馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

はじめての経験

Привет!

今週は25度以上の日が続き、もうすっかり夏です。ですが友人が来ている時にも21度あった日の翌日に吹雪いたので、どうしても上着を着ていないと心細くてたまりません。変なトラウマができてしまいました。友人も「1週間の旅行でどれだけの可能性を考えて準備しなきゃあかんの!?」と驚いていました。全く同感です。また今週は-1度の日があるようなのですが、これから私は南国へ旅行に行く予定なので、暖かさをしっかり楽しんでこようと思います。

さて、その友人がヌルスルタンに来る日のことです。午前中車で出かけた旦那と私は、夜に友人を迎えに行くことを考えて地下の契約している駐車場ではなく、地上の誰でも停められる駐車場に車を置いていました。さあ、いざ空港へ向かおうと車にキーを挿すと
ガリッ
と嫌な音がしました。挿し直そうとしても、キーは抜きも挿しもできず、エンジンまでかからなくなってしまいました。これはなにかしらのロックがかかっているなということは分かったのですが、原因が全くわかりません。説明書をめくっても分からず、友人が空港に着く時間は迫っていたので、結局私だけタクシーで空港へ向かいました。

無事に友人と合流して、またタクシーで帰ってきても旦那は一生懸命原因を究明しようとしています。その日は諦めて、翌日(月曜日)旦那が同僚の方に車修理について聞くことにしました。私も一応メーカーの国内流通会社に電話して修理工を頼んでみましたが「動かないんだったらレッカーして持ってきてください」と言われてしまいました。そしてせっかく遊びに来てくれた友人を待たせていたので、彼女を連れて観光に出ました。

前回の記事で書いたバイテレクの前に着いた頃、旦那から電話が。「やっぱり紹介してもらった修理のところもレッカーで持ってきたら見ると言われた。だからレッカーの予約もしたよ。明日朝8時に来るらしいんだけど付いていける?」とのこと。友人も快くレッカー車に乗ることを了承してくれたので、友人共々人生初のレッカーをカザフスタンで経験することになりました。

次の朝、7:45。まあカザフだし時間ぴったりには来ないだろうとゆっくり準備をしていると、突然電話がありました。「こんにちは、レッカーにきました。車は地上?地下?地上か、あ、まだ早いから急がなくて大丈夫。本当にゆっくりでいいから」という内容。優しそうな人で安心しました。でもやはり急いで準備をして、8時に家を出ます。最近思うのですが、結構皆さん時間に忠実です。どうせ遅れると思ってゆっくりしていると、自分が最後だったということも結構あります。

とにかく、初めて会ったレッカーの人は、大柄で寡黙そうな、いかにも技術者、というような40代の男性でした。電話の人と同一人物とは思えません。彼は私に車を確認すると、そこから黙々と作業を始めました。 やはり動かないので、電気を流してハンドルだけ操作できるようにします。車がレッカー車の方に向くようにハンドルを回すと、レッカー車からロープを引っ張ってきて車に繋ぎました。そこからはモーターが引っ張ってくれます。少しずつハンドルを動かしながら、レッカー車に乗るように持って行ってくれました。さすがです。 珍しいことなのか、駐車場に来る人々がみんな立ち止まって写真を撮ったり、興味深そうに見ていったり、どうしたん?と声をかけにきたりしました。どうしたんって見たらわかるやん。

無事に車をレッカー車に乗せると、おじさんは「俺と一緒にくるか」とターミネーターのようなことを言いました。「行きます。彼女も一緒に行きたいのですが大丈夫ですか」と聞くと、レッカー車の運転席の横に2つ席を作ってくれました。

予約していた修理工場が旧市街地の方にあったので、前日に新市街地しか行っていなかった友人には面白かったようです。写真を撮りながら景色を見ているので、何か説明したほうがいいかと思い、運転するおじさんに「彼女今日がカザフスタン2日目で。旧市街地は初めてなんです」と伝えました。すると先程までほとんど話さなかったおじさんが、突然話し出しました。 「そうなんだ。アスタナ-あ、ヌルスルタンか、まあこの街はイシム川で右と左に分かれている。左岸は新市街、右岸は今いる旧市街だ。あ、そこのアパートが見える?あの辺りはソ連時代の名残が残っているな。ああ、そこ見える銅像は女性がお椀を持っているだろう?カザフ人はお客さんを招くのが好きなんだ。お椀の中身は水、牛乳、馬乳とお客さんの立場によって変わるよ。女性は母なる大地、母国を表しているんだ」とガイドを始めてくれたのです。さすが客を招くのが好きなカザフ人!適度に私が通訳する間を開けてくれるのもポイントが高いです。

