馬耳風風 (ばじ カザフう)

2016年7月末〜 2018年8月 モスクワ/2018年10月〜 カザフスタンのアスタナ

島の北へ

Привет!

カフェで宿題していたら、横に座ったごついおじさんに「なあロシア語難しい?難しいやんな?」とよく分からない絡み方をされたミッキーです。

さて、いよいよバイカル湖の上に立つ最後の日になってしまいました。ツアー4日目はオリホン島の北に行くようです。この日は空が綺麗に晴れたこともあって、あれだけ寒い寒い言っていたのが嘘のように快適に過ごすことができました。もちろん服装はこれまでと一緒でしたが、写真写りを気にして帽子を外してもなんともなくなったのです!気温はあまり変わらないのでただ慣れたのでしょうか。

昨日のストゥーパへの祈りが通じたのか、この日は本当に綺麗な青空でした。 これ!この写真が撮りたかったのです!青い空に青い氷。夢のような世界でした。

横では中国からの観光客がウエディングドレスで撮影していて寒くないのかとびっくりしましたが、そうしたくなるのも納得の景色です。ここでしばらく遊んだ後は、車でまた移動しました。 通称「ワニ岩」です。バイカル湖自体がかなり広いせいで、大きな岩のはずですが規模がわからなくなってきました。ここから遠くの方で牛が草を食んでいるのまでよく見えます。

今から向こうの「ライオン山」にも行きますよ、と言われて近かったので歩くのかと思ったら車に乗れと言われて結構遠かったことを思い知りました。 ライオン山では頑張って上に登ったのですが、思ったより高く、石山にうっすらと雪が積もっているので登る時も降りるときもいつ足を滑らすかとヒヤヒヤしました。この写真で上に写っている黒い影は友達です(横に私もいますが)。これでこの山の大きさがわかってもらえるのではないでしょうか。ちなみに上は鳥の巣が大量に作られていました。

ここからはかなり揺れる車でお昼ご飯(ピクニック)会場の森まで1時間近く走ります。車の中では運転手さんの趣味でBGMが流れているのですが、それがガンガンのパーティチューンで、揺れと相まって乗っている私たちは少し辟易しました。しかも聞いていると、失恋ソングだとわかる歌詞になった瞬間に運転手さんが次の曲に変えてしまうのです。もうちょっと落ち着こうか。私の横にいたナターシャは「あなた、もっとバイカル湖っぽい歌を流したら??観光客の気分も上がるでしょうに」とアドバイスしていました。

昨日みたいに車の中で食べるのかと思っていたら、連れてこられたのは林の中。 ここで焚き火をおこして、-17度くらいの中で食事をとりました。ほんまにピクニックやん。昨日も吹雪いていなかったら外で食べたのかな…。今回のメニューは「禁断の」オームリではなく、ピラフのような感じでした。

食べ終わってすぐまた車に乗ります。なんとか酔わずにバイカル湖らしい綺麗に氷がせり上がっているところまで行きました。 もはや危ない。この日はほとんど氷の上での撮影ばかりでしたが、この日のためにバイカルまで来たんだ!と言えるくらい充実した日でした。

帰りの車に戻ると、ある女性が頭をおさえていました。ガイドのユーリャさんがどうしたのか尋ねると「こけておでこを打った」とのこと。はたから見てもわかるようなたんこぶが出来ています。そこでユーリャさんはすかさず「これで冷やして!」とそこらへんの氷を手渡していました。氷で頭を打った人にその氷を差し出すのか…。横で旦那が「そういえば血痕をみた」と言っていて戦慄が走ります。もともと氷は滑りやすいのに、ここは尖った氷が突き出しているので歩く場合は本当に気をつけてください。

もう後は一路ホテルまで帰るだけです。この日の夕食は少し早めだったので、夕食後に近くのカフェ(と言っても暗闇の中を15分ほど歩くところ)でオームリのフライをお持ち帰りで買えるという情報をもらい、みんなで出かけます。 こちらがそのオームリ(上に乗っているのはイルクーツクで1日目に買った魚の干物です)。どこからか調達したお箸を使いながら、友達が開いていきました。そして一口目を食べた友達が一言。

「おにぎりの味がする」

ちょっと何を言っているのか分からなかったので私も食べてみましたが、まさしく「おにぎり」というか「家庭で作ったおにぎりに巻いた海苔」の味でした。というのも、その時飲んでいたのが この不思議なビール。これはオリホン島のスーパーにあるお酒コーナーにしれっと並んでいたものです。このビール自体はお米の味はしないのですが、オームリと一緒に飲むとおにぎりを食べているような感覚でした。こうやってオリホン島最後の夜は更けていきます。

Пока!

