馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

お絵描きの時間

Привет!

最近は気温を見て外出する服を決めるのも面倒で、外が曇っていて霧が出ていたら暖かい、外が晴れ渡っていて見晴らしがよかったら寒い、など勝手に決めて防寒着を用意するのですが、先日家を出るときは霧が出ていたのに、エレベーターに乗っている間に霧が晴れて青空まで出てきたのでとても寒かったです。でも雪の後に気温が下がると樹氷がたくさんできるので散歩が楽しく、思わず長時間外にいてしまいます。おかげで今少しのどが痛いです。

お友達から「絵を描きに行きませんか?」とお誘いをいただきました。何を隠そう、私は絵の才能が皆無です。できれば日常で簡単な絵も描くことを避けて生きてきました。美術の成績は悪すぎて記憶から消してしまいましたが、高校で選択しなかったのは確かです。ということで、筆を持つのはおそらく中学生以来になります。そこまで考えたところで、久しぶりに絵をかいてみたくなりました。しかも聞くところによると、手本をまねて書くということです。これなら何とか形になりそう。

アスタナの中心を通るイシム川沿いに、マンション群「ハイビル」があります。外国人が多く住むこのマンション群は、それぞれの建物の一階がスーパーやレストラン、その他いろいろなお店になっているのですが、このハイビルの一角に「コミュニティーセンター」があり、そこではジムやスイミングプール、ヨガ教室などが入っています。そしてそのコミュニティセンターの中に小さなアトリエがありました。 左手直ぐのところにドアがあり、右手にはあと3人ほど並べるスペースが広がっているだけの本当に小さな場所でしたが、居心地はとてもよかったです。壁にかかっている絵は買えるそうで、下に置いてある絵がお手本として使うもの。かなりの種類がありました。先生が一人で一度に教えてくれるので、一緒に受講するメンバーでどの絵にするか前もって決めておきます。今回私たちが描く絵はこちら。 鯉ですね。これは見本です。インスタグラムにどんな絵があるか載っているので、その中から選びます。アスタナはインスタグラム文化で、お店の情報やイベントの情報もすべてインスタグラムで情報収集することが多いです。ここのアカウントは「artspace.astana」で検索!facebookもあるようです。

アトリエに入ると、用意されているエプロンをつけて、キャンパスの大きさを選びます。先ほどの写真のキャンパスは小さいサイズの35×45㎝で、大きいサイズは40×50㎝です。受講料も含めて小さいサイズで書く場合は5000テンゲ(1700円弱)、大きいサイズは6000テンゲ(2000円)ととてもリーズナブル。 夢が広がる真っ白なキャンパス。プラスチックのお皿にアクリル絵の具が乗せられたものが先生から手渡されます。そのあとは先生の指示に従って、筆を使い分けながら絵の具を混ぜて背景を塗り、魚の輪郭を描きました。先生は説明を終えると生徒である私たちのところに来て見回りながら「ここもっと丸くして」「これは細すぎる」など的確に指示を出してくれました。そしていよいよ体の色付けです。見本を見てもらえばわかるように様々な色が混ざり合っているので好きなようにやらしてくれるのかな、と思っていると順番があるようで「まず赤を作って、このあたりに筆をおいてー」と指示されました。途中「青と黄色で何色になるかな?」と聞かれたりもします。 途中経過。絵の具は途中でなくなってもたっぷりもらえるので安心して使えます。色むらがあるほうが「芸術」のようでかっこいいように思ったのでかなり自由に塗りました。何度か見に来た先生は、はじめのほうこそ「ここはもっと赤いほうがいいよ」や「この緑はもう少し濃いほうがよくない?」といっていたのですが、最後になってくると「うーん…好きにしていいよ」といわれました。お手上げだったのでしょうか。ただ、目の色とひげにはこだわりがあるようで「早く目を描いて!」といわれます。目を描いてしまうと表情が決まってしまうのでかなり緊張しましたが、結局私の魚の種類を決定付けたのはひげでした。どう頑張っても細くならなかったひげを持つ私の魚はどこか鯉というよりどじょうに近くなってしまいました。 特に下の魚が。色合いも黒っぽくしすぎたのがいけなかったのかもしれません。それでもやはり自分で描くとかなり愛着がわきます。そんなに悪くないやん。

上手に書けないとストレスがたまるのではないかと心配していたのですが、そんなに変なことにはならず、また周りの人と笑い合いながらかけるので良いリフレッシュになりました。またほかの絵にも挑戦してみようかな。ワインのお店で、ワインを飲みながら絵を描くイベントもやっているそうで、それにも参加してみたいです。

Пока!

