馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

世界一の水族館

Привет!

桜が今満開だそうですね。アスタn…ヌルスルタンに戻ってくるまでに間に合うかと思ったのですが、あと一歩のところで日本を発ってしまいました。ところでまだ全然慣れないので、しばらくはこの街のことをアスタナと表記してもいいでしょうか。日常生活で使っていくうちに慣れるかと思います。

さて、前回の記事の最後に書いたトラブルですが、まだ解決していないのですべてが丸く収まったら書く予定です。ということで、今日はアスタナにある水族館についてお届けします。 「ailand」というこの施設はサーカスの目の前にある「水族館+プール+アトラクション」というような場所でした。まず写真に写っているドアをくぐると目の前に室内プールが広がります。2月の寒い日だったので、温水プールにはかなりの人がいました。中にはスライダーもあり、カフェも水着で行ける場所にあり、とても楽しそうです。別料金だったので今回は行きませんでしたが、肉体改造をして挑みたいです。アトラクションというのは人工のジャングルが造られているスペースで、入り口には恐竜が埋められています。 ここも別料金なのでまた機会があれば行きます。ちなみにこのアトラクションの名前は「ジャングル」で、入り口の前ではずっとジュラシックパークのテーマが流れていたので大阪出身の私は何となくユニバーサルスタジオジャパンに行きたくなりました。

このジャングルの横に水族館の入り口があります。チケット売り場の前には映画「ベイウォッチ」のワンシーンの顔出しパネルがあります。ドゥエイン・ジョンソンのほうは顔がくりぬかれておらず、横で走っている女性のほうは顔出しができるので、ドゥエインのファンはぜひ。著作権がどうなっているのかは誰にも聞けませんでした。
この水族館は実はギネス記録を持っています。そうです、アスタナに「世界一の水族館」があるのです。「世界一内陸にある水族館」として。…若干不安が残りますね。 実際に入ってみると入り口付近には小さい魚やイソギンチャク、クラゲなどのコーナーがあり、しばらく進むとサメ類が多くなってきました(上の写真)。説明も英語とロシア語とカザフ語で書いてあったので思ったよりしっかりしていて驚いてしまいます。魚の種類と説明が合わなかったのは水族館ではよくある話です。しかしその説明もちゃんと読んでいると「この魚が食べるもの:80%は野菜」などと書いてあり、思わず「残りの20%は!?」と突っ込みました。関西人の血が騒ぎます。 ピラニアもいました。上から手を入れられるようなタイプの水槽で泳いでいたので危ないなあと思ったのですが、下に牛の頭の骨が転がっていたので一応警告をしているつもりなのでしょうか。危機管理があるのかないのか。しばらく進むと、途中から本物の魚の隣に作り物の鳥が置かれたりし始めました。何となく嫌な予感がします。そうこうしているうちについに天井からフグ(作り物かはく製か分かりません)がつるされていたり、壁から作り物のサメやアザラシが顔を出していたりします。水族館にあるまじき作り物の多さです。 めちゃくちゃダイナミックなアザラシ。ついでに天井からシロクマが顔をのぞかせている北極コーナーもあったのですが(なぜか横で作り物のペンギンが泳いでいました。君たちは南極じゃないのか)、そのリアルなシロクマを真下から見ると今晩眠れなさそうなくらい怖い画像が取れてしまったのでここに載せるのは控えます。気になる方はどうぞ現地へ。ついでにシロクマの奥には実物大の難破船の一部も作ってありました。ジオラマを作るのはかなり上手です。 水族館で一番ロマンチックなスポットともいえる水中トンネルもあります!なぜか床には動いていないベルトコンベアーがありましたが。もし水族館関係の人が読んでいらっしゃったら、このベルトコンベアーの使用方法をご教授ください。しかしこのトンネルで一番不可解なのはこのベルトコンベアーでも何となくく暗い照明でもありません。入り口にこんな像が立っていたのです。 動揺して少しぶれていてすみません。私にはもうこの水族館のテーマが分からなくなってきました。この一体だけをここに置く理由が見当もつかないのです。突っ込みポイントはもう一つあります。水族館と聞いて思い描くものは先ほどの水中トンネルの他に、壁一面に広がる大水槽もあるのではないでしょうか。安心してください、この水族館にももちろん大きな水槽はあります。 …すこし思っていたのより小さいのですが、これがこの水族館一の大水槽です。周りの余白というか、淵の部分の主張が激しいですね。この写真を撮影したのは二階席からだったのですが、不思議なのはなぜこの水槽の大きさに二階席を作ろうと思ったのか、ということです。大水槽に群がる人々を見学するためだとしか思えません。