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ラディヤ

Привет!

ロシアでは3月からが暦の上での春だそうで、外は-20度だというのに「今日は冬の最終日ですね!」とニュースでも学校でも言われた2月28日。今日3月1日は春の1日目であるとともに猫の日だそうです。メトロでもらう新聞が猫だらけでちょっとびっくりしました。

バイカル旅行記の真っ最中ですが、今日はオススメのイベントについて書きたいと思います。その名もЛадья(ラディヤ)。 国内の35地域から集まった、700もの工房や作家が参加する民芸品市場展です。年に二回、春と冬に毎年行われているそうです。今回は高層ビルが立ち並ぶモスクワシティの足下にある「エクスポツェントル(Экспоцентр)」で2月28日から3月4日まで開催されています。その初日に友人に誘われていってきました。

私は学校があったので、先に行っていた友人と会場内で合流することに。入り口で200pを払い(メトロの駅から行けば、入場券を配っていたそうです)、施設内でいくつも開催されている展覧会の中からラディヤを探して会場に入りました。

…めっちゃ広い。ゆっくり見て回りながら友人を探そうと思いましたが、あまりの人の多さと会場の広さに「これは自然に合流するのは不可能だ」と判断して連絡しました。

民芸品だけかと思っていたら、服やぬいぐるみ、ポテポテ歩くヴィニープーハ(ソ連版クマのプーさん)やムーミン、そして食料品まで幅広く取り扱っていました。かなり長い列ができていたのはカムチャッカのイクラ屋さんの前。ハチミツ屋さんも多かったです。 左奥の人だかりがいくら屋さん。右のハチミツ屋さんのおじさんが素敵で思わず撮ってしまいました。

35の地域から集まっていることもあって、タタールスタン共和国(首都はカザン)のコーナーや、この前行ったイルクーツクの食料品コーナー、ウズベキスタンの食器や刺繍などもあって、見ているだけで楽しかったです。私は刺繍に目がないのですが、美しい刺繍が施されたシャツもたくさん売られていて一枚買いそうになりました。値段を尋ねてみると「9000p(18000円)です。全て手縫いなので」と言われ、泣く泣く諦めましたが。

ロシアらしい綺麗な模様が描かれた小物屋さんもありました。 真ん中にある馬の模様が描かれた壁掛けの飾りに一目惚れし、気がついたら買っていました。同じ模様の小箱や、踏み台、小さな椅子まであって、お客さんが絶えない素敵なお店です。また、こんなに繊細な模様なのに思ったより安く、手が出しやすかったのもありがたかったです。

もちろんマトリョーシカ屋さんやグジェリ屋さんもありました。そのうちの一つの工房で念願の卵おきをゲット。 これ一つで200p(400円)です。昔旦那が「朝ごはんにこれでゆで卵が出てきたらいいなあ」と呟いていたので今朝突然出してみたのですが、彼は寝ぼけていたのか反応が薄くて少し残念でした。でもこれからお洒落な朝食を楽しめそうです。

本当に広くて、店舗数もかなりあるので見ているだけでもすごく楽しいです。なかなか行けないところの伝統工芸品も実際に手にとって見ることができる素敵な機会だと思います。あと3日ですが(通常は10:00-19:00、最終日は17:00まで)この機会にぜひ。ホームページはこちらです。

Пока!

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島の南へ

Привет!

モスクワはこの間-26度というこの冬の最低気温を記録したそうです。モスクワっ子から「バイカル湖を経験した後だったらこんな寒さへっちゃらでしょう?」と言われるのですが、寒いものは寒いです

でもやはりずっと-20度以下で氷の上にいると慣れるもので、ストゥーパを見た後すぐに車に戻らずに氷の上に積もった雪で遊んでいました。雪の上に字を書いてもよし、ちょっと雪を除けて吸い込まれるように深い青の氷を見つめてもよし。 氷の中に雪が閉じ込められており、かなり幻想的です。そして雪を除けて初めて「そういえば私は今氷の上に立っているんだ」と実感できました。