日本文化祭

Привет!

先週末はアスタナにしては珍しく気温が高い二日間でした。最高でマイナス1度、最低でもマイナス4、5度ととても暖かく、普段の上着を着ていると熱いくらいでした。今週もそこまで寒くないようですが、木曜日の最低気温がマイナス28度なので覚悟したいと思います。それにしても寒暖差で風邪をひきそうです。

そんな暖かい日曜日、アスタナでは「日本文化祭」と名付けられた日本の文化を紹介するイベントが開かれました。 場所はДворец»Жастар»(日本語に訳すと「青少年宮殿」だそうです)。これまでは「日本文化デー」という同じテーマのイベントをアルマトイで行っていたそうですが、今年からアスタナでも開催されるようになりました。

青少年宮殿に入ってすぐのスペースでは蜂蜜市が開かれており、本当にここで合っているのか少し不安になりながらも、幅と高さと角度が均一でない階段を上って二階へ行くと、ロビーのような場所ではありましたが本当に学校の文化祭に迷い込んだような雰囲気が広がっていました。

事前の案内では、この文化祭でできることとして「日本語の体験講座」「折り紙体験講座」「アニメ/漫画の描き方講座」「本物の忍者による忍術講座」「日本のボードゲーム体験ゾーン」「最新ゲームとレトロゲームの体験ゾーン」「踊りや歌」とありました。え、私も本物の忍者に忍術を習いたい。 強そうな人はいました。日本のゲームやアニメの登場人物なのかな?会場に入るとちょうど舞台ではバンドがクイーンの『We will rock you』を演奏していて、会場は大盛り上がりしていました。私もひとしきりのった後、冷静になって「確かに『ボヘミアン・ラプソディー』は日本でも大ヒットしたけれど、別に日本の歌というわけではないよな」と思いましたが野暮なことは言いません。これ以外の曲はどこかで聞いたことはあるけど名前が思い出せない日本の歌だったり、全く知らない歌だったりしました。日本とカザフではやっているものが違うのかな。

会場のどこを見渡してもお目当てだった忍術講座どころか忍者はいませんでしたが、どのブースもかなりにぎわっていました。日本語講座に関してはアスタナで日本語が学べる施設の紹介のみでしたが、折り紙講座は大人も子供もみんな思い思いの形を作っていました。 やはり鶴や手裏剣が人気のようです。ここに忍術講座ってもしかして手裏剣の折り方だったのでしょうか…?

面白かったのは書道で自分の名前を書いてもらうコーナーです。案内には載っていなかったブースなのですが、どうやら日本語をかけるカザフの人がブースに座っており、訪れた人の名前を聞いては漢字を当てたりカタカナにしたりして、半紙に書いて渡すということをしているよう。 ただでさえ筆で書くのは難しいのに、この人はとてもきれいに書いていました。会場内ですれ違った人たちの多くが自分の名前の書かれた半紙を手にしており、やはりこのようなパフォーマンスは人気が高いことを改めて実感しました。