つっこみながら、それでも想像以上に水族館を楽しめました。内陸にある水族館ですが侮れません。しかしこの日私が一番感動したのは、ショップにあまり水族館グッズが売られていないことと、アスタナ中どこを探しても見つからなかったバラ売りの絵葉書やおしゃれな皮でできたマグネットが売られていたことです。痒い所に手が届くようなお土産だったので、これを各観光名所で売ればいいのに、と思ってしまいました。

アスタナに来られた際はぜひ! Пока!

ヌルスルタン

Привет!

お久しぶりです。実は前回のブログ更新後すぐに旦那のタイ出張についていき、アスタナに戻ってきたのも束の間、すぐに1ヶ月ほど休暇で日本に帰っていました。 タイでは象に乗りました。

日本では事務手続きを終わらせたり友達に会ったり、久しぶりの日本(私はそれほどですが、旦那は実に2年半ぶりでした)を満喫して、さあいよいよ明日はカザフスタンに戻るぞ、という晩のこと。

ナザルバエフ大統領が辞任した」というニュースが飛び込んできました。

ナザルバエフ大統領といえば、ソ連が崩壊する以前からカザフ・ソビエト社会主義共和国の初代大統領でしたし、ソ連が崩壊するときにカザフスタン共和国として独立したことの立役者でもあります。独立した1991年12月から今までずっとこの国のトップに君臨してきました。博物館にも彼の銅像がありますし、アスタナの空港や大学の名前も彼の名前を冠しています。実は来年(2020年)4月までは任期があったので、今回の辞任はかなり衝撃的だったのです。通常三選禁止である大統領も、初代大統領であるナザルバエフ氏に限り無効という法律まで作られています(だからこそ通常10年しか大統領は続投できませんが、彼はソ連時代も含めると29年もこの国の指導者たりえました)。

国のトップが変わるということがここまで国民の生活に支障をきたすのか、と実感したのは早速その翌日でした。そろそろカザフスタンへ向けて日本を出る、というときになって「首都の名前を『ヌルスルタン』にする」というニュースが入ってきました。ヌルスルタンとは、ナザルバエフ元大統領のファーストネームです。彼の功績を称えて首都の名前を変えるというのです。今から帰る街の名前が出発した時と変わってしまうかもしれないという例えようのない不安を抱きながら、飛行機に乗り込みました。

経由地である韓国の空港に着くと、すぐにWi-Fiを繋げてニュースを確認します。「カザフスタン議会、首都改名案を全会一致で可決」…こういう時はめちゃくちゃ速いな。

アスタナの空港に着陸した際、機内のアナウンスでは「アスタナにようこそ」と言っていたのですが、違う路線では「ヌルスルタン」と言っていたそうです。空港で話した人は「昔からこの街に住んでいるけれど、これで改名は3度目なんだ。ツェリノグラード、アクモラ、アスタナ、そして今はヌルスルタン」と言っていました。

家には食料が何もなかったのですぐにいつも行っているバザールへ行きました。顔なじみの八百屋のおばちゃんに「帰ってきたよー」という報告をして「ところで帰ってきたら街の名前が変わってるんだけど」というと「新しい街へおかえり!」といつも通り満面の笑顔で応えてくれたので少し安心します。「アスタナって名前は音が綺麗だったね」という意見には私もおもわずうなずいてしまいました。