一緒に来れなかった共通の友人の名前をみんなで雪の上に書いていると、それを見たツアーのメンバーのイリーナが「何を書いているの?」と聞いてきました。正直に答えると「それはいいアイデアね!私も息子たちの名前を書くわ」といって書きはじめ、写真に撮って息子さんたちに送っていました。時々観光名所での落書きが問題になりますが、バイカル湖なら落書きし放題です。また雪が降れば消えてしまうし、そもそも春がきたら今立っている場所も湖に沈んでしまうのですから。

ちなみに氷の上に立っているとわかる写真をどうしても撮りたくて一生懸命手で雪を除けていると、ガイドのユーリャさんがブラシを持ってきてくれました。 そのブラシで撮影場所を作っている友達と邪魔をしているのか手伝っているのかわからない旦那。このブラシ以外にもわらで作った箒も準備されていて、ここに来る人の需要もしっかり押さえているのだなあと感心しました。みんなで大きなスペースを作り、そこに放射線状に寝転がって青春っぽい写真を撮ったり、楽しかったです。

車に戻ると、運転手さんが鉄でできた器にアルミに包まれたものを入れ、パンにチーズを乗せたものとともに回してくれました。噂のピクニックです。 アルミの中には茹でたじゃがいもと、白身魚のハンバーグらしきものが入っていました。運転手さんに「なんの魚ですか」と尋ねると「…オームリ」本当に!?数が減っているから禁止じゃなかったっけ?と思いながらも、それはもうかなり美味しかったのでパクパク食べました。食べ終わった頃に「紅茶いる人?」と前から熱い紅茶まで回ってきて、車内という狭いスペースではありましたが想像よりも快適なピクニックでした。

無事にみんな食事を終えると出発です。道中、運転手さんが色々とお話をしてくれていましたが、結構な騒音を立てて車が走るのであまり聞こえませんでした。一つだけ聞こえたのは「ロシア革命が起こった時、帝政時代の貴族や白軍の人たちがシベリアへ逃げてきた。厳しい行軍の最後に待っていたのはこのバイカル湖。冬だったから歩いて渡れたが、あまりの厳しい寒さに氷の上で25万人もの人が凍死した。春になって氷が溶け、彼らはバイカル湖の水底に沈んでしまった。この氷の下には彼らが眠っているんだよ」という話でした。噂では聞いたことがありましたが、本当だったのか…。

そうこうしているうちに着いたのは、オリホン島の南端、ホルゴイ岬でした。 緩やかな丘になっているので、またみんなで軽いトレッキングが始まりました。一番高いところで、ユーリャさんが説明を始めます。「ここは5世紀まで人が住んでいたと言われています。ただ、見ての通り何もない場所なので、どうやって暮らしていたのか何もわかっていません。時々学者が調査に来ますが、あまり興味を引くものが見つからないのか研究はそんなに進んでいません。ここで少し自由時間です。何か遺跡でも発見したら大手柄ですよ」…そんな簡単に見つかるかな。

ちょっと先へ進むと崖でした。 覗き込むと思ったより高さもあって少し緊張します。本当にここで人が暮らしていたとはなかなか信じがたい場所でした。

今日の予定はこれで終わり。ホテルに帰るまでにいくつか透き通った氷の撮影スポットで止まりながら、17:00前には部屋に帰れました。この日はイリーナさんの連絡先を交換することができたので、食事の時間なども彼女から教えてもらえるようになりました。こういう時人脈は大事ですね。

最後に氷の上にずっといた、綺麗な(おそらく)野良犬の写真を。 人間が来ても怖がりもせず、反対に懐きもしない、そんな生き方を少し見習いたくなりました。

Пока!

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予定は未定

Привет!

今日はここ1番の寒さで最低気温が-24度らしく、晴れているのも納得です。それにしても年によっていつ寒くなるか読めないのはなかなか困るなあ。

私たちがオリホン島で泊まったのは「バイカル」というホテルでした。 写真に写っているのがメインの棟で、管理人さんなどもここにいます。4部屋でシャワーとお手洗いが共同。この棟の横にアパートのような建物があり、そこはシャワーもお手洗いも一部屋ずつ付いています。そしてこのアパートの裏に食堂棟があり、それぞれ徒歩30秒くらいで着くのですが、ご飯のためだけに毎回完全装備をするのが少し手間でした。私たちはツアーの申し込みが少し遅く、メイン棟は一人部屋しか空いておらず二人はアパートの方に泊まるよう言われました。