そういえばアニメの書き方講座も見当たらなかったのですが、浴衣を着て写真を撮れるブースもとても人気がありました。これも案内には載っていないのですが、あの案内を見てきた人はあまりの内容の違いに怒りださないのでしょうか。 ロシアにいるときも思ったのですが、カザフの人も写真を撮るのが好きですね。時間制限がなかったこともあり、一度着せてもらった人たちは携帯電話のカメラロールがほとんど自分の姿で埋まってしまうのではないかというほど写真を撮っていました。私自身は着なかったのですが、その場にいるともちろん写真を撮るのを頼まれます。ワンポーズで何度かシャッターを切り、確認してもらうと「もっとこっちを写してくれ」だの「光はこっちから入るほうがいいからこちらから撮って」だの、注文も多かったです。何度か「もしかして日本人ですか?」と聞かれました。やはりわざわざここに足を運ぶ人なので「こんにちは」「ありがとう」などは知っている人が多く、中には「さようなら」という人もいました。一度は「私は中国語を習っているのですが、あなたに中国語で話しかけたら理解できますか?」と聞かれました。そのほかにもテレビ取材が来ていて、着付けの様子を至近距離で撮影していたり、着ている人にインタビューをしていたり、関心の高さがうかがえます。 ステージの様子。ちょうどバンドが出ていないときに撮ってしまいました。ゲームコーナーも人が多く、近づけないほどでした。歴代プレイステーションは全部あったのかな。そういえば街中で見かけるインターネットカフェの看板には時々「PS4」と書かれています。入ったことはありませんが、ゲームをしにインターネットカフェに行く人も多いのかもしれません。 かろうじて撮れたゲームコーナーの入り口。

日本人が少ないアスタナでもこうやって日本に対する関心が高いのはうれしいですね。これからもどんどん相互理解が深まるように願ってやみません。

Пока!

ワンランク上のお土産が買えるお店

Привет!

この間ふらっと入ったカフェで注文を終えると、店員さんに「どこの方ですか?」と聞かれました。「日本人ですよ」という答えを聞いた彼はとてもいい笑顔で「こんばんは!」と店中に響くような声で日本語の挨拶をしてくれました。午後1時だったのですが、日本語を知っていることに驚きました。「どこでその日本語を…?」「アニメで覚えたんです」と彼。その後も注文した料理を運んできたかと思うと「いただきます!」といいながら私のテーブルに料理を置きました。…うーん、どれも絶妙に惜しい。こういう時に訂正すべきかどうか、どう訂正すればいいか、いつも迷います。日本語を知っているよと披露してくれる気持ちだけでとても嬉しいのに、せっかくなら正しく使ってほしいというのはエゴなのでしょうか。でも私のロシア語が間違っているときには直してほしいのです。そんなことを考えているうちに、この時も結局訂正はできませんでした。

帰ろうとすると先ほどの店員さんに「あの、日本人ということは○○さんご存知ですか?」と尋ねられました。この手の質問はモスクワでもよく受けていたのですが、あちらでは毎回「モスクワにも意外とたくさん日本人が住んでいるので、全員は知らないのです」と答えていたのですが、アスタナではこれまで2回聞かれて、どちらも知り合いの方の名前が出てきたので驚きました。この街では日本人が少ないので、自分の国籍を言うと目立ちます。悪いことはできません。

さて、先日この記事でカザフスタンで買えるお土産を紹介しました。 mickymm.hatenablog.com 例えばカザフスタンを旅行した後、自分のための旅のちょっとした思い出としてのお土産や、周りの人に配るためのお土産は上の記事のお店でも買えるのですが、ちょっと高級感があるものが欲しい時にぴったりのお店を教えてもらったので紹介します。

そのお店がこちら、"The Empire"。リンク先のホームページからはカタログも見ることができます。アスタナには店舗が三つあり、下の写真はそのうちの一つ、ショッピングセンター「ケルエン」に入っているお店の入り口です。 扱っている商品も多岐にわたり、ネクタイやスカーフ、ノートにカードケース、食器やアクセサリー、壁掛け時計からチェスまで気に入るものが一つはあると思います。デザインは一目でカザフのものだとわかるものもそうでないものもありますが、ここではせっかくなのでカザフっぽいものをご紹介しましょう。

こちら、馬の蹄鉄の柄が入ったネクタイ。 かつて旦那がもらってきたものなのですが、こんなカザフっぽいネクタイがどこで手に入るんだろうと思っていたらここにありました。

また、私は文房具が好きなのですが、一目惚れしてすぐに買ってしまったノートがこちら。 どこか壁画を思わせるような細かな模様が描かれており、目立たないような場所に「カザフスタン」とカザフ語で書かれているのも気に入っています。こちらで売っているノートはカバーが綺麗でも中は真っ白のことが多いのですが、このノートは中の紙にも上下に表紙と同じような馬や人が描かれているので、文字を書く時でも目に楽しいのです。

