馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

企画展「十月」

Привет!

ハロウィンですね!仮装などしましたか?今朝、ご飯を食べながら聞き流していたニュース番組が「〜〜、そして10%の人が『ハロウィンという言葉を聞いたことがない』と答えていました」と伝えているのを聞いてびっくりしました。そういえば町中でもハロウィンって全く見かけません。そうこうしているうちにクリスマスの飾りが出るんだろうなあ。

さて、この間クラスメイトが「プーシキン美術館でやっている中国人の芸術家の展覧会に行ってきた」という話を聞きました。その時はあまり関心がなかったのですが、その展覧会の名前が「10月」と聞いて、革命に関することか!と思い、行ってみることに。 プーシキン美術館の入り口がえらいことになってました。かなり人が並んでいたので、私はその列に加わり、旦那は先に銀行で用事を済ますということで、二手に分かれます。並びながらこの入り口の写真を撮っていると、そんな私を見た前のおばさま(という感じの服装でした)も同じように写真を撮りはじめました。思わず「これ、前もありましたっけ?3月にきた時はなかったんですけど」と声をかけてみます。おばさまは「いや、私も初めて見たんだけど、これ面白いわね」と話を繋げてくれました!
-何を表しているんでしょう?
-ほら、木の足元に揺り籠やベビーカーがあるから、木が「人間」を表しているんじゃない?
-たしかにそうですね。これも展示の1つでしょうか?そもそも今日の展示って革命についてですよね?
-え、そうだったかしら?革命についてならトレチャコフ美術館の新館の企画展が良かったわよ。
-あ、それこの前行きました!

こんな風に会話が弾みました。そんな中で彼女はお兄さんと来られたこと、だけど彼は遅れていること、私は日本人だということ、旦那はもうすぐ来るはずだということなどを話しました。そんな中で革命の話が出たので、好奇心に負けて聞いてみました。「ソ連時代をご存知ですよね?今とどちらがいいですか?」と。彼女は「今の方がいいわ、もちろん」と短く答えました。

そうこうしているうちに旦那が用事を終えて戻ってきました!が、私は別の方向を向いていて気付かず、そのおばさまが「誰か来たわよ!もしかしたらご主人じゃない?」と教えてくれます。しかし、私が反応するより前に彼女の前にいたおばあさんが「誰のご主人?私?」と話に入ってきて、旦那が到着した頃にはその辺りの人みんなで笑いあっているという状態に。戸惑う旦那。私の後ろの夫婦もプーシキン美術館の新館に行くか、本館に行くかで喧嘩をしていて、そのまた後ろの親子に意見を求めていました。こういう見知らぬ人との交流は楽しいです。 ところで、この「十月」という企画展は中国人の画家、蔡 國強(さい こっきょう/ツァイ・グオチャン)の作品を展示したもので、彼が革命100年を記念して制作したものでした。

中国出身、ニューヨーク在住の彼の作風は、火薬を用いたものです。ウィキペディアを引用すると「火薬は…薬の一種である一方、爆発により全てを破壊し無に帰し暴力衝動を発散させるものである。彼は火薬をコントロールし爆発させることで、暴力衝動や破壊を創造へと転化させ、生命や存在の根元に繋がろうとしている」のだそうです。多分企画展でもどこかに書いてあったと思います。

入り口から天井にかけてあったのがこれ。これも火薬を爆発させて作ったもので「誰も救済を与えてくれないー神も、皇帝も、そして英雄も!」と書かれてあります。

火薬を爆発させる映像もずっと流れています。その映像の間に挟まれる、モスクワ市内の日常の映像。少し画面の前で立ち尽くしてしまいました。

メインの展示室に入るとまず目に入るのが、 「地面」という作品です。藁で作られた 畑のようなところに、ソ連のマークが刈り込まれています。上には鏡が置いてあるので、ソ連のマークは鏡を見るとしっかり鑑賞することができました。ロシアの肥沃な土地を表現しているこの作品はソ連の「コルホーズ(集団農場)」を思い起こさせます。説明によると、鏡に映ったっ作品と自分自身を見ることによって「理想郷」のシンボルに思いを馳せて欲しいという狙いだそうです。

その脇にあるのは「川」という作品。 これはこれまでの100年間に撮られた写真をステンレス型にとり、その上で火薬を爆発させたもの。つまり歴史を川の流れとして表現しているのです。

写真に写っている人を同じように描き出すことで、過去の人も現在の人も個性を消したそうです。そうして歴史というのは一瞬一瞬、今この瞬間も作られていること、たとえ当事者にその意識がなくても、ということを表しています。

この「川」の対面にあるのは「庭」という作品。 鮮やかなポピーとカーネーションを表しています。「10月の花」という名前でソビエト時代に勇気と忍耐を象徴したカーネーションを、そして第一次世界大戦の戦没者を追悼する意味をもつポピーを、この作品に選びました。

この3作品を展示している部屋そのものは「人々」という名前がついています。結局のところ、あの革命をおこしてソビエト時代を作ったのも、そうやって歴史を作っていくのも、人間だということだと感じました。この企画展は11/12まで。

Пока!

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