街灯もない真っ暗な中をホテルまで帰ってきて、そのまま食堂棟へ行き、晩御飯を食べました。ここでのご飯は決まったものが全員に提供されるスタイルなのですが、毎回全く違うお料理でその種類の豊富さに驚きます。お茶はセルフサービスですが、伝統的な形式で「やかんに入ったかなり濃いお茶をコップに注ぎ、サモワールのお湯で薄める」というものでした。 ここではこれが日常なんだなあ。

さて、夕食を食べた後はすることもないので部屋にいる予定でしたが、帰る前にガイドのユーリャさんに明日の集合時間を聞かなければなりません。…「わからないわ、明日にならないと」とのお返事をいただきました。いやいや、明日何時に来ればいいんや。朝起きたらもうみんないなかったら…と思うとめっちゃ怖いんですが。とりあえず部屋に戻ると、中国人向けの案内を引き出しから発見しました!中国語は話せませんが、大体の漢字から意味はわかるので本当に日本人で良かったです。その紙によると、朝ごはんは8時からとのこと。

次の日、早起きの友達が8時に食堂棟へ行ってくれました。「ツアーの人は見当たらず、中国人しかいない」との報を受け、9時に再挑戦してみることに。今回は同じく情報難民の人がいたので、一緒に朝食をとりました(実際は10時朝食、11時集合だったようです)。

さあ、みんな朝食を終えて揃ったのでいざ出発です。前日の反省を踏まえて、今度こそ持っている装備の全力を出してみました。せっかくの機会なので、初の顔出しをしてみようと思います。 一応周りで何が起こっているか見えていますよ。前日は吹き付ける風で顔が痛かったので、マフラーで完全に覆ってみました。靴下は分厚いものを三枚重ね。よく靴に足が入ったものだと自分で感心してしまいました。旦那と友達はスキーゴーグルで顔を覆って、完全無欠です。

予定表によると、今日は島の北へ行くそうです。15人ほどいるツアー全員が乗れるバスでは氷も上を長く走れないからか、3台の車に分けて乗りました。偶然私たちの車にユーリャさんが乗ります。そして開口一番「さあ、今から島の南に行きますよ!」…ほんまにあの予定表はなんなんだ。おそらく、この日は曇りで時々吹雪いてもいたので、天気を鑑みて行き先を決めているのかもしれません。

しばらくガタガタした道を走ると、突然車が止まりました。 突然目の前に広がる氷の芸術。このように綺麗なスポットを運転手さんが見つけると、みんなで降りて思い思いに写真大会が始まる感じでした。

湖の波が岩に打ち寄せ、そこで凍ってしまったのはこちら。 かなり滑りますが、登ることもできます。そして下は雪に覆われているのであまり実感が湧きませんが、湖なのです。バイカル湖の上を歩いているんだ!という実感がじわじわ湧いてきました。 本当にただ広い真っ白い空間。遠近感がおかしくなりそうです。写真のような車に乗って走ってきました。

そしてさすが世界一の透明度を誇るバイカル湖の水からできた氷です。そこらへんに転がっている氷が全て本当に透き通っているのです。

次に一行が向かったのはオゴイ島(ост. Огой)。到着して車から降りると、突然のトレッキングが始まりました。この時に少し雪が降ってきたので辛かったのですが、完全防備のお陰で寒くはなかったです。丘を登ったからかもしれませんが。

丘の上にはチベット仏教のストゥーパが建てられています。2005年にできたもので割と新しく、これがストゥーパの中で最北端にあると…言っていたような…。

よく見たら賽の河原のように石が積まれています。ユーリャさん曰く、願いを込めながら石を積んで行くのだそう。他の人の積んだ石は壊しちゃダメよ、と言われました。ツアーに参加しているイリーナに「見て見て!」と呼ばれて行くと、かなり高く石が積まれているではありませんか。「これ今積んだの?すごく上手いね」というと「誰かが積んでたからその上に乗っかったの」と自慢げに言われました。壊しちゃダメだけど上に乗せるのはいいのだろうか…。

ここから見るバイカル湖は本当に味があるのですが、天気がなんとも残念です。明日は晴れるかな?とユーリャさんに聞くと「お祈りしなきゃね」と言われたのでみんなでストゥーパに向かって手を合わせました(多分違う)。

予定表には「お昼ご飯:ピクニック」と書いてあります。まさか-25度の氷の上でピクニックをするのか!?