食器も通常の形のものからユニークなものまで様々な種類があります。カザフ文様がついている食器は思わず買ってしまいそうでした。中でも面白かったのはこちら。 写真は公式ホームページからお借りしました。「アスタナ」という名前がついた茶器セットなのですが、国旗の色が使われていることだけでなく、アスタナでよく見かける不思議な形の建物を象徴するような造形が、まさに「アスタナ」の名にふさわしい一品です。

カザフ文様が使われている商品は他にもあります。 左奥に見えているカードケースも素敵です。スマホケースからノート、USBに至るまで、お洒落な文房具もたくさん売られていました。それにしても、このお店は様々な形のUSBを作っています。上の写真のような正方形のもの、キーホルダー状になって丸いものに三角のもの…そして単体でも買えるのですが、セットで置かれていることが多いのです。マウスパッドとのセットはまだ理解できるのですが、ノートとペンとUSBのセット、ペンとUSBだけのセット、そしてブレスレットとセットで売られているUSBを見たときには自分の目を疑いました。…そんなにUSB使う…?(ちなみに容量は8Gバイトか16Gバイトです) 綺麗なんですけどね…なんでここをお揃いのデザインにしたのでしょう。

お店の中にはなぜかロシア連邦を構成するタタールスタン共和国の首都、カザンをデザインしたノートなども売られていて「紛らわしいな」と思ったりもしました。ツッコミ待ちなのでしょうか。

なんにせよ、デザインが洗練されているのでなにか欲しくなってしまう、そんなお店です。ケルエン以外にも万博跡地近くのショッピングセンター「メガ シルクウェイ」やマンション「ハイビル」などにも入っています。ちょっと良いカザフのものが欲しくなったらぜひ!

Пока!

氷点下20度の外遊び

Привет!

今日はロシア正教でのお正月です。ですが、クリスマスの時も今日も街中は通常営業で、ムードも全くありません。やはりイスラム教徒が多い国だからでしょうか。3月のイスラム教のお祭り、ナウルーズが今から楽しみです。

ということで、年末年始のアスタナをご紹介します。 先日の『ノートルダムの鐘』を上映したピラミッドの前の風景です。ここは「独立広場」という場所で、周りには大学や劇場、国立博物館などがあります。
アスタナは去年がちょうど20周年で、街中のいたるところに「20 ASTANA」というモニュメントがあるのですが、年末になって突然「20」と「ASTANA」の間に「19」が入ってきて(写真参照)、新年を祝うモニュメントに昇華しました。今年は21年目のはずですが、20周年のモニュメントを置き続けるか、乞うご期待。
写真のクリスマスツリーの足元は普段はがらんとした広場でも今は期間限定でスケートリンクができています。そばには小さな滑り台も。本当に土地はたくさんあるなあ。

ピラミッドの反対側にはとても長い滑り台もあります。 これは全て氷で作ってあるものの周りにブルーシートをつけているのです。この滑り台も夜になると光ります。さすがアスタナ。

休日に行くとみなさん思い思いのソリやチューブと呼ばれる柔らかいタイヤのようなものを持って遊びに来ていました。周りではスノーモービルの後ろに4、5人が乗れるようなゴムボートを繋げて、ピラミッドの周りを走ってもらうアトラクションをしていたり、ロバが引くソリに乗れたり、外気温が氷点下20度前後でも大人も子供も一緒になって遊んでいます。私たちも滑り台を経験しようと思い、こういうところには必ずある道具を貸してくれるお店を探したのですが見つかりません。すると、滑り台の近くで人だかりができているところに遭遇しました。 その中心には蛍光の黄色いジャケットを着た人がたくさんチューブを持っています(写真で手前の子供が乗っているものがチューブです)。声をかけて借りようと思ったのですが、順番も何もないので、気が弱い私たちはチューブ競争に勝ち抜けませんでした。やっと人だかりがなくなったと思うと係りの人の手にはチューブが一つも残っていません。お店であれば身分証などを預けてきちんと返却してもらうシステムが確立していますが、彼一人でどうやって管理しているのか少し疑問でした。今回は滑り台を諦めて、遊んでいる子供達を眺めます。 楽しそうだなあ。こんなふうにコースが作られていないところでも、少しでも坂道があればみんな勝手にチューブなどを持ってきて滑っています。