「おばあちゃんの代からこのアスタナに住んでいる。その間に名前が3回も変わった…ヌルスルタンにはまだ慣れないけど、そのうち慣れるだろう。俺が生まれた時はまだソ連だったな」というので「ソ連時代と何か変わった?」と聞いてみました。「そりゃ国が変わっているから、色々違うけど…日本は高度経済成長をしただろう。カザフもソ連崩壊後、日本のようになることを夢見てたんだ。でも成功したとは言えない。そういう経緯を見ていると、ソ連時代のままでも良かったんじゃないかと思っている人は結構多いよ。俺の親世代は特に」との答えでした。私が日本人だということは、前の日に電話した旦那から聞いたそうです。「彼のロシア語はすごくうまかったんだが、言葉の端に少しアクセントを感じたから聞いてみたんだ。ところでなんで君達はドイツ車に乗っているの?日本人なのに。カザフでは日本車が一番だよ。この車(レッカー車)も日産だし、母は運転を怖がっていたけど日産を勧めたら今は自由に乗れているし、周りを見てもトヨタが多いだろう。あ、あれはホンダだな」とも言われました。

「あの大学が見えるか?俺はあそこで経済学を修めたんだ。でも結局父がエンジニアだったから俺もそれに従った。そういう時代だったんだ。でもうちは祖母も母も大学に行ったんだよ」「ところでそこの彼女は馬は食べたのか??今日食べる?馬を食べていなければカザフ人は滅んでいたかもしれない。だってあんな何もない草原の真ん中で、他に何を食べる?牛や鳥は食べてもすぐに力にならない。早くて3〜4時間後だ。でも馬は40分後には力になる。遊牧生活はどれだけ早く力を得るかが重要なんだ」

そんな話を聞いているうちに、工場に着いてしまいました。おそらくご本人は何の気なしに話したことだったかもしれませんが、思いがけずご好意で実際のカザフ人から話を聞けた私たちは大感激してしまいました。ありがとう、本当に色々とありがとう、と伝えても、おじさんは「もしレッカーしなきゃいけなくなったらここに電話しておいで。じゃあ」と名刺をくれてレッカー代を受け取ると、あっさりと帰って行きます。なんともカザフ人らしい人でした。

こういうことがあるから飽きないんだよなあ、と改めて思った日でした。

Пока!

バイテレク

Привет!

一週間強ぶりですが、気が付けば時代は変わり、GWも終わり、変化が多い期間でしたね。ちなみに平成が終わった瞬間は日本から遊びに来てくれていた友達と馬を食べていました。おいしかったです。「令和」も「ヌルスルタン」も音が耳になじむようにはなってきたのですが、この前まで「平成」、「アスタナ」だったことを考えると違和感が残ります。ロシア語の先生が言うように10年ほどすると慣れるのでしょうか。そのころにはこの街にいないような気もしますが。

さて、先述したように友達が来てくれたので、ヌルスルタンで観光らしいことを久しぶりにしました!観光地らしい場所はそんなに多くないのでこの半年ちょっとで回ろうと思えば可能だったのですが、今回のためにとっておいた場所へはじめに行きました。そう、この街を象徴するタワー、バイテレクです。 mickymm.hatenablog.com

この散歩のときに見ていたものです。高さ105mのこの塔は、ポプラの樹の上にある卵、という神話を基に設計されています。バイテレクの中にその説明があるかと思っていたのですが実際は全くなかったので、この神話に関しては2017年に行われたアスタナ万博のパビリオン内に書いてあったので、気になった方はこちらの記事の最後のほうをお読みください。 mickymm.hatenablog.com

入り口は防衛省側(青いドーム屋根の建物)側にあります。半地下になっているので階段を降り、相変わらず機能しているか分からない金属探知機を通ってチケットを買います。大人二枚、と伝えると「1400テンゲです」と答えた後チケット売り場のお姉さんは何かを付け加えました。「え?なんですか?」と聞き返す私に「だから、風です。上にあがると風で揺れると思いますので気を付けてくださいね」と答えるお姉さん。この日は暖かかったのですが風は強かったので、疑問には思いませんでした。確かに上に向かって広がるこの形は上に行くほど揺れが大きくなりそうです。ちなみにチケットはレシートのような見た目のなので、エレベーターホールの係員さんに見せるまでしっかり手に持っておいてくださいね。