Пока!

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シャーマンの聖地

Привет!

最近はいい天気が続いています!ここは本当にモスクワか!?

さて、遅い昼食を終えて一行が向かったのはブルハン岬でした。ホテルから歩いても10分前後で着きます。 前日のイルクーツクでの反省を踏まえ、考えうる限りの暖かい格好で臨みます。上半身は3枚普通の服を重ね、ダウンを着てからコートを羽織り、下半身はヒートテックにスキニーズボン、そしてスキーウェアを履き、靴下は厚手のものの上に前日購入した暖かい靴下を重ねました。もちろん帽子は耳が隠れるもの、手袋は二枚重ねです。

途中まではこの格好で平気だったのですが、夕方の岬だということを忘れていました。ガイドのユーリャさんの説明を聞いている間にも、強い風が吹きつけてきます。一番初めに辛くなってきたのは風にさらされる顔でした。痛い。頬の感覚がありません。そして末端冷え性だからか気が付いた時には足と手の感覚が全くありませんでした。このままだと凍傷になるという恐怖からひたすら手足を動かします。ツアーの参加者みんながみんなそんな感じで説明を聞きながら小刻みに動いているので、説明の最後にユーリャさんが言いました。「そろそろみんな凍ってしまいそうなので説明を終わりにします。あ、明日は島の南に行きますが今日より暖かい格好をしてくださいね」…え、これ持っている装備の全力なんですが。

さて、そんな準備不足の私の話よりこの神聖な場所の説明をしたいと思います。 この岬は別名「シャーマン断崖」と呼ばれており、その名の通りシャーマンの聖地です。チンギス・ハンに迫害されて北に北にと逃げてきたモンゴルのシャーマンたちの隠れ家になったのがこのバイカル湖に浮かぶオリホン島でした。それにしてもどこに行ってもチンギス・ハンの名前を耳にします。それほど彼の影響力が大きかったことが分かりますね。

そもそもシャーマン、シャーマニズムとは何か。シャーマンというのはトランス状態に入って超自然的存在と交信する人物のことです。そしてシャーマニズムとは彼らを中心として精霊や冥界を信じる宗教体系。実際にこの場に(寒さに震えながら)立ってみると、この自然が生み出した奇跡のような湖とそしてそこに浮かぶ島に彼らが隠れたことは、すんなりと納得できました。 こんな神々しい夕焼けを見てしまうとなおさら。ここではいつ超自然的な現象が起きてもおかしくありません。

上二枚の写真に写っているのはそんな岬から続いている「寺院岩」です。本当に神聖な場所なので、軽率に立ち入らないように、と言われました。かつては女性や子供は絶対入ってはいけなかったそうです。

そしてこの岬の上には、シャーマンの儀式用の杭も13本立っています。 時には馬をつなぐ杭にもなっていたようです。結び目が緩くて馬が逃げてしまった場合は歩きで帰らなければならかったとか。寒さで聴くのに集中できなかったのですが、13という数字はハン(モンゴルの王様の称号)の息子の数だということもちらっと耳にしました。また、カラフルな紐が結ばれています(今は冬なので数が少ないのですが、夏は木の部分が見えなくなるくらい結ばれるそうです)。紐の色で願いの種類を(富とか健康とか)、そして杭の場所によってどこにその願いが叶ってほしいかを表します。上の方に結ぶと未来を意味し、真ん中は今、そして下は過去とか亡くなった人だとかだそうです。なので一番下に「富」を表す黄色の紐を結んでも意味ないので気をつけましょう、と言われました。

一通りのレクチャーが終わると、ここでフリータイムです。19:30の夕食に間に合うように帰ってくるなら凍った湖面に降りてもいいですよ、と言われて喜んで駆け出す私たち3人(寒さは一時的に無視しました)。かなり滑りやすい足元に気をつけながら湖面に着くと、なんと波が凍っていました。 テンションが上がって写真を撮っていると、ふっと気がつきました。他の人誰もいない…。地球上に3人しかいないみたい、とロマンチックな想像に浸れたのも一瞬でした。そういえば日が沈むのを見たのは岬の上。周りはどんどん暗くなって来ます。そしてさっきの説明でこの島に電気が通ったのは十数年前だと行っていました。ホテルからここに来るまでに街灯あった…?

