「ロシア」の文字を見ると「あのよく分からない怖いところ」と思っていました。ついでにロシア人についても「スパイが多そう」くらいに思っていました。

私が通っている語学学校にはヨーロッパから来ている人が多く所属しています。私はちょっとした好奇心から「あなたがロシアに来るっていったら、周りの人が止めたりしなかった?」と時々聞いてしまいます。すると大抵の人が「なんで?」と聞き返してきます。「たしかにロシアに対しては悪いイメージがあるかもしれないけど、それは政治の話であって、ロシア人がみんな争いを好んでいるとは誰も思ってないし、私がロシア語に興味があるんだったら現地で学ぶのが近道じゃない?」と言うのを聞いて、自分の見識の狭さを見せてしまったように感じて恥ずかしくなりました。

ロシアに、日本の国外に来てみてよかったと思うのは、国家とその国民を分けて見ることができるようになったことです。その国の政治は国民の総意で、国のリーダーは国民の平均的な考えをしているのだとどこかで思い込んでいました。日本でもそんなことはないのに。しかし色んなロシア人と関わったり、色々な国からきた人と会話をして、私の思い込みは違うと納得できるようになったのです。反露感情の強いジョージアで「ロシア語と使ってもあなた達の気分を害しませんか?」という質問に対しての、ジョージア人の「政治は政治、人は人。ロシア語は知ってるし、英語よりもこっちの方が通じるなら使わない手はないよ」という答えを聞いた時が決定的でした。この思い込みは早いうちに捨てた方がいいと直感的に思いました。

歴史や、現代の政治から、さまざまな国に持つ印象に囚われていると気がつかないうちに色んなチャンスを逃しているかもしれません。改めて気をつけようと思います。

Пока!

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