エレベーターからはハン=シャティール(ショッピングセンター)方面の景色が一望できます。105mなのでそんなに高くはないのですが、周りの建物もあまり高くはなく、平坦な土地なのでかなり遠くまで見ることができました。 卵の中につきました。タワーの外から見ると卵部分が黄色いので嫌な予感はしていたのですが、まあ内側から見てもせっかくの外の景色は黄色く見えるよな…。これが少しもったいないと感じた部分です。せっかくハン=シャティール、バイテレク、大統領府、そして川を挟んでピラミッド、と一直線に並んでいる中に立てるのに。卵の中は二階構造になっていて、二階部分にはナザルバエフ前大統領の手形が置かれています。一階部分にはまばらだった人が、この手形の周りにはかなり集まっていました。列はないので、人がいなくなったすきを見計らって手形に手を置いた者勝ちです。写真をそのあたりにいる人に頼んだり、頼まれたり、みんな嬉しそうに大統領の手形に手を置いています。私も置いてみました。 結構大きいですね…。たしかにこれは大統領をかなり身近に感じることができます。どこかでここに手を置くと何百回か(あるいは何千回か)に一回の確率で国歌が流れ出すと聞いたのですが、私たちがいるときには何も起こりませんでした。あの噂は本当かしら。手形を離れると、係り員のようなお姉さんから「英語で少し解説してもいいですか?」と聞かれ、お願いすると「そこの手形は前大統領のもので、願い事をしながら手を合わせるといいですよ」と言われました。手を合わせる前に教えてほしかったです。手形の横にはこんなものが。 色々な宗教の本拠地がある国を代表する木で作られたようで、よく見ると「SHINTIO(神道)」の横に手書きで「桧」という漢字が書かれています。おお、日本からも来ているのか。そもそもこの街の設計は黒川紀章さんです。日本では知られていませんが、つながりが深いのだなあ、と感じました。さて、このあたりでまっすぐ歩きにくいことに気が付きました。目の前にいる人のところまで行こうと思っても思うように進めないのです。普通に立っていてもふらっとなります。…これはもしかしてめまい?そんなに疲れていたっけ、どうしようと友人のほうを見ると彼女もふらふらしていました。あ、そういえばさっき上は揺れるって言われた!と二人で思い出します。恐るべし風の威力。常駐している係りのお姉さんたちが涼しい顔をして立っているのが信じられません。あまり長居していると酔ってきそうだったので地上へ降ります。

ヌルスルタンにきたら一度は行っておきたい場所でした。もし来られたらぜひ!

そしてこの記事を書きながら何度も「アスタナ」と書いては消して「ヌルスルタン」に変えていたのですが、この国でも混乱しているのが分かる現場に出会ってしまいました。ハン=シャティール前にもともとI LOVE(ハートのマーク)ASTANAと書かれたオブジェがあったのですが、この日行ってみるとそのまえに真新しい白いオブジェが置かれていました。 何が面白いって後ろのアスタナのオブジェが撤去されていないことです。おかげで後ろから見るとはじめは何が起こっているのかよくわかりませんでした。 これは4月29日の出来事ですが、つぎの日に訪れた人によるともうアスタナは無くなっていたそうなので貴重なものが見られたのかもしれません。それにしても3月21日に名称が変わったので、1か月でこのオブジェを作ったのでしょう。そう思うと本当に突然名称が変わったのだということが分かります。

Пока!

シャザム!

Привет!

10連休のゴールデンウィークももうすぐですね。主人の職場ではカザフの休日と日本の休日を少しずつ採用し、結局日本と同じ日数になるように調整しているそうなので、今回も10連休ではありませんが、お休みが少しあります。そしてこの期間を利用して日本からの友達を初めてヌルスルタンにお迎えするので、ちょっとドキドキしています。そのため来週は更新をお休みする予定です。この時のために行かずにとっておいた観光地や、アルマティ郊外の自然も見に行く予定なので、お楽しみに。

さて、今日は4月26日ですね。ずっと追ってきて楽しみにしている「アベンジャーズ:エンドゲーム 」のアメリカや日本での公開日です。初日か、あるいは今週末に見に行こうと思っていたのですが、先日、カザフやロシアでの公開日は4月29日だと判明しました。3日!!どう頑張っても今見られないので、とりあえず他に見たかったシャザム!を見に行くことに。 日本版のポスターを見たことがある方は多いと思いますが、こちらではご覧の通り渋めのデザインです。ポスターに書いてある宣伝文句もシンプル。「世界を救いたい?さあ言って…シャザム!」個人的には、映画を観たあとで日本版とカザフ(ロシア)版のポスターを見比べてみると、このカザフ版の方が作品に合っているように思いました。

