馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

サンクトペテルブルクでの出会い

Привет!

ロシア文学を読んだことはありますか?来る前も、そして来てからもどこか陰鬱としたイメージしかなく、あまりちゃんと読んでいなかったのですが、母が「これは面白いよ」と教えてくれた短編小説があります。1836年に発表されたゴーゴリの「鼻」というお話です。iBookなどでも無料で翻訳があるので機会があれば是非。なんといっても設定が凄まじいのでご紹介しますね。

サンクトペテルブルクのヴォズネセンスキー 通りに住んでいる理容師(イワンさん)がある朝、朝食に出てきた食パンを食べていると中から人の鼻が出てきました。この鼻は常連客の八等官コワリョーフさんのだ、昨日の施術中に手が滑ってしまったのか…と気づいたイワンさんは何とかしてその鼻を捨ててしまおうと出かけます。一方朝起きたら突然鼻がなくなっていたコワリョーフさんはネフスキー大通りを歩きながら必死で探します。途中服を着て歩く自分の鼻と出会ったり、新聞社に広告を出してもらうよう頼みに行ったりするコワリョーフさんの努力は実るのかーーというお話です。

サンクトペテルブルクの各所が出て来るので知っているとより楽しめますし、読んでから行っても「ここがあの…!」という楽しみ方ができます。そして私たちは理容師の住んでいたヴォズネセンスキー通りにこの鼻の彫刻があると聞いて探しに行きました。 ありました。思ったより「鼻」です。ちゃんと周りには「コワリョーフの鼻」と書いてあるのですが、小説を知らない人からしたらちょっと度肝を抜かれる光景です。イサク広場から伸びるこの通りを20分ほど歩かないといけませんが、見つけると少しテンションが上がります。私たちがカメラを向けて写真を撮ったりしていたので、通行人はみんな何があるのかと見上げていました。

彫像といえば「青銅の騎士」という銅像もあります。 イサク聖堂とともに。これはエカテリーナ2世の命で建てられたピョートル1世の像なのですが、プーシキンがこの像を題材にして書いた詩「青銅の騎士」が有名になったため、この名前が定着しました。

どこかで「この馬のあげた前足を下ろす場所がないことが、ロシアそのものを表しているようだ」と誰かが揶揄したと聞いたことがあったので、この像を前にした時の私と母の第一声が「下ろす場所あるやん」でした。よくある四角の台座ではなく、躍動感のあるこの花崗岩はフィンランドから2年もの年月をかけて運んだそうです(ウィキペディアより)。規模がすごい。

お次はネフスキー通り。この辺りはパフォーマーがかなり多く、至る所から音楽が聞こえてきたり、銅像のふりをした人が突然動いて通行人を驚かしたりしていました。その中でも気に入ったのはこちら。 かなり厚い底の靴をはいて、何も言わずに立っているこちらの方が持っている箱に10pを入れて、丸い穴に手を入れると、細長い皮に筆記体で書かれたおみくじのようなものが引けます。私のものには「高貴さを失わずにがんばれ」みたいなことが書いてありました。母には「真実は真実だ」、旦那のには「力で勝とうとするな」と。ネフスキー通りのドームクニーギのあたりからエルミタージュまでで2、3人見かけ、人がひっきりなしに引いていました。こういうちょっとしたエンターテイメントも楽しめるところは、モスクワより観光地らしいなあと思いました。

さて、いよいよこのサンクトペテルブルクを離れて最終目的地へ向かいます。その話はまた明日。

Пока!

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