馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

序章

Привет!

5月某日に行われた旦那の先輩との飲み会で、先輩のお一人の「カムチャッカ旅行は本当に良かった」というお話を聞きました。カムチャッカ!なんと魅惑的な響きなのでしょう。聞くところによると9月にはもう夜の気温がマイナスになるらしく、行くなら8月中…もうあまり時間がありません。どちらかといえばインドア派な旦那をイクラとカニと温泉の写真で説得し、7月末から8月頭にかけて、カムチャッカへ行ってまいりました! イクラの保冷袋の写真。クマの台座には「ここからロシアが始まる」と書いてあります。かっこいい。

谷川俊太郎作の「朝のリレー」という詩をご存知ですか?短いので引用しますね。

カムチャッカの若者が きりんの夢を見ている時

メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている

ニューヨークの少女がほほえみながら 寝返りをうつとき 

ローマの少年は頭柱を染める 朝陽にウインクする

この地球では いつもどこかで 朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ 緯度から 緯度へと

そうしていわば交替で地球を守る 

眠る前のひととき 耳をすますと

どこか遠くで 目覚まし時計のベルが鳴っている

それはあなたの送った朝を 誰かがしっかりと受け止めた 証拠なのだ

この詩を小学校低学年の教科書で読んだ時に大きな衝撃を受けました。私が毎日当たり前に過ごしている1日は、場所が変われば時刻も変わってしまうのか。世界はなんて広いんだ、と。このころから自分の知らない世界への憧れが強くなったように思います(この頃にはまさか世界最大の面積を持つロシアに住むなんて思ってもいませんでしたが)。なので、私にとって「カムチャッカ」とは広い世界の象徴のような言葉だったのです。これは何としても行かねば。

そうと決まれば早めに行動しなければなりません。旦那は先輩に詳細を聞いてくれ、私はインターネットでとりあえず検索してみることにしました。調べて驚いたことは2つ。1つ目は、モスクワとの時差が9時間もあること(日本とモスクワの時差は6時間)。どれだけ広いねんロシア。 これはウィキペディアからお借りしたロシアの時間帯を表した地図です。モスクワ時間で動いているのは左端の赤い部分。そしてカムチャッカは右端の濃い赤の部分です。これまでの旅行は奇跡的にモスクワ時間の枠から出ていなかったので、初めての国内時差にワクワクしますが初めから一番端は無茶かな。確かにこうみるとカムチャッカは「ロシアの始まり」ですね。

2つ目は、アメリカに最も近い軍事基地として、1999年まで外国人の立ち入りが禁止されていたこと。二ジニー・ノブゴロドといい、閉鎖都市多いですね…。ロシア人の立ち入りも規制されていたらしく、今でも広大な自然がほとんど手つかずのままで残っています。そのため、カムチャッカの主な観光資源である自然を見に行くためにはガイドが必要なので、今回は先輩に教えてもらったツアー会社にお願いしました(こちら。英語もあります)。だいたい行く期間と、現地でしたいことを旦那にメールしてもらうとすぐに返事がきます。三日間のなかなか良さそうなプランだったので、モスクワからお金を振り込みました。

それと並行して航空券と宿泊先を手配します。出発の一ヶ月半ほど前とあまり余裕がなく、帰りのみ直行便になりました。今回のフライトプランはこんな感じです。 やはりロシアの端から端まで飛ぶとあって、一人55000p(11万円)しました。飛行時間も帰りの直行便で9時間、行きはハバロフスクでの乗り換え時間2時間半も含めると12時間半です。一瞬だけ「これ日本に帰る方がいいんじゃ…」という考えが頭をよぎったのは否定しません。

フライトが決まれば、次は宿泊先です。カムチャッカでは旅行者でもアパートを借りることが多いらしく、私たちもアパートメント・ホテルで4泊しました。途中ツアーで一緒になったロシア人曰く「ホテルは色々と問題が多いんだよね…」とのこと。確かにリゾート地ではないので、過剰なサービスを期待するとがっかりしそうです。 これが私たちのアパートの外観。一部屋にキッチンもベッドもあり、ロシアに来る前に二ヶ月ほど暮らしたマンスリーマンションを思い出しました。それでも歯ブラシや歯磨き粉は「今買ってきました!」という状態で置いてあるし、タオルは2日に一回変えてくれるし、ゴミ袋は毎日捨ててくれているし、かなりサービスは良かったです。

旅行前日、このアパートのオーナーから「明日泊まりにくるやんな?」という確認の電話をもらい安心する一方で、「日程が近づいたら連絡するね」と言っていた旅行会社からは何もなく不安なまま(一応こちらから電話をすると、到着した日の夕方に電話する、と言われました)、私たちはモスクワの空港へ向けて出発しました。

これからまたしばらくはモスクワを離れてカムチャッカ編が続きますが、どうぞお付き合いください。

Пока!

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