ナザルバエフ元大統領の代行であるトカエフ大統領は先日23日に改名の憲法改正案に署名しました。これで現在私が住む町の名前はヌルスルタンになりました。

帰ってきた日に慌ててバザールで「アスタナ」と書かれたお土産のマグネットを買ってきました。 これもいつかなくなっちゃうのかな。

自分が住んでいる街の名前が変わるのは初めてなので、これからどうなるのか静観したいと思います。そして帰ってきた次の日から我が家では別のトラブルが…。この話はまた次回。

日本をイメージした料理

Привет!

外国で現地の人が作った日本食を「本物とは違う」と批判されることがありますが、私個人としては美味しかったらあまり気にしません。その土地の人の舌に合わせてアレンジするのは当たり前ですし、日本でも世界各国の料理をアレンジして食べています。世界は少し身近になったのだから、みんなで美味しいものを食べるのが一番なのではないでしょうか。

…私も先日まではこう考えていました。いや、実際今も考えは変わっていませんが、これまでの「ユニークにアレンジされた日本食」とは一線を画す料理に出会ってしまいました。

場所はショッピングセンター「ケルエンシティ」。よく登場する「ケルエン」とは別の場所です。ここは周りにサーカスや水族館があり、観光の休憩スポットとしても良さそうです。サーカスも水族館もまだ行けていないのですが。

この日もケルエンシティで友達と旦那とお買い物をし、お腹がすいてきたので上階にあるレストランへ行くことに。フードコートの一つ上の階にはレストランが3つ入っており、そのうち二つがピザ屋さんです。街中にあるピザ屋さんの数からカザフ人は多分ピザが好きなのだろうと思っています。そしてこのショッピングセンター内のレストランでピザ屋さん以外に唯一残された選択肢が「フジ」という名前のレストランでした。入り口近くにあるお手洗いの男女を示す表示が侍と芸者である事から日本食を扱っていることがうかがえます。

とりあえず面白そうなので入ってみました。席に着くと出てきたメニューをめくって思わず笑ってしまいます。 こちらは写真で見て分かるように巻き寿司のコーナーなのですが、写真の左から料理名が「ハローキティ、鰻とともに」、そして右は「ハローキティ、鮭とともに」と書いてあります。…ハローキティ?「東京」などの都市名が付けられている巻き寿司はよく見るのですが、キャラクター名は初めて見ました。なぜ鰻と鮭でキャラクターを変えなかったのでしょう。少し疑問が残ります。 このお店はとにかく寿司の種類が多く、メニューに載っているのは麺類か寿司かというほどでした。麺類といっても焼うどんのようなものばかりです。

友達も旦那もこの日は全く冒険をせず、他のレストランでも見かける料理を頼むと言い張ったので、私は少し珍しそうなものを注文することにしました。まずメニューのスープのページで見つけた「日本海」というスープを。 なぜかここの日本海、トマトが浮いているのですが。そしてワカメで覆われていますね。このワカメをかき分けると下から鮭とエビが出てきました。 味は悪くありません。友達も私もこちらのスーパーやバザールでワカメを見たことがなかったので、このスープの中のワカメはどこで手に入れたのかが最も気になりました。