そこからの行動は速かったです。慌てて崖のような岬を登り、ホテルへの道を探します。道かどうかも判断できないくらい暗くなってきたので、かろうじて覚えている方向にひたすら進みました。みんなで「ここで遭難できない理由」をあげながら励ましあって歩いていると、なんとかホテルの入り口を発見しました。時間にして18:45くらい。夜ご飯にも間に合います。

いよいよ明日はバイカル湖の氷を満喫します!

Пока!

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オリホン島へ

Привет!

今日は「男性の日」という従軍した男性を讃える祝日です。去年は友達とクッキーを焼いたりしたなあと思い出しながら、一年が過ぎる速さに驚きました。

さて、バイカル旅行の方はようやく大本命のオリホン島へ向けて出発します。バスの中で、私は通路を挟んで旦那と友達の横に座りました。反対側の隣には、一人でこのツアーに参加しているナターシャ(仮名)という65歳くらいの女性が。彼女が本当に優しくて、酔い止めで眠くなっている私に「車酔いした?飴舐める?」とソ連時代から持ってきたのか、というようなパッケージのレモンの飴をくれたり、バスがあまりに激しく揺れるからと腕を組んで椅子から落ちないようにしよう、と声をかけてくれたり、それでも船を漕いでいる私に「膝枕してあげるからここに頭を置いて寝なさい」と提案してくれたりしました。彼女のおかげでほとんど一日中乗っていたバスも退屈しなかったので有り難かったです。

バスはオリホン島に着くまでに2回ほど止まりました。1度目は、丘の上で。 ここはバイカル湖の周りでも最も乾燥した場所だそうで、今年は珍しく雪が降ったそうです。乾燥した土地には通常雪が降らないという当たり前のことに気づかされました。

そしてこの丘からバイカル湖とオリホン島も遠くに臨むことができます。そんな丘の上に大きな銅像が立っていました。 この人の前に詩が書かれた石碑もあります。ガイドさんによると、この人はその詩に出て来る人だそうです。私たちの横で、その詩を見ていたイリーナさんが「あ、これは!」と言って急に歌い出しました。歌詞だったようです。その歌をなんと日本語訳してくれているサイトを見つけたのでご紹介しておきますね。こちら。簡単にあらすじをいうと、監獄から逃亡した放浪者が、バイカル湖を渡って家に帰ると父親はもう死んでおり、兄弟たちはシベリア送りになったと母親から聞かされるというもの。…重い。

ちなみにメロディーはこんな感じ。

砂漠に雪が積もっているような、シベリアにいるのにどこか不思議な光景の中をバスは進んでいきます。行ったことはないのですが、火星ってこんな感じなのかな。

次に一行が足を止めたのは、バイカル湖のほとりでした。「バスを降りて、写真を撮ってもいいですよ。15分ほど止まるので」と言われて訳も分からないまま降りると、目の前に巨大な凍った湖が広がっていました。思い描いていたような分厚い氷の上に初めて立ったのです。村のすぐそばだったからか透き通った氷ではありませんでしたが、テンションが上がるのには十分でした。 足元はこんな感じです。やはり白いところが多いですね。旦那と友達と3人で氷の上を歩く練習をしていると、ツアーの他のロシア人たちから「日本人の正しいお辞儀の仕方を教えて」と当然言われ、なぜ突然「状況別お辞儀の角度講座」を始める羽目になりました。そこに興味があるのか。

このとき、氷に「氷の上に出てはいけません」と書いてある看板が立ててあったのでいつ怒られるかとヒヤヒヤしながらだったのですが、一通り写真撮影を終えて乗り込んだバスが思いっきりその氷の上を走り出したのでびっくりしました。でも、氷の上を走ってる!!バスで!!!走れば走るほど窓から見える氷が透き通っていきます。 ぶれているのは車がめちゃくちゃ揺れるからです。それにしても氷の上は車を変えると思っていました。普通の観光バスでは無いにしろ、さっきまで何時間も陸を走っていた車で氷の上もそのまま走っていいんですね。

ずっと氷の上を走ってくれないかな、と思っていると島についてしまいました。そこからホテルまでまた1時間ほど陸上を走ります。窓から見渡す限り茶色の丘が続いており、村どころか人すら見当たりません。今日から三日間、どこに泊まるんだろう。

…いつのまにか寝てしまっていたようです。ナターシャに「ついたよ」と起こされました。 この青い塀の中にミニホテル(という名のロッジ)があります。ついた時にはもう夕方の4時だったのですぐにお昼ご飯をいただきました。食べ終わったらホテルの近くの岬にみんなで行くそうです。

Пока!