カザフで映画を見るのは『ボヘミアン・ラプソディー』に引き続き2回目です。前回は英語オリジナル音声・ロシア字幕での上映もしている劇場だったので、チケットを購入するときに「こちらロシア語音声の上映ですがいいですか?」と聞かれました。そして今回。当日行くことを急に決めたので、インターネットでパッと調べて一番良い時間の上映がある劇場へ。開始15分前に到着し、慌ててチケットを買います。お手洗いも済ませ、席に着いた瞬間に横で旦那がつぶやきました。「これ、音声カザフ語じゃないよな?」…え?これまで接してきたカザフ人たちとはほとんど普通にロシア語を使っていたので、全く不便を感じたり、カザフ語のことを意識したり、と言う場面が少ないのですが、それは皆さんが私に合わせてくれているからなのです。カザフ国内のニュースはカザフ語でしか流れていませんし、街中でカザフ語を耳にすることももちろんあります。

こちらの映画館では、そういえば劇場マナー喚起映像は見たことがないのですが、今回は『ララランド』の替え歌でこの映画館が素敵な所だということ、劇場内ではおしゃべりをしてはいけないことを「ロシア語で」歌い上げていました(いや、おしゃべり禁止どころか歌っとるやん)。その後に続くこれから公開される映画の予告もアメリカ映画だろうがカザフ映画だろうがロシア映画だろうが全部ロシア語音声だったので安心します。ピカチュウがロシア語を話しているのは奇妙な感じでした。

さあ、映画が始まります。場所と時代を明記している映画は多くありますが、この作品もそうでした。初めのシーンで、英語で書かれた「ニューヨーク州」などの上に、カザフ語の字幕が…。映画が始まってまだ1分も経っていないのに戦慄する私たち。どうしよう。
しばらくして登場人物が話し始めました。…ロシア語です!全くわからない、と言う状況は避けられそうで安心しました。聞くところによると、1ヶ月ほど前からこのような「ロシア語音声、カザフ語字幕」での上映方式が導入されているようです。カザフ人の大部分を占める、どちらもわかる人たちはどちらで理解しているのか気になりますね。

映画自体は純粋に楽しいヒーロー映画でした。笑えるところも多いのですが下品過ぎず、コメディに振り切ってもいないので見応えがあります。変身後のシャザム役のザッカリーが本当にチャーミングで、ずっと観ていたいと思わせてくれました。とても楽しかったです!私はどちらかと言うとこれまでマーベル作品ばかり追っていました。シャザムはDCなので、気を遣ってか予告編にマーベルは流れませんでしたが、観にきている人の中で二人ほど「マーベル」と書かれたロゴトレーナーを着ている人がいて笑ってしまいました。

週末の夕方の回でみましたが、公開から2週間ほど経っているのに満席で、子供が多かったです。上映中も走り回っていたので集中が途切れそうになりましたが、映画に合わせて素直な反応も聞こえてきて面白かったです。

次はアベンジャーズになるかな??楽しみです。

Пока!

バーベキュー日和

Привет!

週ごとに気温が違いすぎるせいか、はたまた週末に遊びすぎたのか、今週ずっと体調があまり良くありません。明らかに風邪をひいた、というほど体調を崩しているのではないので余計に長引いている気がします。

さて、元気が有り余っていて、気温も日中は19度あった2週間ほど前のことです。アスタナ郊外にあるグリーンパークという施設にバーベキューをしに行きました。総勢13人で。 アスタナの中心部から車で30分ほど走ると到着するのですが、上の写真の建物が見えるまでは「本当にここにそんな立派な施設があるの…?」と不安になるくらい周りは草原です。20分ほど車で走ったあたりの景色があまりにも思い描いていた「カザフスタン」の風景だったので、思わず写真を撮ってしまいました。 こんなに綺麗に何もない地平線を見たのは久しぶりです。

さて、このグリーンパークという施設は、レストラン、スパ、プールに各スポーツの競技場(フットボール、バスケットボール、バレーボール)、移動式住居のユルタやコテージ、ホテル、乗馬などが使えます。今回は15人まで入れるバーベキュー付き小屋を借りて、みんなでバーベキュー(シャシリク)を楽しみました。 小屋を背にしてバーベキューコンロを撮影したものです。小さいながらもかなり満足がいくものでした。前日に有志で買い出しをしたので、当日の現地での準備も順調です。

ロシアをはじめとした旧ソ連圏では、肉や野菜を串に刺して焼くシャシリクがメジャーで、コンロもその串に対応しているので、味付けして一晩浸けた肉を串に刺していきます。 13人分ともなると壮観ですが、これは用意した食材の一部です。

ちなみにシャシリクは男性の仕事らしく、ほかの小屋でシャシリクを楽しんでいるどの団体も、男性が動き回って女性は座っておしゃべりを楽しんでいました。 様子を見ながら串を回していきます。このタイミングでシャシリクの美味しさが決まってくるので責任重大ですが、この日のシャシリクはどれも本当に美味しかったです!