こんなふうに街中にはまだたくさんクリスマスツリーと滑り台があります。 これはショッピングセンター「ケルエン」の前にあるツリー。この周りでは常に音楽が流れており、ツリーも実はゆっくりと回っています。ツリーにぶら下がっているブランコのような椅子に座って冬の寒さを楽しんでいる人たちもよく見かけました。それにしてもツリーの作り物感と対照的な手前のトナカイの顔。どうしてこんなにリアルに近づけたのか不思議です。

ユーラシアバザールでは年末年始限定で写真スポットができていました。 この国におけるサンタさんの立ち位置が気になります。彼は宗教的なものを背負っていないようです。これもソ連時代の名残でしょう。

この隣ではツリーを売っていたのですが、上につける星やピカがなかったのか、 なぜか全てのツリーがアイアンマンのお面をかぶっていました。可愛かったです。

さて、うちのツリーもそろそろ片付けなきゃなあ。

Пока!

ミュージカル『ノートルダムの鐘』

Привет!

今日は年がまだ明ける前の話です。ロシア語の先生から突然「ミュージカル見に行かない?演目は『ノートルダムの鐘』で、私の他の生徒も行くんだけど、もしよかったら」というメッセージが届きました。私はミュージカルが好きなので、二つ返事で「行きます」と返し、一緒に授業を受けている友達はミュージカルは苦手なようでしたが、挑戦するということで二人とも参加することになりました。旦那も初めは行くといっていたのですが、彼はあまり舞台が好きではない上に、事務のお姉さんも行きたいと言い出したので旦那の分の席を彼女に譲ることに。そこまで決まって、チケットを取ってくれた先生にお金を払うときになって衝撃の事実が明かされます。

「あ、これカザフ語だから」

…いやいや、先生ってロシア語の先生だよね?私たちにカザフ語を教えているわけじゃないよね?と問い詰めそうになる私たちに「あ、でもほらロシア語の字幕あると思うし」と先生。まあ、カザフ語のミュージカルなんてカザフでしか見ることができないし、いい経験になるかもしれない、と無理やり自分を納得させます。 会場はここ、アスタナにある奇妙な建物の一つ「平和と調和の宮殿」…通称「ピラミッド」(そのまま)。世界の宗教の指導者が会議をした時に使われたと聞いたことがあるのですが、今回はこの中の観光はできていないので、詳しいことはまた調べて書こうと思います。入ってすぐのロビーで先生と彼女の生徒さんたちと待ち合わせました。あってみるとその生徒さんたちはトルコ人だそうで、ロシア語は始めたばっかりなので通じないということでした。…そりゃトルコ人ならカザフ語のミュージカルでも見に来るよね、と少し不貞腐れた気分になります。カザフ語はロシア語よりもトルコ語に近いので、耳で聞くと大体理解できるのだそうです。現に彼らは先生とカザフ語で話していました。ロシア語と日本語しかわからない私たちにとっては圧倒的に不利な状況。 なぜか関係者入り口がある地下一階のみに置かれていた看板(を上からとったもの)。いよいよ開演時間になったので席に着きます。舞台の周りに字幕が出てきそうな機械が全くありません。先生、どうしろと…!もうこれは歌の世界に浸ろうと、ワクワクしながら待っていると会場が暗くな…らずに、舞台の上に司会者とスーツを着た男性が上がりました。そして司会者が「『ノートルダムの鐘』カザフスタンでの初演にようこそ!」とカザフ語→ロシア語の順で話してくれました。これ初回なのか。そして「これを記念しまして、カザフスタンの文化大臣からお言葉をいただきたいと思います」と続けるではありませんか。え、大臣!?ここ一般客入って大丈夫なの?大臣は「中央アジアで、初めて土地の言葉を用いた『ノートルダムの鐘』が上映されます!カザフ人のみで、カザフ語による、フランスの名作の上映は大変光栄なことです。フランスから作曲家や演出家にお越しいただき、尽力いただきました」というようなことをロシア語で話しています。そこはカザフ語ではないのか。カザフに住む人でもカザフ語のほうが得意な人、ロシア語のほうが得意な人、様々な人がいると聞きます。大臣は後者なのでしょう。そして次にフランス大使が通訳と共に登壇しました。いよいよ間違ったところに来てしまったのではないかと心配になります。フランス大使ははじめこそフランス語で、通訳がカザフ語に訳していましたが、スピーチのほとんどはカザフ語で行いました。所在なさげな通訳。一方で観客のカザフ人たちは大興奮。フランス大使が一文話すごとに歓声を上げます。やっぱりカザフ語も話せるほうがいいのかな。内容は全く分かりませんでした。

