馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

スザニ体験

Привет!

せっかく積もった雪が溶けてきて、地面が見えています。今12月だよね!?去年と違いすぎて戸惑う毎日@モスクワです。

ウズベキスタンでは、至る所でスザ二と呼ばれる刺繍のお店を見かけました。 こちらが現地で買ったスザニのクッションカバーです。これは二色ですが、お店の壁一面にかけてあったり、棚に山と積まれていたりするスザニはカラフルで、とても見ていて楽しかったです。

例にもれず、レギスタン広場の各メドレセでも一つの部屋丸々スザニで埋め尽くされている、ということがざらにありました。一応お店なので買ったところ以外では写真を撮らないようにしていたのが仇となって、そんなお店の様子を写真に撮り忘れていたことに今気がつきました。ぜひ現地で見てください。

不器用で細かい手作業は苦手なくせに、こんな美しい刺繍を見たら挑戦してみたくなります。そして私の小さな「やってみたい…」というつぶやきを聞き逃すガイドさんではありません。「この近くのタシケント通りに、私の知り合いのスザニ工房があるので、行ってみましょうか。運良く奥さんがいれば教えてくれますよ」と連れて行ってもらいました。

工房が集まっている建物。ここの二階にお知り合いのスザニ工房があります。

ちょうどこの建物の入り口で、お昼ご飯を食べに出ようとしているお店のご主人とすれ違いました。慌ててガイドのNさんが「この人たちがスザニをしたいそうです、お店に奥さんはいらっしゃいますか」というようなこと(多分)をウズベク語で尋ねてくれます。ご主人はその場でお家にいたであろう奥さんに電話をかけていました。ああ、なんか私たちのためにすみません。

奥さんを待つ間、お店の中を見せてもらいました(今から思うとこの時に写真を撮らせて貰えば良かったのです)。とりあえずお土産で買って帰るクッションカバーを選んだところで、奥さんがお店に到着しました。

店の隅にあるチャイハナのような靴を脱いで上がるスペースに、糸と布が置かれています。 奥さんはそこに座って私を呼び、カバンの中から何枚か図案が鉛筆で描かれている布を並べて、好きなのを選ぶよう言いました。

スザニの柄としては、いくつか決まったモチーフがあります。草木や花、月や星などもよく使われますが、一番よく目にしたのはザクロ。1枚目の写真のスザニにも、水色のザクロが描かれています。ザクロが象徴するのは子宝(中に粒がたくさん入っているからですね)。そしてサマルカンドの次に訪れたブハラでよく見かけたのはアーモンドでした。これは富を象徴します。

そもそもスザニは嫁入り道具の一つとして、娘が生まれた時からお母さんが縫い始めるのだそうです。もちろん結婚前は娘本人も刺繍をします。なので子宝や富といったモチーフがよく使われるのです。

今ではこの奥さんの元に何人も女性が集まって、一緒に商品を作っているそうです。サマルカンドの少し郊外にあるご主人の実家が大きな工房なのだそう。そしてここでもJICAのSさんのお名前が!彼女もそのお家に通い、何ヶ月もかけて作品を作っているそう。

私が一枚の図面を選ぶと、奥さんが実際に見せながら手順を教えてくれました。この刺繍をする布は、ある村で伝統的に目の不自由な人たちが作っているものです。木綿とシルクの二種類がありますが今回は木綿でした。また使用する糸も木綿とシルクがあり、どちらも手染めでこんな鮮やかな色をつけているそうです。今回は体験なのでこれも木綿で。

奥さんが昔作った、同じ図案のもの。お手本です。 線の部分はチェーンステッチになっています。この作業はかつて高校の家庭科でやった気がしますが、思うように手が動きません。私が一針縫っているうちに、横で奥さんが10針くらい進めていました。面の部分は、上から下に長く糸を通し、そこに巻きつけるようにして縫う感じです。細かい部分は全て奥さんがやってくれたので、忘れないようにビデオを撮らせてもらいました。

そうこうしているうちに彼女の息子さん(小学校中学年くらい)が家の鍵を取りに工房にやってきました。彼も刺繍ができるそうで「ここら辺のは僕が縫ったんだよ」と教えてくれます。そしてちらっと私の縫っているのを見て、何か言いました。ウズベク語で私は分からなかったのですが、それを聞いたNさんは大笑い、奥さんも苦笑いしています。なんて言ったのか尋ねると「初めてにしては上手いね」と一丁前に褒めてくれたのでした。ありがとう、あなたには敵わないけどね!

そろそろ次の場所に行かなければならないので、やりかけでしたが辞めなければなりません。奥さんが「帰っても続けて!」と、その布と針、そしてモスクワではこの糸は売っていないだろうからとこの布に使う分だけを丸めて持たせてくれました。 奥さんはロシア語が話せなかったので、ずっとNさんに通訳してもらいましたが、ウズベク語も勉強したくなりました。

私が体験している後ろではご主人とうちの旦那がロシア語でずっと話していました。曰く、インターネットショップもあって、よく日本にも輸出しているのだそうです。でも値段がかなり高いので、ここまできた方がお得だよ、とのことでした。

すごく素敵な家族で、伝統手芸も体験させてもらって、本当にいい時間になりました。またサマルカンドへ行った時は会いに行きたいです。

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