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バイカル湖を臨む展望台

Привет!

これまでにないくらい路上が凍ってて本当に毎日スケートをしている気分です。最近は良く晴れているんですが、天気ではなく足元に全神経を集中させなければなりません。

さて、バイカル湖博物館で身も心も温まった私たち。日も陰ってきそうなのでホテルへ向かうのかと思えば「次の展望台へ早く行かないと真っ暗になっちゃう」とユーリャさんが焦っていました。今から展望台へ行くのか(もう予定表は未定表と化しているので見ていません)。この博物館から2kmほど行ったところに、スキー場がありました。バスの中でユーリャさんが「今からリフトに乗って上へあがります」と親切にも教えてくれたのに、これまた「リフトやったら乗りなれているし大丈夫」と気を緩めた私が悪かったのです。

いつもはスキーウエアに助けられていたのだと実感しました。ひたすら寒い。座る部分の一部に鉄が使われており、そこがずっと足に当たり続けるのでひたすら辛かったです。ただでさえ寒いのに、山の上は風が吹いている上に横で友達が「昔スキー場のリフトに取り残されるっていうホラー映画があったよね」と言いはじめて余計寒くなりました。やめてくれ。

スキー板をつけずにリフトに乗るのは初めてだったので、降りるときは怖かったです。リフト降り場から5分ほど林の中(足を滑らせたらまあ命はなさそうな道)を進むと、少し開けたところに出ました。 ここはКамень Черского (カーメニ・チェルスカバ)という場所です。日本語に訳すと「チェルスキー岩」ですね。写真手前の雪をかぶっている岩がまさにその岩なのですが、チェルスキーというのはバイカル湖とシベリアの研究に大きく貢献した研究者の名前だそうです。彼の名前がついた場所はここの他にバイカル湖の周りに2箇所あるそう。

ここからの景色がとても綺麗で、寒さを忘れ…るわけがありませんでした。海抜728mということもあり、ここについてのお話を聞いている時も「できればバスの中で話してくれ…」と思っていたのですが、他の人も同じだったようです。みんな一通りこの岩の周りで写真撮影をすると「みんなが凍る前に」降りることになりました。 岩の向かい側はこんな風にカラフルです。

「スキーで下山したい」と思いながらゆっくり進むリフトで下まで降ります。実際は5分ほどだったと思うのですが、30分くらい乗っていた気がします。この時間から上に登る人たちとすれ違う時に声をかけられたので顔を向けると、なんと彼らの手にはウォッカやらコニャックやらがありました。そうやって暖を取ればいいのか。

ここからホテルまで1時間ちょっとでしたが、途中で露店に寄りました。 ここで焼き魚(保温してありました)を買おうとすると、お店の方にお釣りがなかったので干し魚まで買う羽目に。バスの中で食べようとすると、臭いがきついからと運転手さんに拒否されました。仕方なく同じような状況の人たちで身を寄せ合って魚にかぶりつきます。-25度の空気の中で食べる焼き魚は美味しく、みんなで励まし合いながらで楽しかったです。

魚の屋台の横にはこれでもかというほど売られているバイカルアザラシのぬいぐるみ。お土産はほとんどこれかマグネットしか選択肢がありませんでした。

この日はイルクーツクの中心部にあるホテルに宿泊します。疲れ切っていたので私たち3人は晩御飯をホテルの一階にあった中華料理屋さんで食べることにしました。美味しかったのですがウェイトレスさんがひたすら中国語で接客してきて大変でした(なぜかロシア語は通じなかった…ここロシアですよね…)。

次の日はいよいよバイカル湖に浮かぶ島、オリホン島へ向けてイルクーツクをでます。朝ごはんを食べて(ひたすら「寒さ対策にカロリーを取らなきゃ…」といつもと反対のことを言いながらパウンドケーキなどを食べていました)、集合時間の9時にロビーへ降りました。

…ツアーの人、半分くらいしかいないね?なんとなく時間通りに集合しない気はしていましたが、結局出発したのは9:40でした。みんな自由です。

さあ、今からひたすらバスの旅が始まります。休憩なしでも6時間はかかるという噂です。昨日の夜ホテルの近くにあった薬局で酔い止めも買い、準備は万端です!

Пока!

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