食べるのに飽きたらそばのスペースでボール遊びをしたり、周りを散策したり。私も周りの偵察に出かけることにしました。近くのユルタで同じようにシャシリクをしているグループが、シャシリク以外にも大鍋を使って料理をしています。もしやあれはプロフ!?単純に気になったので、話しかけに行きました。「こんにちは!これはプロフですか?どうやって作るのか気になって…」「これはプロフじゃありませんよ!羊の煮物です。見ますか?」と言って鍋の蓋を開けてくれました。 美味しそう!すると見せてくれたおじさんは「試してみますか?」と有り難い提案をしてくれたので、お皿を取りに行くついでにうちで焼いた鶏肉を献上しました。

まさかの古典的な物々交換で手に入れた料理がこちら。 羊肉とキャベツ、ジャガイモを一緒に煮込んでいたようです。「もう大丈夫です」と言っているのに親切なおじさんは平べったいお皿に山盛りにしてくれました。お汁がこぼれそうになりながら、お礼を言って我が小屋に持ち帰ります。とりあえずジャガイモを食べてみました。思わず「羊の味がするジャガイモや!」と大きな声が出てしまいます。それほど味が染み込んでいたのです。

用意した食材もあらかた焼き尽くし、食べ尽くしてしまったので、いよいよマシュマロの出番です。焚き火のように火を出してもらい(白樺の木の皮を入れると火が大きくなるそうです)、バーベキュー定番のマシュマロ焼きを始めました。 しあわせ。

ちなみにこの小屋は1時間14000テンゲ(5000円弱)で借りられます。人数が多ければ多いほど負担は減るので、今回は食材の金額も合わせると一人3000円ちょっとで済みました。経済的に楽しいのでお得です。

お片づけも終わり、それぞれしたいアクティビティへ。私はもちろん乗馬です。 夕方だったので、馬たたちはちょっと疲れていました。やはりここでも乗り方を教えてはくれません。周りは走ったりしているので、一般的に馬に跨がれば乗れるものだという考え方なのでしょうか。こればかりは体得するもののようなので、場数を踏んで、上手くなりたいです。

こんなに立派なユルタもあります。ここだけでカザフスタンを感じられる良い施設でした!おススメです。

帰り、市の境界線に「ヌルスルタン」という看板が立っていました。そうだ、もうアスタナじゃなかったんだ。それにしてもこういうところは行動が速いです。

Пока!

天井修理-完結編

Привет!

今日は家の中にいても少しひんやりとしているなあと思っていたのですが、ちらっと外を見ると地面が真っ白でした。…へ?
なんだか2ヶ月ほど前に見たような、懐かしささえ覚えてしまう景色です。なんで??この間まで19度とかだったやん!最近は晴れ続きで機嫌(天気の)よかったやん!みんなでもう春だねって喜んでたやん!突然どうしたん!ちなみに現在-1度です。1週間で20度下がるとか聞いていません。あーあ、車のタイヤを交換したばかりなのになあ。
再来週に友人が日本から来るのですが、彼女に「今気温どれくらい?行くときの服装どんなんがいいかな?」と聞かれても答えられない状況です。ごめん。

さて、この雪が積もる前に天井がどうなったかの話です。ちなみに漆喰の下の基礎(?)を塗ってもらった1日目の終わりはこんな感じでした。 やはりどこを塗ったかはまだ分かりますね。この日は「また明日10時にくるね」と作業員さんが宣言し、彼らは帰っていきました。

次の日。いつでも水を飲めるようにウオーターサーバーの下にコップを置いているのですが、やはり知らない人に無断で使われるとあまりいい気持ちがしません。毎回洗っているわけじゃないし。でも置いてあったらそりゃ使うか、と思ったので、この日は作業員さんが来る前にキッチンのシンクに入れておきました。水を使っていいかわからなかったので、置くだけです。
10時になり、昨日と同じ人がやってきました。挨拶だけ交わすと、また作業員の一人がまたウオーターサーバーに一直線に進みます。おもむろにシンクからコップを取ると、また水を飲み始めました。…そんなに飲みたかったらここに来る前に飲めばいいのでは…。いや、こんなことでもやもやしている私の器が小さすぎるのかもしれない、とは思いつつ、やはり気になります。相変わらず彼は作業をせず、もう一人の人が音楽を聴きながら、歌いながら作業を進めます。この日は漆喰を塗る日だったらしく、お昼休憩に入る頃にはあたりが真っ白に。 作業員さんたちはどこかへ電話してくれ、休憩に出る彼らと入れ替わるように掃除をしてくれるお姉さんたちがやってきました。お姉さんたちも二人一組で、一人だけが作業を進め、もう一人はずっと電話をしていました。この国はこのスタイルが普通なのか?

