モスクワ奮闘記

2016年7月末にモスクワに引っ越してきました。

夜の訪問者

Привет!

木々に小さな蕾がつき始めました。来週からは最高気温も二桁ですし、冬が終わりますよー!相変わらず気温の変化が突然です。

通い続けている学校では、先週まで「家のトラブル」をテーマにロシア語を学んできました。例えば「電球が破裂したらどうするか(!)」とか、あの悲劇もあったので「火事の場合は」、「家の鍵を持たないままオートロックがかかってしまったら」ほかにも「トイレが故障したら?」「エレベーターに閉じ込められたら?」「水が出なくなったら?」などのケースに対応できるようにいくつか単語を勉強してから生徒同士でロールプレイをするのです。クラスメイトから演技が上手いね!と言われましたが、だって…いくつかのシチュエーションに身に覚えがあるから…。先生、もうちょっと前にこの授業を受けたかったです。

話は変わって昨日の夜。8時ごろ、夕食後のダラダラ時間を過ごしていると、突然ドアがノックされました。うちのアパートは、共有廊下へのドアにはチャイムが付いているのですが、部屋へのドアにはチャイムがついていないのです。初めは聞き間違いと思いました。あるいは他の部屋へのノックかと思い無視していたのですが、4、5回ノックされると流石に気になってきます。旦那と作戦会議をしようにも音が邪魔をしてくるので、とりあえずドアの覗き穴から見て見ることにしました。人生で初めて使う覗き穴からみた旦那は「スキンヘッドで髭面の男性が立ってる」と一言。絶対怖い人やん(見た目で判断するのは良くありませんが)。

でもどうしようもないので「どなたですか?」とドア越しに聞いてみるも、返事はくぐもってよく聞こえません。意を決してドアを開けました。そこに立っていた長身でガタイの良い男性はこう切り出します。「一年近く隣に住んでいる者ですが…しまった、書類とか全部車の中だ…ドアの鍵が壊れてしまって家に入れません。あなたのところのバルコニーって東側についてますよね?バルコニーをつたって窓から入らせてもらえませんか」…このシチュエーションは!この前授業でやったロールプレイだ!もう実践!?進◯ゼミもびっくりの速さです。

その男性があまりにも申し訳なさそうなのと、あまり怖い感じはしなかったので(めちゃくちゃ見下ろされてるけど)、旦那と一瞬日本語で相談してから承諾することにしました。すると「じゃあ2時間後にまた来ます。寝てないですか?」と聞かれました。

あと2時間あるのでとりあえずバルコニーの洗濯物を取り入れたり、片付けたりしました。バルコニーといってもこんな風に 半分部屋の中みたいになっています。片付けるついでに外側を見てみたのですが(写真は今朝撮りました)、 …え、これ不可能じゃない?

2時間待っている間に色々と不安になってきました。もし彼が足を滑らせて落ちたら?救急車って何番だっけ?もし彼が強盗で、家に入れたが最後刃物でも出されたら?断りたくなってきました。宿題も全く手につかないので平気な顔で作業をしている旦那に話しかけると「とりあえず来たら外をみてもらって無茶やからやめろって言ってみようか。ホテル探してもらって。もし強盗だったら…あっちは1人だしこっちは2人だからなんとかなるやろ。そもそも予告してから来るギャングがいるか?」と言われました。なぜ私が殴り合いの頭数に入っているのでしょうか。

そうこうしているうちに2時間が過ぎ、約束通りまたノックされます。こういうところは慎重な旦那がドアの覗き穴から確かめて一言「3人に増えてる!」…嘘やろ。数で負けてるやん。

2回目のノックで観念してとりあえずドアを開けてみました。さっきの男性と、彼と同じ体型(大きい)の男性、そして迷彩服を着て頭には地下鉄にいる警察のような帽子を被った小柄な男性が1人。手には箒とロープが握られています。もうこれあかんやつや。

でも「やあやあ、すみませんね。お願いします。お邪魔します」と口々に言いながら玄関で靴を脱ぐ3人を見て、ちょっと安心しました。まさか強盗に来て靴を脱ぐ人はいないでしょう。バルコニーの方へ案内すると、まず初めの男性がうちの窓から身を乗り出し、箒の柄で自分の家の窓を開けました。それだけで大喜びの3人。次に小柄な男性が上着を脱ぎ、Tシャツの上から体にロープを巻きつけました。ロープのもう片端は初めの男性の体に巻きつけます。そして小柄な男性が軽業師のようにひょいっと窓の桟に乗り上がると、外側にかろうじて出ている足場の上に降り立ちました(二つ目の写真で少しだけ下の方に見えているものです)。ここで彼が靴を脱いでいることを思い出して本当に肝が冷えたのですが、彼は一回もバランスを崩すことなく隣人の窓に辿り着…「ロープ短い!届かへん!」という声が聞こえてきました。初めの男性がギリギリまで窓に体を近づけたので、なんとか窓から入れたようです。「ウラー!(万歳)」という声が聞こえ、こちらも「ウラー!」となりました。もう1人の男性が何をしていたかというと、携帯電話で一生懸命撮影していました。記録係だったようです。何しに来てん。

「ウラー!」と言いながらうちに残った2人は玄関へ急ぎます。途中で私たちに「本当にありがとう、もし君たちの鍵が壊れたら遠慮なく言ってくださいね、彼が行くので!」と言ってくれました。気持ちだけ受け取っておきます。

口々に「ありがとう、ありがとう」と言いながら彼らは靴を履いて去ろうとし、すんでのところであの軽業師の荷物が全部うちにあることを思い出して戻ってきました。無事撤収が終わったあと、1時間ほど隣の部屋から打ち上げパーティーの様子が聞こえてきます。

ひさびさに「そういえばここロシアだった」と思い出す出来事でした。あまりにもタイミングが良過ぎて「学校からの抜き打ちテストか」と思いましたが、どんな人が横に住んでいるのかわかって良かったです。

Пока!

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