馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

ウルグベク天文台

Привет!

朝起きたら本当に一面の銀世界でびっくりしました。雪が全て溶けてしまっていた昨日までは12月にあるまじき光景だったのに…。気温も-1度でそんなに寒くありません。有難い。

さて、サマルカンドで一番行きたかったシャーヒズンダ廟群を出た後は、近く(といっても車で5分くらい)にある「ウルグベク天文台」へ。 モザイクのモチーフはもちろん星です。

もう何回も登場しているウルグベクですが、ここで改めて説明を。ティムールの孫として「偉大な指揮官」を意味する名前が付けられた彼は、10歳で結婚、15歳の時からサマルカンドの統治者になります。ただ彼はティムールのような為政者というよりは学者であり、天文学をはじめとしたさまざまな学問に通じ、芸術への造詣も深かったと言われています。しかし、宗教が全ての時代です。科学は神を冒涜するとして、ほかの指導者たちが彼の息子を騙し、父親であるウルグベクに刺客を向けさせました。わずか55年の人生でしたが、彼がこの世に残したものは計り知れません。

彼は観測した結果、一年は365日6時間10分8秒だと言いました。現代の技術では1年が365日6時間9分9.6秒だとわかっているそうで、ウルグベクの計算と1分も変わりません。彼が生きていたのは1400年前半。彼がその計算をした天文台がサマルカンドの何処かにあるという話だけが残っていました。

1908年にロシア人のアマチュア考古学者、ヴィヤトキンがさまざまな条件から考えて地面を掘って、見つけたのがこの天文台です。 これが地面に埋まっていた観測装置です。これだけ見たらなんのこっちゃな写真ですが、実はこう見えて深さが11mもあります。実際観るとあまりの大きさに一瞬足がひるみました。これを発見したヴィヤトキンは一躍有名になり、のちに亡くなった後彼のお墓はこの天文台がある丘に作られました。今も綺麗に残っています。

天文台自体はこの装置が全てですが、天文台の向かいに立っている博物館へ行くとここのこと、ウルグベクのことを知ることができます。 この立派な建物が博物館です。展示はシルクロードの説明やティムールの辿った道、サマルカンドで書かれた古書の展示など興味深いものがたくさんありました。 学問の博物館なので、タシケントで購入した書見台の正しい使い方が示されていて興奮する私たち。 そしていつも博物館では退屈そうな旦那も、ニギナさんの説明を受けながらだととても楽しそうだったので、やはりちゃんとした説明は大事だと実感します。 この博物館のメインである天文台については模型付きで詳しく展示されていました。上の写真はかつての姿の資料に基づいた想像だそうです。現代でもありそうな感じです。 そしてその横にはあの巨大な滑り台…ではなく観測器(六分儀)の使い方がわかる断面模型付き。資料では元々の高さは40m、弧長は63mだと残っていました。つまり、もともと地上にあった30m分は崩れてしまっていたのです(模型の人がいるあたりが今の入り口)。そりゃ考古学者たちがなかなか見つけられない訳です。使い方は、左上の小さな穴から差し込む太陽光が時間によって六分儀のどこに来るかを計測したそうです。ちゃんとこの模型の横には当時の様子を絵で描いてくれていたので、分かり易かったです。 まあこれを見ても、天文学はおろか数学とも小学生で喧嘩別れした私からすると一年の正確な時間の計算方法はわかりませんが、600年前に成し遂げていたウルグベクの偉大さがわかります。のちに彼の弟子によってヨーロッパ世界にこの技術が伝えられ、ウルグベクの名前は有名になりました。

こんな風に本で残っています。 こじんまりとはしていましたが、情報量が多く清潔で見やすい博物館でした。

出てきたら青い空に月が出ていて、この月をウルグベクはここから見上げたりしたのかなあ、と思うと少し涙が出そうになりました(サマルカンドでは涙腺が緩めです)。

さあ、そろそろ最後の目的地へ行きます。

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