2時間のお昼休憩が終わっても作業員さんたちは帰ってこず、不安になってきたその1時間後に戻ってきて客室の漆喰を塗ると「これが乾いた頃に戻ってきてペンキを塗ります。何時頃がいいですか」と私に聞きました。ずっと家にいることを伝えると「じゃあ18時くらいに。ペンキを塗るのは2時間くらいです」と言って帰って行きました。

その日の18時ごろ。待てど暮らせど彼らはやってきません。私は作業員さんたちの連絡先を知らないので、大家さんに事情を話して連絡してもらいました。大家さんからはすぐ返事があり「分かり次第連絡するけど、多分今日はないと思う」とのこと。次の日、朝一で大家さんから「明日10時に行くって言っている。ごめんね」と電話がありました。図らずも準備期間ができました。コップを無断で使われることが気になるので、こちらからペットボトルを用意すればいいのでは。

次の日、彼らが来る前にキッチンに500mlのペットボトルを置いておきました。シンクにもどこにもコップは置かないようにします。案の定、やってきた彼は「水もらえる?」と聞いてくれました。そこのペットボトルをどうぞ、と伝えます。

ローラーでペンキを塗り始めました。水はどんどん減っていきます。ついに500mlを飲み干した彼は、突然洗い物をして乾かしてあったお椀を取り上げました。…そこまでしてウオーターサーバーから飲みたいの!?びっくりした私は彼を「それはコップじゃないので」と制止しペットボトルに水を注いでくれるように頼みました。ペットボトルから直接飲む文化じゃないのかしら。もしそうなら悪いことをしたと思います。

そうこうしているうちにペンキを塗り終わりました。 修繕したところは全く目立ちません。彼らの腕は確かなようです。こうしてやっと私の天井トラブルは終わりを告げました。長かった…。これで雪が降って積もっても安心です。

修理が終わったことを大家さんに告げると、念のために確認しにきてくれました。 そしてふっと我が家の窓を見ると「外側が汚れているわね…窓拭きの人をお願いしましょうか」と言ってくれます。…気持ちはありがたいのですが…また今回みたいに長引かないことを祈ります。どうなるのでしょうか。

Пока!

天井修理

Привет!

先週は最高気温が20度近く春を通り越して初夏が来たのか、というくらいの陽気でしたが、今週は雨が降ったり最高気温が一桁から出なかったり、また冬に戻ったようです。金曜日には雪がもう一回降るようで、気温の変化に体がついていきません。

さて、突然天井から漆喰と水滴が落ちて来た我が家ですが、次の日には大家さんの奥さん(多分この家の持ち主はこの奥さんのほう)から長い謝罪文が来ました。こんなことは初めてだ、申し訳ない、すぐに修理するからしばらく我慢して欲しい、申し訳ない、という内容。別に大家さんのせいで雨漏りしたわけではないし、正直こんなに謝られるとは思っていなかったのでこちらの方が恐縮してしまいました。一夜明けると落ちてくる水滴も止まっていたので、その旨を大家さんにメールします。するとすぐに業者の人が大家さんと一緒に視察に来ました。

彼ら曰く、まず天井が乾いたらマンション自体の屋上を修理し、そこから二日かけて天井の漆喰を塗り直すとのこと。私は何もできないので、とりあえず頷いて彼らにお任せしました。

二日後には大家さんから電話があり「今日の2時ごろに天井が乾いたか見にいくから家に居られるか」と聞かれました。予定はなかったので、了承の意を伝えると、11時ごろに家のチャイムがなります。扉を開けると作業員らしき男性が立っていたので、とりあえず招き入れて天井を見てもらいました。彼は「まだ濡れているからまた二日後に見にくるね」という言葉を残して帰っていきました。それにしてもかつてモスクワの語学学校で「家に関するトラブル」のロールプレイングをした時に習った単語がここに来て大活躍しています。「水滴」「濡れている」「天井」など。一年ほど使っていなかったので忘れていたのですが、先方にその単語を言われると教室での記憶が一気に蘇ってきました。この2週間で嫌という程使ったので、もう忘れないと思います。