もう一品、私はメニューの寿司ページで好奇心を掻き立てられるものを見つけました。
その名も「寿司ピザ」…いや、いくらピザが好きだからって、寿司までピザにしなくても。そもそも寿司ピザってなに?という方が多いと思うので、とりあえずその姿を見てもらいましょう。 運ばれてきた瞬間、同席していた友人と旦那の頭の上にもクエスチョンマークが浮かんでいました。どうやら、海苔の上にご飯を乗せて、サーモンを乗せて、チーズを振りかけて焼いた上に照り焼きソースとネギをかけているようです。どうしてそんなメニューを思いついてしまったのでしょう。ここで一つ言えることはチーズと照り焼きソースは合わないということです。チーズの脂っこさを余計に引き出してしまっているので、口に入れた当初は「思ったより悪くない!」と思うのですが、半分も食べ進めると「もういいや」という気分になります。一切れずつ旦那と友達にあげると「鰻が入っているの?」「このソースだけをご飯にかけたい」「一口目からあんまり美味しくない」と散々な評価でした。

店内は落ち着いた雰囲気で、テラス席の方に座るとショッピングセンター全体を上から眺められるので楽しいです。絶対に日本では食べられない料理に挑戦してみたくなったらぜひ。

この階にはレストランの間にひっそりとボルダリングコーナーがありました。2回挑戦できて1000テンゲ(300円ちょっと)だそうです。お腹がいっぱいになったらここへどうぞ。

Пока!

魚の卸市場

Привет!

最近は氷点下15度前後が続き、かなり気温が上がってきました。そしてそんな気温なのに空は晴れているのです!先生も「世界が春に向かって進んでいるね」と大きな規模で喜んでいました。

さて、かつて魚屋さんについての記事を書きましたが、 mickymm.hatenablog.com 今回はサーモンを一匹丸ごと買える卸市場のような場所に行ってみたのでご紹介します。こんな内陸国に住んでいても海の幸が高頻度で食べたくなるのは島国のDNAがなせる業なのでしょうか。

とりあえず住所だけ聞いて一人で下見に行ってみました。バス停から歩くこと30分、この時点で少し帰りたくなっていましたが「魚」と書かれた看板が見えてきました。 どうやらこの辺りのよう。さすがに築地のような場所を想像していたわけではありませんが、想像以上に店の表に魚が見えないので不安になってしまいます。ちなみにこのお店に入ってみましたが、家の近くのお魚屋さんのような場所で、クーラーボックスのような冷凍庫の中に切り身が入っていましたが、鮭一匹丸ごとは売っていませんでした。

少し進むと、入口のような場所が。 ここから中に入るのかな…。でも屋内に入れるようなドアは鍵がかかっていたり、先ほどのお店のような場所ばかりです。まさか鮮魚が並んでいるとは思っていませんでしたが、もう少し魚が並んでいて活気があるものだと思っていました。今にも凍りつきそうな、想像以上の過酷な場所でした。

ついに市場らしいお店を発見。 奥に見えている白いコンテナの中にたくさんの箱が積まれており、その前に立っている人に声をかけると「鮭?あるよ」とその箱の一つからカチコチに凍った鮭を一匹引っ張り出して見せてくれました。ここか。この日は下見だったので、お礼を言って箱の中に戻してもらいました。

別の機会にここへ車で行くという先輩にお願いして、一緒に連れてきてもらいました。先輩は鮭を丸々一匹買って海鮮鍋をするつもりだったのです。 コンテナの扉にはこんな紙が貼ってあり、その日に在庫がある魚の種類が書いてあります。左上の紙には鮭の重さに応じた値段が書いてあり、それをみながら「7kg級のものを」とお願いします。コンテナの中で待機しているおじさんはいくつか鮭を出して見せてくれるので、好きなものを選ぶのですが、私には凍っている鮭はどれも同じに見えました。
紙に書かれている数字は1kgあたりの値段のようで、実際の鮭の重さを測って値段が付けられます。つまり7kgちょっとで28000テンゲほど。日本円にして9000円ちょっとですね。これを丸々持って買えるのは大変な上に冷蔵庫にも入らないので、お支払いをしている間に店の奥にある糸のこ機で切ってくれました。この時丁寧に「3等分?4等分?」と聞いてくれますが、文字通り3等分(あるいは4等分)で、別に部位に切り分けてくれるわけではありませんがありがたいです。