いよいよ会場が暗くなります。さて、これまでいろいろなミュージカルを見てきましたが、ノートルダムの鐘ははじめてだったので家を出る前に予習しました。もともとあるミュージカルなので、日本の劇団四季のように話の流れは変えずにカザフ語にしているのだろうという判断のもと、劇団四季のホームページにあるあらすじを読みました。 www.shiki.jp

幕が開くと青いコートを着た男性が朗々と歌い始めました。ステージの上には主人公カジモドの心の友だというガーゴイルの石像も置かれているので、彼がカジモドかな、と思いながら舞台を見つめます。もし彼がカジモドだったら全然醜くないけれど、むしろかっこいいのではないか、と思っていると一幕の中盤になってやっとあからさまに「醜い」人が出てきました。真っ赤なぼろを着て。ぼろ、という言葉のイメージを覆すような色合いなのですが、どう見ても彼がカジモドでしょう。じゃああの青いコートは誰だ…?と思っていると、カジモドを引き取った聖職者のフロローも、ジプシーのエメラルダも、警備隊長でエメラルダと恋に落ちるフィーバスも、なんならジプシーの人気者でフィーバスと対立してエメラルダを取り合う男性(おそらくオリジナルキャラ)まで出てくるではありませんか。言葉が分からないので青いコートの男性の立ち位置も分からないまま、休憩時間になりました。人物だけではありません。ストーリーも私が予習していったものを追っていくとどうしても話がつながらないのです。休憩時間になった瞬間友達と「今何がどうなっているの?」という話をしあいました。先生とは席が離れていたので聞きに行けなかったのです。 原作の「パリのノートルダム」のウィキペディアを見てみると、一番このストーリーが近いという結論になりました。ということは楽曲や衣装もすべてオリジナルか。そのためにフランスから人を呼んだのか。原作のストーリーに少し現代のデモのような要素を入れていたり、二人が心情を歌で吐露するところでは一人を影で表現していたりと工夫は見えるのですが、衣装の時代設定がバラバラなことと青コートの男性の存在意義に疑問を持ってしまったためにあまり入り込めませんでした。 そういえば現代的な解釈を入れてくるミュージカルはロシアでも見た気がします。 mickymm.hatenablog.com

普段であれば少々ストーリーが破綻していても、言語が全く分からなくても、歌の力で引き込まれるのですが、今回はあまりうまく作用してくれませんでした。今度は見たことがあるミュージカルのカザフ版に行ってみたいです。

後日、授業があったので先生に「あの青いコートは誰ですか」と聞いてみると、「私もよくわからなかったけれど、あなたたち原作は読んだことある?ビクトル・ユゴーの作品よ!名作だからぜひ読みなさい。私が若い頃はテレビも携帯電話もなかったからみんなの楽しみは本かダンスパーティーだったのよ」と強引にごまかされました。先生も分からなかったのか。

Пока!

すもうさん

Привет!

先日、1月7日はロシア正教のクリスマスでした。カザフに住む人の中にはロシア正教を信じている人も少なくないので、ロシアと同じくこの日は祝日です。イスラム教の祭日もお休みになるので、宗教関連のお休みが多い気がします。

さて、アルマトイ旅行記もいよいよ最終回です!最終回なのに題名を見て疑問に思った方も多いことでしょう。ええ、最後の最後に日本食屋さんへ行ったのです。 『地球の歩き方』にも載っているこのお店は、街の中心街から少し外れたところにあります。写真では暗くて少し見えにくいですが、手前に日本風の橋が架かっています。下に流れる川は完全に凍っていたので歩いて渡れそうですが。

