馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

シャーマンの聖地

Привет!

最近はいい天気が続いています!ここは本当にモスクワか!?

さて、遅い昼食を終えて一行が向かったのはブルハン岬でした。ホテルから歩いても10分前後で着きます。 前日のイルクーツクでの反省を踏まえ、考えうる限りの暖かい格好で臨みます。上半身は3枚普通の服を重ね、ダウンを着てからコートを羽織り、下半身はヒートテックにスキニーズボン、そしてスキーウェアを履き、靴下は厚手のものの上に前日購入した暖かい靴下を重ねました。もちろん帽子は耳が隠れるもの、手袋は二枚重ねです。

途中まではこの格好で平気だったのですが、夕方の岬だということを忘れていました。ガイドのユーリャさんの説明を聞いている間にも、強い風が吹きつけてきます。一番初めに辛くなってきたのは風にさらされる顔でした。痛い。頬の感覚がありません。そして末端冷え性だからか気が付いた時には足と手の感覚が全くありませんでした。このままだと凍傷になるという恐怖からひたすら手足を動かします。ツアーの参加者みんながみんなそんな感じで説明を聞きながら小刻みに動いているので、説明の最後にユーリャさんが言いました。「そろそろみんな凍ってしまいそうなので説明を終わりにします。あ、明日は島の南に行きますが今日より暖かい格好をしてくださいね」…え、これ持っている装備の全力なんですが。

さて、そんな準備不足の私の話よりこの神聖な場所の説明をしたいと思います。 この岬は別名「シャーマン断崖」と呼ばれており、その名の通りシャーマンの聖地です。チンギス・ハンに迫害されて北に北にと逃げてきたモンゴルのシャーマンたちの隠れ家になったのがこのバイカル湖に浮かぶオリホン島でした。それにしてもどこに行ってもチンギス・ハンの名前を耳にします。それほど彼の影響力が大きかったことが分かりますね。

そもそもシャーマン、シャーマニズムとは何か。シャーマンというのはトランス状態に入って超自然的存在と交信する人物のことです。そしてシャーマニズムとは彼らを中心として精霊や冥界を信じる宗教体系。実際にこの場に(寒さに震えながら)立ってみると、この自然が生み出した奇跡のような湖とそしてそこに浮かぶ島に彼らが隠れたことは、すんなりと納得できました。 こんな神々しい夕焼けを見てしまうとなおさら。ここではいつ超自然的な現象が起きてもおかしくありません。

上二枚の写真に写っているのはそんな岬から続いている「寺院岩」です。本当に神聖な場所なので、軽率に立ち入らないように、と言われました。かつては女性や子供は絶対入ってはいけなかったそうです。

そしてこの岬の上には、シャーマンの儀式用の杭も13本立っています。 時には馬をつなぐ杭にもなっていたようです。結び目が緩くて馬が逃げてしまった場合は歩きで帰らなければならかったとか。寒さで聴くのに集中できなかったのですが、13という数字はハン(モンゴルの王様の称号)の息子の数だということもちらっと耳にしました。また、カラフルな紐が結ばれています(今は冬なので数が少ないのですが、夏は木の部分が見えなくなるくらい結ばれるそうです)。紐の色で願いの種類を(富とか健康とか)、そして杭の場所によってどこにその願いが叶ってほしいかを表します。上の方に結ぶと未来を意味し、真ん中は今、そして下は過去とか亡くなった人だとかだそうです。なので一番下に「富」を表す黄色の紐を結んでも意味ないので気をつけましょう、と言われました。

一通りのレクチャーが終わると、ここでフリータイムです。19:30の夕食に間に合うように帰ってくるなら凍った湖面に降りてもいいですよ、と言われて喜んで駆け出す私たち3人(寒さは一時的に無視しました)。かなり滑りやすい足元に気をつけながら湖面に着くと、なんと波が凍っていました。 テンションが上がって写真を撮っていると、ふっと気がつきました。他の人誰もいない…。地球上に3人しかいないみたい、とロマンチックな想像に浸れたのも一瞬でした。そういえば日が沈むのを見たのは岬の上。周りはどんどん暗くなって来ます。そしてさっきの説明でこの島に電気が通ったのは十数年前だと行っていました。ホテルからここに来るまでに街灯あった…?

そこからの行動は速かったです。慌てて崖のような岬を登り、ホテルへの道を探します。道かどうかも判断できないくらい暗くなってきたので、かろうじて覚えている方向にひたすら進みました。みんなで「ここで遭難できない理由」をあげながら励ましあって歩いていると、なんとかホテルの入り口を発見しました。時間にして18:45くらい。夜ご飯にも間に合います。

いよいよ明日はバイカル湖の氷を満喫します!

Пока!

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