レジと糸のこ機しかないお店を出た瞬間に「エビは?」と聞かれました。海鮮鍋に入れたかったのでとりあえず出してもらいましたが、お目当ての尾頭付きではなかったので断ります。するとその店員さんは「あっち(入り口を出て右にある建物)に俺の店があるから、そこに行ったら尾頭付きのエビがあるよ」と教えてくれました。

次に目指すはその店です。とりあえず尾頭付きのエビ(もちろんカチコチ)を発見し、確保した後にほかの海鮮を物色していると、突然肩を叩かれました。驚いて振り返ると先ほどのおじさんです。「エビ見つけた??ここにあるよ」「もう取りましたよ!ほら。ありがとうございます」とアフターケアまでしっかりしていてびっくりしてしまいました。エビも安くはないですが、お正月に見るような立派な大きさです。私は瓶詰めのアンチョビを買い、お店を後にしました。

幸せの図。次の日に先輩のうちに呼ばれて行くと、しっかり解凍された鮭とエビの鍋を出してくれました。鮭のアラとエビのかしらからしっかりダシが出ていて、本当に美味しかったです。

みんなで美味しい美味しいと食べていると、次に出てきたのは漬け鮭と刺身。 その会には5人いたのですが、みんなお腹いっぱいになりました。買える前に先輩の冷蔵庫を見せてもらうと、まだ凍った鮭が…。7kgはとてつもない量だということがわかりました。

美味しくて楽しいサーモンパーティーでした。

Пока!

日本について質問されたこと

Привет!

大騒ぎしていましたが、昨日はそれほど温度が下がらず日中は-26度ほどでした。これならバスで市場へ行けます。家の中が暖かいので軽装になりがちですが、分厚めのコートを羽織ると寒さはほとんど感じませんでした。タイミングが悪くバスを20分ほど屋外で待っていたのですが、自分のことより購入した生卵は凍ってしまうのではないかと心配でたまりません。結果は全く凍っておらず、卵かけご飯を楽しめました。よかった。

ロシア語を習い始めてから、タクシーの運転手さんだけでなく先生とも話すことができるようになり、現地の人と触れ合う機会が増えました。そうなると日本に特別な興味や思い入れのないカザフに住んでいる人の日本に対するイメージが垣間見えます。今日はその中で印象に残っているものをいくつかご紹介したいと思います。ちなみに先日、タクシーに乗ったら「生きている日本人!初めて見た!」と言われました。もうすぐで「じゃあ生きていない日本人には会ったことがあるんですか」と聞きそうになりましたが、大人なのでやめました。

最近多いのは「テレビやインターネットで見たんだけど、本当?」というタイプの質問。ロシア語の先生は毎授業の導入としてこの手の質問をしてくるのですが、毎回「それどこで見たの?」というものばっかりです。例えば「酒って日本のウォッカって聞いたんだけど、アルコール度数は40度あるの?」など。これに「酒はそこまで度数が高くない。15%くらいかな」と答えると「そんなに低くて酔える?酔えなかったらアルコールを飲んでいる意味がないでしょう?」と言われました。これだから強いお酒の国は。先生によるとソ連時代は男性がウォッカを、女性はウイスキーを飲むのが普通だったそうです。
忘れられないのはとか「邪魔になったおばあさんを捨てる山があるって本当?」と怯えながら質問されたことです(先生はご年配の方です)。一瞬何のことか分からず固まっていると、一緒に授業を受けている友人が「姥捨山か!」と小さく叫びました。ああ、なるほど!え、どこでそれを?「本で読んだのよ」…誰がその本をロシア語で書いたんだ。
続けて「あ、レイカンってなに?」と聞かれました。霊感?冷感?友人は前者を、私は後者を思い浮かべたのでそれぞれ説明したのですが、先生が聞きたかったのは本の文脈から前者だったようです。これは「精神」と「霊」の違いを説明するのが大変でした。イスラム教における死後の世界について勉強すべきだったかもしれません。それにしても先生はどんな本を読んでいるのでしょう。