橋を渡ると江戸の下町のような、長屋風の建物の間を奥へと進み店の入り口へと向かいます。雰囲気はもう日本です。ただ季節柄クリスマスソングが流れていたのと、その建物の間がミラーボールでキラキラとしていたことを除けば…。 店内。良い意味で和洋折衷だなあと思いました。提灯が良い味を出していますね。たまたま人がいないところを撮りましたが、この場所以外は子連れのお客さんで賑わっていました。前回のことがあったので、一応電話で予約をしていたのですが、用意されていた席では子供達が遊んでいたので店員さんが慌てて新しい席を作ってくれます。店員さんの対応も良かったです。

さあ、メニューを見ながら注文をしましょう。豊富なメニューに「ほんまにこれ全部あるのか…?」と疑ってしまいますが、頼んだものは一つも断られなかったので驚きました(レストランで注文したものが「今日は用意できない」と言われることはよくあります)。 まずは定番のお寿司。チーズ入りだったりお米が外に出ているものがなく、本格的です!かなり感動してしまいました。チーズ入りもロシアっぽくて好きですが「日本食」と謳っているからにはちゃんとしていて安心します。

そしてなんとざる蕎麦。モスクワにいるときに丸亀製麺のうどんはありましたが、蕎麦は初めて見ました。蕎麦の実を付け合わせでよく食べるのに麺の蕎麦がないのはいつも不思議だったのです。こちらは蕎麦自体は美味しかったのですが、つゆが甘めの味付けで好みが分かれそうでした。カザフの人には喜ばれる味かもしれません。つゆがキンキンに冷やされているのは嬉しかったです。

日本食料理やさんに天ぷらがあればいつも頼んでしまうのですが、これまで天ぷらが出てきたことはありません。必ずエビフライなのです。このお店でも挑戦してみました。 やっぱりエビフライ…。立派なお頭は付いていますが、衣が違うよ。と思ったところで、これまでとの違いに気がつきました。隣に置かれた茄子はちゃんと天ぷらになっているのです。…もしかして天ぷらの技術はあるけれど、海老の天ぷらはこちらの人に受け入れられないのでしょうか。だから分かった上でわざわざエビフライにしているのかもしれません。ちなみにどちらもとても美味しかったです。

お支払いの時に、例によって店員さんに「日本人のシェフがいるのか」と聞いてみました。それくらいのクオリティだと思ったからです。すると「シェフはカザフ人だけど、2、3ヶ月に1度日本に行って学んでいる」という話をしてくれました。なるほど。ちなみにハンバーガーやピザなどもありました。

お店を出る時に目に入った看板です。 「中央アジア最古の日本料理店」…そうなの!最古というだけあって歴史も長いのかな…と思ってよく見てみると"since 1997"の文字。結構最近やな。

このお店から直接空港に向かいました。やってきたタクシーの運転手は、空港に近づくと「実は空港に初めてくるねんけど、どこから入るの?」とこちらに聞いてきます。いや、私たちも初めてや。みんなであっちじゃないかこっちじゃないか、と言い合いましたが、そんなに大きな空港ではないのでスムーズに入り口が見つかります。

初めてカザフスタンのアスタナ以外の街にやってきましたが、アスタナでは感じられなかった「旧ソ連圏」であるということをひしひしと感じられました。本当にアスタナは最近できた街だということも。次は違う季節に行って、郊外の大自然も堪能したいです。

Пока!

シンブラクでスキー

あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いいたします。今年もいろいろな場所へ行きたいと思っているのですが、その前に去年やり残したアルマトイの旅行記をまとめてしまいたいと思います。もうしばらくお付き合いください。

アルマトイで何をするか決めずにとりあえず2泊3日の予定で飛行機とホテルをとっていました。車で4,5時間走った郊外に雄大な自然が広がっていると聞いたので、そこに行くかと悠長に考えていたのですが、調べてみると12月はそこへのツアーがお休みでした。というわけで、行くところがなくなった私たちは、あまり情報がない地球の歩き方を片手に気が付けば二日目の午後にはショッピングセンターに立っていました。入っているお店も雰囲気もアスタナとそっくりです。極めつけはふらりと入ったスターバックスに置いてあったご当地マグカップ。なんとそこには「アスタナ」と書いてあって目を疑いました。いやなんでやねん、ここアルマトイやろ。

