馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

月と太陽と風

Привет!

最近は学校にも慣れてきたからか、朝宿題に取り組む&遅刻するような時間に家を出る、というダメな生徒になってしまっています。改めなければ。

今日も朝少しだけ早起きして宿題になっていたロシアの昔話を読んでいたのですが、あまりにも面白かったのでご紹介しようと思います。

「月と太陽と風」 昔々あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。二人の間には賢く、美しい3人の娘がいます。ある時、おじいさんが森から馬に乗って家に帰ろうとしたところ、夜が来て森は真っ暗になってしまいました。暗がりを怖がった馬は前にも後ろにも進みません。困ったおじいさんが「ああ、いま月の明かりが照らしてくれたら、私の一番上の娘を月と結婚させるのに」とつぶやきました。それを聞いた月がすぐに森を照らしたので、馬は安心し、おじいさんは無事家に帰りました。おじいさんが家に着くと、一番上の娘は綺麗に着飾り、家の外に立ちます。すぐに月がきて、彼女を連れ去ってしまいました。 (娘が健気で泣けます)

冬になりました。おじいさんは市場へ行こうとしましたが、来ていた服が良くなかったので凍えそうになります。またつぶやきました。「今太陽が出て来て温めてくれたら、私の二番目の娘を太陽と結婚させるのに」と。それを聞いた太陽はやはりすぐに姿を現したので、おじいさんは無事に家にたどり着くことができました。二番目の娘は何も言わず、綺麗に着飾って家の外に立ち、太陽は彼女を連れ去って行きました。(これに関してはおじいさんの自業自得な気がしますが突っ込んだら負けでしょうか。そして次の展開がなんとなく分かってきました)

夏になりました。おじいさんは海へ魚釣りに出かけます。たくさん釣れたのでもう帰ろうかとしたところ、船を動かしてくれる風が全く吹きません。海の真ん中で周りに魚はたくさんあるのに食べられず、水もたくさんあるのに飲めない、絶体絶命です。味を占めているおじいさんはつぶやきました。「今風がボートを動かしてくれたら、三番目の娘を嫁にやるのに」。おじいさんの狙いは当たり、風が吹いておじいさんはうちへ帰れました。三番目の娘もお姉さん達と同じように風に連れ去られてしまいました。

そうして一年が過ぎました。おじいさんはおばあさんに言います。「ちょっと一番上の娘が元気に暮らしているかみてくる」。そして月のところまで、野を超え山を越え、険しい道を行きました。なんとかしてたどり着くと、娘はおじいさんをみて大喜びです。 (なんていい娘なんだ)

疲れ切ったおじいさんをみた娘は言います。「お風呂(バーニャ)に入ってくださいな」「いや、もう夜も遅い。バーニャの中は真っ暗じゃないか」「そこはお任せください」娘はそういうと、夫である月を呼びに行きました。月は窓から自分の指を差し込むと、バーニャの中はとても明るくなりました。娘が元気にやっていると知ったおじいさんは、家へ帰ります。そしておばあさんに言いました。「今からお風呂に入りなさい」おばあさんは「いや、もう夜も遅いですし、バーニャの中は暗いから嫌だわ」と答えてもおじいさんは聞きません。仕方なくおばあさんはバーニャへ入りました。おじいさんは窓から自分の指を差し込みました。(!?何してるの!?)そしておばあさんに聞きます。「ほら、明るくなっただろう?」「いいえ、全く!」 (そりゃそうだろう…)

また一年が経ち、おじいさんは二番目の娘に会いに行きます。またもや野を超え山を越え、太陽のところへたどり着いた時には、すっかり夜になっていてお腹も空いていました。おじいさんをみて大喜びした娘は言います。「今からブリヌイを焼くので少し待っていてくださいね」「今からブリヌイだって!?誰もこんな時間から焼かないよ」「ご心配なく」そう言って娘は夫である太陽を部屋の真ん中に座らせ、頭の上からブリヌイの生地をかけました。(え!?太陽の使い方…)

太陽の熱で美味しく、綺麗に焼けたブリヌイをたらふく食べたおじいさんは帰ることにしました。家についたおじいさんはおばあさんに「ブリヌイを食べたくないかい?」と聞きました。「こんな時間からですか?」とおばあさん。「大丈夫。ブリヌイの生地を作って、私の頭に注ぎなさい」「病気にでもなってしまったんですか!?」(おばあさんがやっと突っ込んでくれて安心しました)「まあいいから」とおばあさんに注がせますが、当然ながらブリヌイはできません。結局おじいさんは三日間お風呂で体を洗うことになりました。(三日間というのもなかなか大袈裟だと思うけど)

また一年が経ちました。今度は三番目の娘です。野を超え山を越え、途中の川は広かったので遠回りをしながらもなんとか風のところに着きました。娘は大喜び。彼らの家に少し滞在した後、娘が元気にやっていると分かったので帰ることにしました。娘夫婦も途中までお見送りに来てくれます。帰りも広い川にぶつかってしまいました。遠回りをしようとするおじいさんに風が言います。「妻よ、その首に巻いているスカーフを川に敷いてくれ。さあ、おじいさんはここに乗ってください。僕が吹いてあげましょう」そうやって無事に帰ったおじいさんはおばあさんを海へ誘います。海について「さあ水遊びをしよう」というおじいさんにおばあさんは「どうやって?船もボートもないですよ」と言いました。「君のそのスカーフを水の上に敷いてくれよ」「気でも狂ったんですか!?このスカーフは高かったんですよ!まだ新しいし!」(おばあさん、そこじゃないです)

「何も起きないから!」とおじいさん。しぶしぶ敷いたスカーフの上に乗るようにおばあさんに言い、一生懸命スカーフをフーフー吹きましたが、おばあさんは溺れてしまいました。周りの人がおばあさんを助けてくれました。それ以降、おじいさんは誰かのうちへ行くことをやめ、ずっと家のストーブの前にいたそうです。ちゃんちゃん。

いやいやいやいや。ツッコミどころしかありません。授業中に先生と内容確認をしましたが、最後に「みんなもそうでしょう?他の人の家へ行ったり、インスタグラムやフェイスブックなんかで自分よりもいい暮らしをしている人を見たりしたら、もう家から出たくなくなるでしょう?」と先生に言われました。これってそんな話だったのでしょうか。とりあえずどうしておじいさんが風や月、太陽と同じことができると思ったのかから追求したかったのですが、ロシア人のメンタリティとあまりにも私や他のクラスメイトがかけ離れていて、みんなも言葉を失っていました。やはり興味深い国です。

Пока!

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