また、休暇の話をしている時に聞かれたのが「日本では、部下が休みを取らないと上司がとても怒って、週末や長期休暇を絶対取らせるんでしょう?」ということでした。思わず「え、それはどの世界にある日本の話?」と聞き返してしまいます。「そう、じゃああの噂はおとぎ話だったのね」と返されました。ちなみにいろんな国から来た生徒を見ている先生によると、日本や韓国はハードワーカーで仕事をしすぎだという印象がある一方、アラブ諸国ではいつ働いているのかと聴きたくなるくらい休暇が長いそうです。カザフスタンについては「普通」とのこと。日本の社会人の夏休みや冬休みが長くて1週間だというと「どうやって旅行行くの?」と聞かれました。その中で行くんですよ。

先日ロシア語の授業に行こうとした時に先生から電話があり「今日の天気は最悪だからお休みにするね」と言われました。通常これくらい曇っていて雪が降っていたら暖かいのですが、なんとこの時は-20度以下だったのです。風も強く、体感気温は-40度でした。それは休講になるわ。

ある時、タクシーの運転手さんに「日本ってこれからどんどん沈むの?」と突然聞かれました。え、そうなの?私も初耳です。「沈まないんならよかった!いつか行きたいと思ってたから。南極の氷が溶けて日本も沈むってインターネットで見たんだよ。カザフはしばらく大丈夫そうだけど」と言われたのですが、確かにそう思うと日本と対照的な地理だよな、と一人考えながら「おそらく沈むとしてもあなたが生きているうちは大丈夫だから安心して日本に行ってみてね」と伝えます。日本人にとってもカザフスタンはあまり馴染みがない国ですが、反対にカザフの人にとっても未知の国なんだろうな、といつも思います。それでも「日本人だ」と伝えると「やっぱり!日本人はカザフ人と顔立ちが似ているからね」と親近感を持ってくれているようで、嬉しいです。これからもどんな質問が来るか楽しみにタクシーに乗ってロシア語の授業に向かおうと思います。

Пока!

服のお直し

Привет!

昨日からの3日間がこの冬一番の寒さになりそうで、明日はついに氷点下40度になるのではと噂されています。そのため、今日中にバザールに買い出しに行こうと思っていたのに面倒くさくなってしまって結局明日家から出なければいけないようになってしまいました。反省の意味を込めてここに記しておきます。一方で、どこか氷点下40度を体験してみたい気もしています。本当にそこまで温度が下がるかな…?昨日は外が吹雪いていたので、少し暖かいのだろうと思って外に出ると氷点下20度でそのまま踵を返そうかと思いました。アスタナに来て知ったのですが、風速1mで体感気温が1度下がるそうです。そしてこの町はかなり風が強いので、多くの場合表示されている気温より10度から15度ほど体感気温が下がると覚悟しておいたほうがいいです。ちなみに風速20メートルを超えると当局から注意喚起のメールが来るのですが、最近は3日に一度ほどの頻度で届きます。気象庁のホームページ(気象庁|予報用語 風の強さと吹き方)によると、風速20メートル以上で何かにつかまらないと立っていられないほどの強さです。治安はいい街ですが、命の危険を時々感じます。