その日、2時になると約束通り大家さんと業者の人がやってきました。…あれ、さっきの人は…?恐る恐る大家さん(彼はかなりの強面なのです)に先ほども人が来て天井を見ていったことを伝えると、横で聞いていた業者さんが「何!?それは競合他社だ。彼らどこでここのことを聞いたんだ…。そしてなぜ君は知らないやつを家に入れた!?ちゃんとインターホンのモニターでIDを確認しなさい。知っている人じゃない人を入れてはいけない」と小学生のように怒られてしまいました。ごめんなさい。その業者さんは少し年配の方だったのですが、私が日本人だとわかると大家さんに「知ってるか?日本語には汚い言葉はないんだよ」と知識を披露していました。そしてなぜか私に「本物のお辞儀を見せて!」と頼んできました。お安いご用です。

二日後、競合他社のお兄さんは天井の乾き具合を確認しに来ず、大家さんからは「雨が降って遅れたけど、屋上修理の道具が揃ったから作業を開始するね。終わったらまた連絡します」と今の状況がメールできました。なんて信用できる大家さんだ。ちなみに大家さんの旦那さんの方は「タケシ・キタノが好きなんだ。業者がちゃんと仕事をしなかったらハラキリしなきゃな!日本ではそうするんだろ?」と言っていました。まあまあ笑えない状況です。

そこから1週間と少しが経ち、やっとうちに作業員さんが来ました。大家さんにハラキリされなくて良かったです。作業員さんは二人一組で、ハシゴを一つと道具を一つ持っていました。そのうちの一人は現場(キッチン)に着くなり置いてあったウオーターサーバーから水を飲み始めたのです。私が驚きすぎて凝視していると、2回目からは「お水をもらっていいですか」と聞かれました。聞かれたら「いいですよ」としか言えないのですが、せめて聞いてくれよ…と思い、タイミングよく(?)出張中の旦那に今の状況とこの驚くべき行動についてメールをしたところ「今日暑いし、仕方ないな」と返ってきました。心が広いな。

作業を見ていると、二人のうち一人(水を飲まなかったほう)が天井の染みになっているところや、剥がれてしまった漆喰のところを剥がしていきました。 先ほど水を飲んだ人は監視役らしく、作業中の写真を撮ったり、お笑いらしき番組を携帯で見ながら爆笑したりしていました。仕事をしてください。

そしてお昼休憩。はじめに12時から1時までと言われていましたが、いざお昼になると「2時まで休憩してきます」と言って私の返事も聞かず出ていってしまいました。2時間という長い休憩が終わると、今度は白いものをヘラで塗る作業に。 キッチン以外にも客室で染みが見つかったので、そこも直してもらいました。

1日目はここまで。説明によると二日間の予定ですが、果たして本当に二日で終わるのか…?

Пока!

バケツは大事

Привет!

四月ももうすぐ半ばに差し掛かろうとしていますね。ついこの前、年が明けたのに!この四月から新しく一人暮らしを始めた人や引っ越しをした人もいると思います。生活の基盤になる場所だからこそ、家探しは大事ですよね。うちは旦那が転勤族なので賃貸で暮らしていますが、家賃や間取りの次に大事なのは大家さんの人柄だと最近痛感しています。特に海外に住んでいると、家のトラブルに対処するために一体どこへ連絡すればいいかわからず途方に暮れそうですが、とりあえず大家さんに連絡すれば大丈夫、というのはかなり安心します。これで連絡しても対処してくれない大家さんはよくないですね。今思えばモスクワの大家さんはいい人だったのですが、あまり緊急性のないトラブルはメールをしてもしばらく未読無視されました。家賃を受け取りに来るときに「そういえばあれどうなった?」と聞いてくれるのですが、だいたいそのころには自分で対処して解決しているか気にならなくなっているので、毎回「もう大丈夫です」と答えていました。なぜかトラブル発生時には旦那が出張でいないので、私自身が強くなっているとさえ思っていました。

