馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

イヴァン・アイヴァゾフスキー

Привет!

この間、家賃を取りに来た時に「この部屋暑いわね…クーラー設置しようか?」と言っていた大家さんが、昨日は「寒い、早く暖房つかないかしら」と言っていました。時の流れは早いです。ちなみに明後日からついに最高気温も1桁になりそうなので、今から恐怖を感じています。冬は好きだけど!部屋の中があったかくなってから来てくれ!

さて、今日は久しぶりに画家のお話。
母が来た時には母の好きな画家、ビリービン(この人もイヴァンさんですね)との不思議な縁について書きましたが(こちら)、弟の訪露時にも同じようなことが起きました。

日本にいる時からロシア絵画を色々と見ていて、弟が一番惹かれたのは「イヴァン・アイヴァゾフスキー」という画家の絵でした。 彼は風景画の中でも海の絵を得意としています。この絵はトレチャコフ美術館に展示してあるもの。かなり大きく、何も知らずに行っても目をひきました。何より素晴らしいのは波の色合いと透明感です。

1817年、クリミア半島で貧しいアルメニア人夫婦のもとに生まれたイヴァン・アイヴァゾフスキーは、貧しい暮らしの中でもその才能のために補助金を受けてサンクトペテルブルクの美術アカデミーで教育を受ける機会を得ます。その学校で彼が選んだのは風景画コース。19歳の時、アカデミーの展示会で金賞をとり、ヨーロッパで勉強させてもらえることになります。しかし、まずクリミアで風景画の練習を重ね、満を辞してヨーロッパを回りました。サンクトペテルブルクへ戻った後はロシア海軍に付き添ってトルコやギリシャ、エジプトなどへも渡ります。今でも平均寿命が60歳前後のロシア人男性にしては珍しく、83歳まで生き抜いた彼は、6000点を超える作品を残しました。そのため(ウィキペディアによると)、ロシア画家の中で最も贋作が多いとも言われているそうです。

弟はそんなアイヴァゾフスキーの絵をトレチャコフ美術館で大いに楽しんだ後、その日の晩に夜行列車でノブゴロドへ行きました。
ノブゴロドでの彼の目的は歴史だったので、ノブゴロドクレムリン内にある歴史博物館へ行くと「海を愛した芸術」という特別展(ニュアンスは間違っているかもしれません)が行われていました。

あれ、この絵なんか知っている、と思いつつ、通常展示を見た後に特別展示へ。何を隠そう、アイヴァゾフスキー特集でした。他の画家の海の絵も飾ってあるのかと思いましたが、アイヴァゾフスキーさんの絵だけです。ここまでピンポイントで見たいものを見せてくれるのか!うちの家系は強運というか見たいものを引き寄せる力があるようです。 あまり大きくはない展示室でしたが、奥では映像でアイヴァゾフスキーの絵を見せてくれていました。彼の描くあまりにもリアルな絵から、額縁を超えて水が溢れ出してきたり、細かいところまで見せてくれるような映像です。また、彼の絵はかなり大きなものが多いイメージだったのですが、ここには小さな絵もありました。もう写真に見えてきます。

半日でノブゴロドを出て、サンクトペテルブルクに向かった私たちが次に目指すアイヴァゾフスキースポットは「ロシア美術館」です。さすが、彼が学んだ街だけあって、ロシア美術館にはアイヴァゾフスキーの部屋があります。 右に見切れているのが最も有名な「第九の波」という作品なので、是非その目で確かめに行ってみてください。写真で見るより臨場感もあり、前に置いてある椅子に座って一日中眺めていられると思いました。私には絵心がないので、こうやって目にしたものを、または記憶の中の波を、どの色を使って表せばいいのか見当もつきません。なのでこんな本物よりも本物らしい絵を描ける人を心から尊敬します。

来てくれた人のおかげでまた新しいロシアの魅力を知ることができました。アイヴァゾフスキーはロシア人にも人気の画家なので、いろんな美術館に置いてあります。いつかクリミアのアイヴァゾフスキー美術館にも行ってみたいです。

Пока!

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