こんなことではだめだ、せっかく来たのだからアルマトイらしいことをしようという話になり、三日目は予定にはなかったスキーをしに行くことに決定。こんなことならスキーウエア持ってきたのに。 前日に行ったメデウのスケートリンクの少し下にあるゴンドラの入り口。今回は市内からバスで上がります。バスなら40分ほど。カザフスタンホテルの向かいのバス停から12番バスに乗ると着きます。バスの中にはスキーやスケートに行く大学生くらいの人が多く乗っていました。バスの座席は争奪戦です。山道なので座ったほうが楽なのですが、運賃を払っている間に席はすべて埋まってしまいました。

ゴンドラの昇降口の目の前にスキーレンタルのショップがありました。以前、スキーの用語をロシア語で教えてほしいという要望があったのでいくつか載せますね。 レンタル…прокат (プラカット)
スキー…лыжи(ルィージュ)
スノ―ボード…сноуборд (スノウボルド)
身長…рост(ロスト)
体重…вес(ベス)
サイズ…размер (ラズメール)←この三つは必ず聞かれます。数字を言えるようになっておくとよりいいですね。ちなみに私は足のサイズが23.5㎝ですが、こちらではサイズ38がぴったりです。 もしこれ以外にも知りたい単語があればコメントにどうぞ。

ゴーグルもいる?と聞かれたのでレンタルし、私は持参した秋用のニット帽を、旦那はレンタルショップの横にあったスキー用品のお店で帽子を購入。そんなことをしているとスキーズボンを借り忘れました。ジーンズで挑むスキーは初めてです。転んでしまえば最後、びしょぬれで市内へ戻る羽目になると思うと緊張感が生まれました。

スキー場で使える4時間のリフト券を購入し、シンブラクというスキー場へ向かいます。このシンブラクとメデウをつなぐゴンドラは4時間の制限外だそうです。ゴンドラ内ではロシア系のカザフ人(アルマトイ出身だそう)の女性二人組と一緒だったので、アルマトイでのおすすめスポットやアスタナの話などで盛り上がりました。アルマトイではバーニャに行くといいそうです。 スキー場に到着!レストランやスキースクールなどで賑わうこの場所にはなんとフランスパンのお店「ポール」が出店していました。モスクワで慣れ親しんだお店にこんなところで再開するなんて。フォトスポットではもちろん本物の鷹が羽を広げたり閉じたりして観光客を待っています。スキー場でも鷹が登場するのか。

それからリフトを二つ乗り継いでとりあえず山の頂上へ向かいます。このスキー場がユニークだと思ったのは、リフトとゴンドラが同じ線でつながれており、利用者は自分で好きなほうを選べるところです。 この写真でうまく伝わるでしょうか。手前にあるのがリフト、後ろに控えているのがゴンドラです。私たちは装備が不十分だったので、暖かいゴンドラを迷わず選びます。また夏にはこの山はトレッキングコースになるらしく、冬でもただ山頂からの景色を楽しみたい人たちがスキーやスノーボードをつけずゴンドラに乗り込んでいました。

頂上に着くと、なんとユルタがありました。 こんなところにまで…。カフェになっているようで、暖かいコーヒーなどが飲めるそうです。しかしここまでユルタをもって上がってくるのも、組み立てるのも大変だったに違いありません。遊牧民って山の上にも来るのでしょうか。

さあ滑り始めましょう。 あいにくの天気でしたが、山が好きな私にとってはいい景色の中スキーを楽しめました。雪質はよかったのですが、上に行けば行くほど標高が高いからか(レストランやスクールがあるのが標高2200mだそう)、コースの一部が凍っており、なんどかうまくカーブできずにヒヤッとしました。もう少し寒かったら氷もできにくくなるかもしれません。

ジョージア以来のスキーでテンションが上がったので何度も滑りたかったのですが、ここにきて前日の840段を上り下りしたことが効いてきます。筋肉痛になり、普段の運動不足を思い知らされることになりました。それでもとても楽しかったです。コースの幅が広くなったり突然狭くなったりと不安定でしたが、工夫も多く飽きないスキー場でした。こんどはスキーをするつもりで行きたいです。

Пока!