…でもそんな悠長なことを言ってられるのも緊急性がなかったからなのです。

日本への一時帰国を終えた翌日、旦那は仕事でいなかったので荷物を片付けながら友達と電話をしていました。すると突然、バサバサッという音がキッチンのほうから聞こえてきました。レシピ本や雑誌が床に落ちたのかな、と思いながら電話をもって見に行くと、床には見慣れないものが。 なにこれ?友達も電話の向こうで「なんやったん?」と聞いています。「何か分からん…どこから出てきたのかも分からん」と言いながら触ってみると、なんだか濡れた砂のような手触りです。もしかして、漆喰!?慌てて天井を見上げるとそこには ああ、確実にここから落ちてきたんだ。慌てふためく私に、友達が「落ち着いて、状況説明して」と言ってくれます。一生懸命説明するもむなしく、私の頭の上にぽとん、と水滴が落ちてきました。雨漏り?あるいは上の階の人の水道が爆発したのかな、というところまで考えて、ある事実に思い当たりました。ここは最上階で、最近晴天続きだった。

考えているうちにもぽとん、ぽとん、と水滴は落ちてきます。何から手を付けていいか分からない私に、まさかの雨漏り経験があった友達は「まず床の濡れているところを拭いて。そこに新聞紙かいらない紙や布をひいて、その上に洗面器やバケツをおいて」と的確な指示を飛ばしてくれました。「床に落ちた漆喰は乾く前にふき取って、ところでそれ何の水?」と聞かれてしばらく考え、やっと答えが分かりました。「あ、雪解け水だ」

とりあえず上の二枚の写真を大家さんに送ると、すぐに返事がきました。「今マンションのサービス会社に電話したよ。僕も今からすぐ行く」というメールの15分後には大家さんがやってきます。まずは大家さんに見てもらい、二人でサービス会社の人が来るのを待ちました。その30分後に業者の人が到着。問題の個所を見せると「雪解け水ですね。とりあえず屋根の上の水をすべて取り払います」とのこと。この時点で夜の9時でした。

大家さんも業者の人も出て行ったので、とりあえず旦那の帰りを待ちます。大騒ぎでご飯も作れていなかったので、とりあえず何か作るか、と鍋を出したところで、上からダーッと水が落ちてきました。先ほどとは違う場所です。友達の言葉を思い出しながら、何に使うのかとおもっていたバケツを取りに走り、同じような処置をしました。今度は水滴というより、滝のような量だったので、バケツの水を捨てながら水が止まるのを待ちます。雨漏り(雪解け水漏り)の下にバケツを置く経験なんてまさか人生でするとは…と感慨深く思っていると、突然警報が鳴り響きました。びっくりして上を見ると、なんと火災報知器のところから水が落ちてきていたのです。

慌てて大家さんに連絡します。「とりあえず危ないから電気はつけるな」と言われます。日が長くなっているとはいえ、日没は8時過ぎ。暗い、警報が鳴り響く部屋でどうしようかと悩みます。

ところで、我が家は外国人用のマンションで、セキュリティなどもしっかりしており、インターホンが鳴ると来訪者が映るスクリーンがあります。 警報がなるとこのスクリーンいっぱいに「火事です!」という文字が出ていました。その下に「ストップ」というボタンも。火を使ってないので火事でもないし、この恐ろしい警報音を止めるにはこれだ!とストップボタンを押そうとした途端、どこからか声が聞こえてきたのです。「どうしましたか?大丈夫ですか?」と。スクリーンの上にスピーカーがあることにこの時まで気が付きませんでした。とりあえず「火事じゃないです。水が火災報知器のところから落ちてきて、それに反応しているだけです」とスピーカーに向かって叫ぶと「そうなんですね。わかりました」と電話が切れました。警報音はなり続けています。切ってくれへんのかい。

何もしてくれなかったのでとりあえずストップボタンを押すと、「暗証番号を入れてください」と表示されました。4桁の数字のようです。暗証番号!?とりあえずこの家の部屋番号を入れてみましたが「違います」という非情な文字。そこへ大家さんがやってきました。「大丈夫!?」といいながら問題の個所を見に行きます。「とりあえずこの水が止まるのを待つしかない。え、暗証番号?なにそれ、そんなんがあるの?とりあえず今上で作業しているからもう少し待って」とのこと。え、なんで暗証番号知らんの?そのまま大家さんは出て行ってしまいました。

スクリーンをいろいろいじっていると、一時的に止める方法(また2分後に鳴り出す)と、警報音を変えるという無駄な機能は発見しましたが、鳴りやみません。変更した警報音が前のものより危険度が増しているような音だったので、必死で暗証番号を考えました。とりあえず、基本の「1234」を入れてみます。
…「正解です!」の文字が出てきた後、警報音が止まりました。え?そんな数字でいいの?それ一番暗証番号にしたらいけないって言われている数字じゃない?

警報音も止まって、天井からの水も止まったころ、計ったかのようなタイミングで旦那が帰ってきました。さあ、ここからどうやって直すのかな。戦いは長引きそうです。

Пока!