さて、そんな寒さの中、旦那は毎日スーツを着て仕事に行っています。ユニクロのヒートテックの上下は欠かせないそうですが、それでもあまり寒さは感じていないようです。そんなある日のこと、帰ってきた彼のスラックスに大きな穴が開いているのを発見しました。そういえば以前氷の上で滑ったといっていましたが、そのせいでしょうか。もう今となっては原因が分からないので、古くなっていたのもありこの機会に新しいスーツを買うことにしました。

mickymm.hatenablog.com この記事で出てくる、ショッピングセンター「ケルエン」はほかのところに比べると男性のスーツを取り扱っているお店が多いのでここへ向かいました。既製品だけではなく、仕立ててくれるお店もいくつかありましたが、とりあえず今回はぶら下がりを買うことにします。いくつか試着して、値段とサイズと色がちょうど気に入ったものに決めましたが、既製品の常でスラックスは長めでした。試着したときに店員さんに「裾上げはいくらですか?」と尋ねると「このお店ではなく、いったん購入してから向こうの洋装店でお願いします」とのこと。そういいながら店員さんが旦那に合う丈で印をつけてくれます。

レジでお支払いをしているときにもう一度詳しく聞いたお店の場所へ行ってみると、ショッピングセンターのメインではない出入り口の脇にひっそりとありました。 このショッピングセンターには何度も来ているのに初めて見たほどです。ここでは裾上げをはじめ、いろいろな服のお直しをしているようで、ドアをくぐると決して広くはない部屋の中でミシンが5台ほど並んでおり、それぞれの前で女性が忙しそうに働いていました。 これでお店の全体像です。みなさん一生懸命なので、入店した私たちに全く気が付きません。邪魔してはいけないと思いつつ、小声で「こんにちは」と言ってみましたが誰も顔をあげないので、もう少し大きな声で「すみません!」と言ってみました。すると作業していたうちの一人が顔を上げて「はいはい、どうされました?」とこちらに近寄ってきてくれました。「このスーツの裾上げをしてほしくて」というと、入り口近くにあった更衣室を指さし「あの中で着替えてください。計ります」と指示されました。印をつけてくれたスーツ店の人には悪いのですが、やはりこの場で計ってもらうほうが安心です。 計測されている図。 計り終わると、引換券を渡しながら「明日の午後7時以降にできます。お代はその時で。2500テンゲ(800円ほど)です」と店員さんは言いました。

二日後に引き取りに行くと、抱えている仕事が多いのかかなり探し回った後、ちゃんと出てきました。小さなお店なのでレジもなく、4000テンゲを渡すと作業をしてくれた人が自分のお財布を持ってきて、お釣りを渡してくれました。作業した人がそのままお金をもらう制度なのかな。仕上がりはさすがプロで、裏地まできれいに処理してありました。今度は破れた服とか持っていこうかな。

ここ以外にも、こんなアトリエが街中にたくさんあります。バザールの洋服コーナーの近くには必ずアトリエが2、3あり、出来もとてもいいと聞きました。またあるお店では着物をワンピースにリメイクしてくれるそうで、いろいろと試してみるのも楽しそうです。

Пока!

タイトル回収

Привет!

前回、カザフスタンのファストフードのことを書きましたが、全世界的に展開しているチェーン店の中でもカザフスタンで人気なのがスターバックスです。スターバックスといえばご当地マグカップが有名ですね。以前この記事で紹介しましたが、 mickymm.hatenablog.com カザフスタンのカップは特にお気に入りです。これ以来毎日使っています。そしてこのカップ以外には期間限定メニューが国によって違うくらいで、ほかのメニューは世界共通なのだと思っていました。こちらのサラダコーナーを見るまでは。 一見どちらも普通のサラダですが、なんと左にあるのは「馬肉サラダ」です。馬肉サラダ…。日本やロシア、イギリスなどほかの国で見たことがないので、おそらくカザフスタン(あるいは中央アジア)限定だと思われます。ご当地メニューがあったとは。

この一週間後、週末に郊外にある大型スーパー「メトロ」に連れて行ってもらいました。アスタナはそんなに大きくない町なので、少し車で走るとすぐ地平線が見えるようなだだっ広い場所に出ます。メトロはそんな土地にぽつんと立っているのですが、その日はメトロの前に黒いものが点在していました。今は冬で雪が積もっているので黒いものは目立ちます。遠くから「あれはなんだ」と見ていたのですが、近づくにつれてその正体がはっきりしてきました。 え、もしかして…馬…?馬の群れが雪の中でたたずんでいたり、雪の下の草を食んだりしているのです。カザフスタンといえば馬のイメージがあったので、ブログのタイトルにもそこからインスピレーションを得ていたのですが、アスタナが想像以上に都会で馬を全く見かけませんでした。そうこうしているうちに本格的に冬に突入したので、本物の馬を見るのは次の春までお預けだなあと思っていたところだったのです。こんなところで出くわすとは。遠くから見るとなんだか牛のようですが、間違いなく馬です。こんなところで会えるのか。

今から思えばこの時から馬との縁があったのかもしれません。そのあとすぐに知り合った方がこの地で乗馬をしていると聞きました。しかもご好意でその乗馬クラブに友達と共に連れていってくださるというではありませんか。カザフスタンでしたかったことナンバー1の乗馬がかなってしまいました。その方曰く、アスタナには3,4個ほど乗馬クラブがあり、施設のレベルはそれぞれのクラブにより全く違うとのこと。今回連れて行ってくださったところはかなりしっかりしているところでした。そしてその後ほかの人から聞いた話も併せて考えると、どこの乗馬クラブでもほっておかれるそうです。

乗馬場にはかなり立派な馬が5頭いて、そのうち一頭は競技の練習でバーを飛び越えたりしており、そのほかにはそれぞれインストラクターさんが横についていました。そのうちの一人と一頭に近づくと、インストラクターさんは馬の上に乗るのを手伝ってくれた後「これまで乗った経験は?」と聞いてきます。牧場の引馬体験は何度もしたことがあるのですが、おそらくそれを聞かれているわけではないようなので、「一度だけ」と答えます。今から10年ほど前にモンゴルの草原でもっと背の低い馬に乗ったことがあるのですが、ほとんど感覚を覚えていません。インストラクターはその話を聞くと、「とりあえず、手綱はこうもって。できるだけ馬の顔に近いところで持つんだ。そう、そして前に進むときはお腹をけって。方向転換は手綱をしっかり行きたい方向に引っ張ったらこいつはわかるから。とりあえず壁際にトラックがあるからその上を歩いてみようか」と優しく教えてくれました。彼は馬をひいてはいないものの、横について一緒に歩いてくれます。なんだ、ちゃんと見てくれるやん、と思っていたら私と同じくらいの経験しかない友達はインストラクターなしで一人で歩いていました。のちに聞くと「基本操作を教えてくれたあとは『行ってらっしゃい!』といわれただけで、そのあと声をかけられることといえば『もっと早く歩きたい?走りたい?』とか『日本って島が何個あるんやっけ?』とか『日本では馬食べる?』とかだけだった」そうです。それは彼女の筋が良かったからなのか、そのインストラクターさんのやる気がなかったからなのかは不明です。私のインストラクターさんはこまめに「もっと手綱意識して」「馬が首を下げても振り落とされないようにしっかり合わせて」とアドバイスしてくれます。一度「日本って馬いないの?カザフではみんな子供の時から乗れるよ」といわれました。本当に!?でも確かに日本では馬に乗る機会はほとんどありません。馬は賢いので、こちらが怖がっていたり反対に調子に乗っているとばれそうだと思い、馬の気持ちになってみることにしました。しかしそうすると「なんで人間を上に乗せなければいけないのだ」という思いでいっぱいになってきたので、申し訳ない気持ちになります。しかし一時間もする頃にはしっかり指示通りに動いてくれるようになり、気怠さもなくなり(はじめは私を乗せて嫌なのかと思うくらい気怠げに歩いていたのです)、すこし心が通じ合えた気がしました。

次の日にはお尻の骨と背筋、腹筋、その他下半身の筋肉が痛みましたが、もっとうまく乗りこなしたいので今後も通おうと思います。ほかの乗馬クラブにも行ってみたいです。

Пока!